【報告】第7回ESD-Jオンラインセミナー「国際交流・ユース×ESD」

「近くて遠い国だった」韓国とのSDGs時代の国際交流を考える~北九州からの発信

  • 日時:2021年10月23日(土)13:00-15:00
  • 参加者:23名、講師4名 
  • コーディネーター:三宅 博之ESD-J理事

今回は、北九州ESD協議会との共催でオンラインセミナーを開催しました。国際交流・ユース×ESDというテーマであったため、司会、発表も北九州市立大学の学生さんにお願いしました。

司会は、北九州市立大学の原優依さんが担い、開会の挨拶をしました。次に今回のセミナーの趣旨をESD-J理事・北九州市立大学の三宅博之さんが説明しました。今回扱う国際交流は、国レベルでなく市民レベルの交流であること、またESDの始まりと北九州―韓国のESD交流が開始された契機について言及されました。

次に、「RCE北九州と韓国RCEとの交流史」ブルーアース青い地球の会の後藤加奈子さんが説明してくださいました。2007年のRCEインチョンへの韓国スタディツアーがきっかけに交流が始まり、特にRCEインジェ、トンヨンと交流を深めてきました。主な交流の内容は、人的な交流(留学生の受け入れ、スタディツアーや研修、RCE会議の開催)、文化交流、互いの持続可能な地域づくりの実践の学び合い等です。ESDの10年の成果として、韓国側では実践から市民による政策提言の動きが生まれたこと、そのような人づくりが実現したことが挙げられました。

そして、北九州における成果については、地球校友クラブ代表の服部祐充子さんにお話いただきました。服部さんは、生涯学習、留学生のサポートの活動をする中でESDとの出会い、それまでの活動とESDの理念がつながり、それ以降、様々な国際協力活動に携わりながら、ESDの推進のために尽力してきました。北九州と韓国の国際交流の中で、お互いに学ぶ機会をもち、学びを深めるには仲間が必要であること、そして自らの視点を持つ「自分」も重要であることを認識したとお話されました。ESDという概念から得た学びを基盤に、これからも仲間を増やしながら活動を続けていきたいということでした。

次に北九州市立大学4年生の弥山葵(ややまあおい)さんがソウル・ドボン区のカンソンチョンヒョンピルという文化財を保管している建物からの中継をしていただき、伝統的な建物や美しいお庭を見せてくださいました。弥山さんは現在韓国に語学留学されており、RCEドボン区の交流プログラムに参加され、ESDに関わる活動を実施されています。

ゲストのソウル・ドボン区役所持続可能発展課のペ・ヒョンスンさんからは、ソウル・ドボン区のRCE認証、ドボン区のこれまでのESDに関する取り組み例としてプロジェクト・ヌルの説明をしていただきました。RCEドボン区では、小学校10校と青少年関連機関1か所でESD教材を用いた実践的な授業が行われています。そのようなESD教材を用いた授業を行うためにESD専門講師の養成が今年実施されました。また、ESD専門講師の質の向上のための体系的な「定量的・定性的評価システム」を構築・運営しています。

国際ESDユースプロジェクト・ヌルは研究型のプロジェクトであり、今年は「ハンバーガーの真実」を主題に韓国、日本、中国、インド、オーストラリアの小中高大学計28校から参加した61名で実施しました。このプロジェクトは、オリエンテーション、理論授業、ワークシート作業、成果共有、意見交換、ポートフォーリオ製作、国連大学への提出という流れで行います。具体的な方法としては、写真でメッセージを伝え、分析する活動「Photo-voice」という活動を行いました。この授業では、地域による広告の特徴の相違やハンバーガーにまつわるイメージでマインドマップの作成などを行いました。

プロジェクト・ヌルは運用し始めたばかりであるのでため、改善が必要であり、例えば課題の提出のスケジューリングや言語の問題(英語での授業であるので英語圏でない生徒は発言が難しい)の解決を図るそうです。

質疑応答を挟んで後半はグループディスカッションを行いました。まず各グループで発表を受けての感想、国際交流の経験を共有しました。続いて、「あなたにとっての国際交流・国際理解とは、どのようなものでしょうか。国際交流を通じてどのように国際理解を深めていったら良いでしょうか。」というテーマで話し合いました。元インターンの高橋さん、宇都宮大学の学生さんにも書記をお手伝いいただきました。

発表資料PDF

発表資料PDF

各グループの発表要旨は以下の通りです。

<グループA>

  • 言葉の壁を超えるためにコーディネーターの存在が大きい。交流をサポートしてくれる人材、仕組みづくりができると交流がしやすい。
  • コロナ禍でオンライン、リモートでの交流の機会が増えていることで、気軽に国際交流ができるようになっている。リアルな交流とリモートの交流の両方をうまく活用することで交流が深まる。
  • 阿波踊りなどの文化交流が国際交流に非常に有効。現場を離れた後に交流の継続が難しかったが、SNSやメールなどでリモートでの交流の継続がしやすくなった。
  • 地域資源、景観、建物、文化、暮らし、食などを基盤に地域づくりという視点での交流だと広がりが生まれる。
  • 映画など多様な学び方を多様なツールを楽しく活用して行うことで学びが深まる。

<グループB>

  • 外国人との交流が少ないため、地域活動の中で、地域住民(市民センターの人々)との交流をするなど一般市民レベルの交流が重要。  
  • 国際交流では、スタディツアーなどの交流を通じて、「親戚が増える」ような、お互いがいつも思い返せるような身近な関係になると良い。
  • 距離、文化圏が近いからこそ、親近感がある中国や韓国というアジアの隣人たちと交流していくことがESDにとって重要。日本と中国→お互いに学び合う 日本が米中をつなぐ役割を担う、北九州→国際交流、国際貢献の実績を積み、幅広い国際交流事業へ繋げる 等
  • コロナが落ち着いてきたので、今日のセミナーをきっかけに、多文化共生や国際交流に真剣に取り組んではどうか。

