令和3年度ローカルSDGs人材育成地方セミナー
【岡山県岡山市】
「SDGs海と川を守ろう実践セミナー」報告

日   時: 2021年12月12日(日)14:00~16:00
会   場: 岡山市立京山公民館
参加者: 参加者総数 109名
(内訳)一般参加者数合計 106名(会場参加者19、オンライン参加者87)
司会1名、講師1名、関係案内人1名
講   師: 中平 徹也さん(NPO法人岡山環境カウンセラー協会事務局長)
関係案内人: 岩淵 泰さん(岡山大学地域総合研究センター副センター長・准教授)
司   会: 池田 満之さん(岡山ESD推進協議会運営委員長・岡山市京山地区ESD・SDGs推進協議会会長、特定非営利活動法人持続可能な開発のための教育推進会議理事)

司会 池田満行さん

司会 池田満行さん

講師 中平徹也さん

講師 中平徹也さん

関係案内人 岩淵泰さん

関係案内人 岩淵泰さん

会場

岡山大学などがある岡山市京山地区は、地域総働型ESD・SDGs活動の先進地区で、京山公民館を推進拠点として数々の先駆的な取り組みが実践されています。

1.概要

開会に際し、講師、関係案内人の紹介、会場(岡山市立京山公民館)の紹介の後、本日の趣旨説明を行いました。

このセミナーは、脱炭素社会の実現と、持続可能な地域づくりに主体的に関わるSDGs人材の育成を目指しています。第2回は「SDGs海と川を守ろう実践セミナー」と題して、現在、大きな社会問題となっているプラスチックごみをはじめとする瀬戸内海の海ごみ(海に流入する河川などからのごみも含む)の削減に向けて、産官学民が連携してSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」などの達成に取り組んでいくための、人材の交流と学び合いから、連携したさらなる実践行動へとつながっていくことを目指している旨を説明しました。

講師からは、河口や海底に蓄積しているゴミの現状の報告、並びに私たちの暮らしの変化とゴミの関係についてご説明いただき、持続可能な社会のあり方について参加者に問いかけました。関係案内人からは、私たちの暮らしを変える必要性と、変化と魅力的な暮らしをどのように結びつけたら良いのかというヒントをお話しいただきました。

会場参加をした市民団体、大学生、高校生など様々なゴミの問題に関わっている方々からは、活動する上での課題とそれに対する解決策が共有されたり、活動を多くの人に広げるためにはどのような工夫ができるかという意見が出されたり、参加者同士が学びを得る場となりました。ウェビナー参加者からは、関係案内人、講師からの報告についてのコメントや質問が積極的に出ました。

2.関係案内人・講師の報告内容

① 講師:中平 徹也さん

基調講演では環境カウンセラーの中平徹也さんより、河口や海底に蓄積しているプラスチックなどのゴミの現状を写真や動画を交えて紹介しました。私たちが豊かな生活を求めた結果、川や海には沢山のゴミが溢れ、温暖化も進み、持続不可能な社会になっているが、ゴミを減らすためにはこれからは経済も環境も社会も立派に成長できるような社会を目指すべきです。最後に海は汚れが深刻だった一時期よりか水質は改善されたものの、海は本当に豊かになったのかと問題提議し、SDGsの14番目のゴールにある「海の豊かさ」や「持続可能な社会」は何なのか疑問に感じたうえで、私たちのできることを考え、行動してほしいと参加者に訴えて、締めくくりました。

② 関係案内人:岩淵泰さん

関係案内人である、岡山大学地域総合研究センター副センター長の岩淵泰准教授からは、経済発展だけ目指そうという社会であればゴミが出ても目を瞑ることはできたが、もはや地球が持続しないので、自分が使ったものが将来どうなるのかといったことを考えれば良くなっていくのではとコメントしました。また、坪田譲治の著書『かっぱとドンコツ』に書かれている川干(かわひ)の日についても触れて、自分たちの豊かさは何かを考え、暮らしを変える必要があるが、暮らしを変えることは不便になることではなく、健康的で楽しくなるようなビジョンを持つことが今回のテーマでもあるローカルSDGsの魅力にもつながると提言しました。

3.会場・ウェビナー参加者のコメント・質疑

(1)会場参加者からのコメント・質問

  • 川ゴミの清掃活動をしておりますが、体験することで課題の解決に繋がると思いますので、視聴者の皆様にも是非参加していただきたいです。
  • SNSを通じて、ゴミ拾いの仲間を広げています。
  • ゴミを拾うことに加えて、どのようにゴミを減らすかについても考えるべきではないでしょうか。
  • また、企業は環境に配慮した商品開発をするということも必要ではないでしょうか。
  • ゴミが増えた根本原因を考える、ゴミを減らすために社会の仕組みや意識を変えるということも必要ではないかと思います。
Q1.活動の始めの一歩を幅広い人に知ってもらうにはどうしたらいいでしょうか。始めの一歩となる情報が無ければそもそも知ってもらうことができないのではないでしょうか。どのようにきっかけづくりをすべきでしょうか。
A1. インターネット、とりわけSNSを上手く活用することで活動を知った、行動に繋がった、同じ活動をする仲間と繋がれました。そのため、インターネット、とりわけSNSが有用ではないでしょうか。