<グループC>

  • 類似した活動や興味・関心などのマッチングを行ったり、話をする中で共通認識を高めたりすることで交流を深めることが出来るのではないか。
  • 文化、伝統衣服などを通じた文化交流を望んでいる人が多いためにそれを切り口にした国際交流ができる。
  • コロナ禍で実際に訪問することが難しくなっているが、訪問できる日を楽しみにオンラインで交流を深めることが出来るのではないか。

<グループD>

  • 日本の韓国併合の間の対応や文化や社会的な違い。正しく韓国人が受けた被害や事実を知らなければいけない。その上で過ちを繰り返さないように互いに努力する必要がある。
  • 過去にあったことや歴史は忘れてはならないが、文化コンテンツなど同じものを好きになるきっかけがあればお互いに仲良くなりやすい。

三宅理事の統括、そして原さんの閉会の言葉でセミナーを終了しました。

アンケート集計結果

1. 事例紹介1「北九州の韓国との国際交流の歴史」は、いかがでしたか?

1-2. その理由は:

  • 韓国RCEとの交流や、特にRCEインジェの理念や取り組みが、サスティナビリティに向けて想像以上に洗練されていることが良く理解できた。
  • 随分と前から国際交流されていることを初めて知り、深い関係を築いてきたことが知れた。
  • 大学生が随所で活躍していて頼もしい!
  • 過去の交流後にどのような行動変容があったか、広がりがあったかを聞きたかった
  • 熱意のある先達のご努力の積み重ねを受け継いできた過程をしることができた。

2. 事例紹介2「国際交流の事例紹介:ドボン区の学生さんの現地リポート」は、いかがでしたか?

2-2. その理由は:

  • ライブ感が、オンラインバーチャルトリップ並みで素晴らしかった。現地での心の通ったやり取りがまさに国際交流の原点です。リポーターの学生さんには、心から感服いたしました。
  • ソウル市ドボン区の担当者と北九大学生との親密さがよく分かるような内容だった
  • 善隣友好関係の確率に向けて若者は良い活動をしている。大人の慣例に関わらず、若者がこれを打破、その方法を提示してくれているから。
  • 交流の雰囲気が、楽しさを含めて伝わってきました。ドボン区での取り組みはとても興味深いものでした。同じ課題解決に向け、それぞれの良さを取り入れた交流は、新たな視点を得られると感じました。
  • 紹介の仕方に工夫がほしかった。

3. グループに分かれての意見交換は、いかがでしたか?

3-2. その理由は:

  • 北九州ESD協議会の方に話を聞くことが出来、実際に国際交流事業の活動について知ることが出来たため。
  • 今回は、前々からご一緒させていただきたいと思っていた、著名な皆様と、グループディスカッションできたので、特に満足しています。
  • 近隣のアジア諸国との交流が特に重要と感じた
  • 個々の体験事例で知らないこと、見えなかった側面がESD-J活動から見えた。善隣関係構築の基盤作りの解決策のヒントがみつかったから。
  • シニアから学生まで幅広い意見を聴くことができ有意義でした。国際交流を考えるよいきっかけになりました。
  • さまざまな年齢層、経験をされている方のお話を聞いたり、意見を聞くことができてとてもおもしろかったです。
  • 多くが国際交流の経験があまりなかったので、回答が期待するほどに出なかった。質問を再興したほうがよかったのかも。
  • 話がやや韓国に偏っていたように思いました。

4. 自由意見、感想など

  • 最後のまとめで三宅理事が、グローバルシチズンシップはイコールESDと言い切っておられたその根拠をもう少し丁寧にお話していただける時間があればよかった。
  • 今で、十分なレベルだと思います!どんどんオンライン開催してほしいです。今後も日進月歩で、テクノロジーの進歩(先端機材)が、我々のオンライン交流を補ってくれると思います。
  • コロナ禍前(約2年まで)は、訪日外国人・4千万人の時代がすぐソコと言われ、「多文化共生」・「国際交流」の重要性が叫ばれていました。”Withコロナ”の今の時代にあって再度その重要性を認識しあう必要があると思います。今回のオンラインセミナーはとてもタイミングが良かったです。
  • 意見交換以上の時間をかけて、もう少し議論できる場があると良いと思います。

 

~・~・~・~・【過去のオンラインセミナー報告ページ】~・~・~・~・

◆車座トーク
第1部:ESDをめぐる最新の動向、第2部:気候変動問題について考える
https://www.esd-j.org/news/events/6348

◆2021年度 報告ページはこちら
第1回 キックオフミーティング https://www.esd-j.org/news/5860
第2回 「自治体の地域づくりのSDGs+ESD実践」 https://www.esd-j.org/news/6084
第3回「プラスチックごみ問題とSDGs/ESD」 https://www.esd-j.org/news/events/6353
第4回「ESD世界会議の結果を踏まえて」https://www.esd-j.org/news/events/6569
第5回「ESD×持続可能な消費と生産」https://www.esd-j.org/news/events/6905

◆2020年度 第1回から第5回の内容、講師の資料はこちら
第1回「ESD/SDGsって何でしょう?」https://www.esd-j.org/news/5012
第2回「自治体とESD/SDGs」https://www.esd-j.org/news/5321
第3回「企業とESD/SDGs」https://www.esd-j.org/news/5414
第4回「地域づくりのESD/SDGs」https://www.esd-j.org/news/events/5653
第5回「教育現場におけるESD/SDGs」https://www.esd-j.org/news/events/5823