(2)ウェビナー参加者からのコメント・質問

Q1. 岡山は発信・横のつながりが弱いとよく聞きますし、私も同じように感じます。地域活性化では、「よそ者・若者・バカ者」が大切だといわれますが、若者の方々はどう思われているのでしょうか?
A1. 内気な方が多い、お互いを褒めないというような風土がありますが、岡山地域には頑張って活動している人が多いです。そのため活動を持続するためにはコミュニケーションをする、褒める、楽しんでいくという要素が大切ではないでしょうか。若い世代のセンスで仲間の増やし方を開発、広げていけると活動が広がっていくと思います。
Q2. 岩淵さんのお話にあった「川干」について説明していただきたいです。
A2. 岡山は日本一用水が多い都市で、用水を維持していくことは、農業を維持していくことであり、川干の日に一斉に用水の清掃を行ってきました。そのような仕組みの中で水の管理、生活を営んできたという伝統があります。地域の皆で川干の清掃を行うと、カニや魚などがとりやすくなり、夕ご飯のおかずになるので、川干の日を楽しみにしていたという歴史があります。
Q3. 地域の人と連携する、仲間を増やすための具体的な方法を知りたいです。
A3.

  • 自分が何者であるかをオープンにして、周りの方とコミュニケーションをとっていけば自ずとつながりが生まれてくるのではないでしょうか。
  • 困っているときに積極的に助けてあげましょうかという「てごする」という方言がありますが、そのような感性がある都市なので、支援が求められているところには手を差し伸べてくれる人がいると思います。
Q4. ゴミを減らすためにどのような取り組みがありますか。
A4. 包装を断る、レジ袋をもらわない、マイボトルを使う、ペットボトルの飲料を購入しない、ゴミが落ちてしまったらきちんと拾う、日常的にゴミについて話題にするなど身近な生活の中で常に皆が心がけることでゴミが減ると思います。

4.アンケート結果概要

事後に実施したアンケートでは、参加者から以下のような感想が寄せられました。

  • 自分が思っている以上にSDGsの活動は地域で進んでいることに驚きました。
  • 環境問題について、川や海洋にたくさんのプラスチックごみが流れ込んでしまっているという現状を知り、これら持続不可能な社会を作ってしまった原因に私たちの豊かで便利な生活を追い求めた結果にあることに非常に衝撃を受けました。
  • 環境問題は、インターネットの情報だけではなく、実際に現地に行ってみて自分の身体で感じてみないと分からないとわかりました。
  • 「便利を追い求めて持続不可能な社会を作ってしまった」という言葉が印象に残りました。
  • ゴミ問題は身近なことから解決出来る、ゴミを減らすための取り組みとして、様々なことがあることが理解できました。
  • このセミナーを通してまずは自分が積極的に関わろうとする姿勢が大切なのだと気付くことができました。
  • ゴミ問題に対して、実際にアクションを起こしていくには、インフルエンサーや身近な友人などが発信していけばよいのではないかという話題が印象的でした。
  • 高校の生徒さんが、非常にしっかりした意見をお持ちで頼もしかったです。
  • 「海はきれいだが豊かではない」という言葉が印象的でした。今までは「海がきれいである」ということが一番の理想形であるとばかり考えていたため、「豊かさ」に目を向ける視点が私の中で新しかったと感じます。
  • まずにかかわる地域のことをよく知ること、好きになることが大事というお話が印象に残りました。
  • SDGsに関する問題について年代問わず積極的に話し合いをしていたところが印象的だった。
  • 皆さんが仲良さそうで楽しそうに話されているのを見て、このような活動はやはりつながりが大切なのだなと感じました。
  • SDGsについて大人と若者がこんなに真剣に話し合っているのを見て感動しました。
  • 環境問題を解決するために、若者も環境に関心をもち、小さなことから取り組んでいくことが大切であると感じました。

5.まとめ

最後に講師、関係案内人からユース世代へ、「若者は周りに忖度することなくどんどん意見を言えばいい」、「自ら積極的に声を掛けたり、自分のやっていることを周りにアピールすれば地域や活動と繋がることができる」、「これからはいろいろ考えて方向性を定める必要性が増えてくるが、若い皆さんの力で良い選択をしてほしい」、などとアドバイスし、これに対して大学生は「今回のセミナーを機にまずは問題を知ることができたので、積極的に活動に参加したり体験を重ねて、周りにも発信していきたい」と応えました。

会場参加者の集合写真

会場参加者の集合写真

(ESD-J理事 池田 満之)