【報告】第6回ESD-Jオンラインセミナー
「地域が変わる!SDGs 四国ESD実践事例紹介」

2021年度ESD-J主催 オンラインセミナーシリーズ
第6回 テーマ:『地域が変わる!SDGs』四国ESD実践事例紹介

開催概要
925日(土)13:00~15:00

今回は、四国地方ESD活動支援センター(四国ESDセンター)との共催で、四国におけるESD実践事例の紹介を行いました。
参加者44名(ESD-J事務局5名、四国運営スタッフ6名含む)、講師2名
(一般参加者35名、うちESD-Jを通じた申し込み12名、四国センターを通じた申し込み23名)

プログラム内容報告

報告者:横田美保

まずESD-J理事・小金澤孝昭さんより開会の挨拶の後、ESD-J理事、兼四国地方ESD活動支援センター事務局長の宇賀神幸恵さんより、四国のESDについて説明していただきました。四国にはESDを推進していくパートナー(=地域ESD拠点)が現在15あり、企業が多く登録されているのが特徴です。また四国はローカルSDGs四国(LS四国)を立ち上げ、魅力ある持続可能な四国を目指していることもご紹介いただきました。

◆ローカルSDGs四国のウェブサイト:https://ls459.net/

事例①】「ESDまつり~地域と共に~」 公園を活用した地域へのESD発信

講師:井上 修 さん(善通寺こどもエコクラブ代表)

まず、香川県善通寺市では2050年ゼロカーボンシティ宣言をし、市民参画のゴミのリサイクル事業(循環型社会の構築)、太陽光発電所からの売電収益により市内の防犯灯・街路灯の電力をLEDに交換し、維持管理費や電気代を負担する取り組み(低炭素・循環型社会づくり)が始まったことが紹介されました。

ESDまつりは、県内で分野や地域を超えた連携・交流が少ないこと、各団体や個人が、ESDを実践、レベルアップする機会が必要という課題の解決のために公園を活用し、2016年に始まりました。ESDまつりの実施にあたっては、協力団体・賛同者を募り、そして公園という場を活かした自然と調和したサステイナブルなライフスタイルの発信の場所とすること。そしてESDの視点を含んだプログラムを作成し、一般の市民にESDを理解していただく機会とすることを目指しました。

フェアトレード商品を扱っているカフェやリサイクル事業を行っている企業、森林の保護活動をしている市民団体など、県内の多様な団体がSDGsやESDをキーワードに出展し、交流しています。子どもを対象にした自然に親しむワークショップや工作等を実施し、体験型の学びを提供しています。また、本イベントでは市内小中大学生による活動発表やESD宣言も行われています。参加者同士が学び合い、参加した団体の中からは事業企画にESDを取り入れたいという団体が出てくるなどの成果が生まれています。また、他の地域でも同様のイベントを実施したいとの声があがり、地域的な広がりも期待されています。

「ゼロカーボンシティ宣言」とは「2050年に温室効果ガスの排出量又は二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表された地方自治体のことです。
◆善通寺こどもエコクラブ:http://www.j-ecoclub.jp

【事例②】「うどんからうどんを作る?うどんまるごと循環プロジェクト」

講師:久米 紳介 さん(うどんまるごと循環コンソーシアム事務局長)

香川はうどんの生産量日本一である一方、その廃棄量も多いことが大きな課題となっています。讃岐うどんはコシが命のため、時間が経った麺は致し方なく廃棄、工場で作られるうどんの切れ端等も廃棄されています。

NPO、企業、自治体、大学、農家、ボランティア等、様々なステークホルダーが参加し、コンソーシアムを組織し、うどんをはじめとする食品残渣を分別・回収、残渣をメタン発酵でバイオガス化し、再生可能エネルギーを生み出す「うどん発電」を行っています(平成26年より)。同時に残渣(消化液)から肥料(液肥・固形肥料)を作り、小麦畑に散布、小麦を育て収穫して小麦粉にし、うどんを再度生産するという「うどんをまるごと循環させる」システムを構築しました。(詳細は資料をご覧ください)

本プロジェクトは小規模ではあるもののうどんを循環させる仕組みが構築され、一定の成果を挙げてきました。運用当初から令和2年末までに合計2,228トンの食品残渣を回収、バイオガス化しています。環境省の試算値を当てはめると、これまでに712t-CO2のGHG(温室効果ガス)排出削減に貢献しています。年平均では300トン程度の廃棄物処理を行っており、年平均85,000kWhの売電をしています。これは40‐50軒分の家庭の電力消費量です。

課題としては、発生している廃棄物の量があまりに多くリサイクル(堆肥化)、熱回収されている廃棄物の量はわずかということです。そのためリデュース・リユース(食品の場合は廃棄される分を減らす、捨てずに食べる)の取り組みが必須です。食品ロスの削減の取り組みとして、香川県廃棄物対策課主導の「スマート・フードライフ」への参画・協力と普及啓発活動やさぬき麺業、坂出市社会福祉協議会・福祉施設との協働によるフードバンク支援活動を行っています。

本プロジェクトの他の側面としては、県内小中学校等の環境教育の推進、うどんまるごとエコツアーの開催等、地域の課題からSDGsに取り組む教育の場としても機能しています。

本プロジェクトは前述のように様々なステークホルダーがパートナーシップを組み、協働で取り組んでいることが大きなポイントです。

◆うどんまるごと循環プロジェクト:https://www.udon0510.com/

グループに分かれて以下の2点について意見交換を行いました。

問1:講師のお話の中で出てきた人、モノ、地域の資源、エネルギー等がうまく循環し、地域が持続可能になるために重要なポイントは何でしょうか。

問2:上記のポイントを踏まえて、自分の暮らしている、活動している地域を循環型の地域にするためにどんなことが必要ですか。

グループごとに発表された要旨は以下の通りです。

グループA:
紹介された活動は非常に良い事例なので、自分の活動地域でも参考にし、実践につなげたい。

グループB:
問1:すべての残渣が再利用できるわけではないので、家庭ではでは生ごみを減らすところからはじめる。
ESDまつりは世代を超え、バリアフリーでどなたでも参加できる雰囲気が良い。環境に興味がなくても参加でき、エコに取り組むきっかけとなる。
問2:うどんが作られる中で廃棄がどのくらい発生しているかを知ってもらう、そしてうどんがエネルギーに変わることを知ってもらうことで、個人でどのような取り組みができるかを考えてもらうきっかけとなるのではないか。1台のプラントで40-50軒の家庭の電力が賄えるのであれば、40‐50軒ごとに1台のプラントを建設することで再生可能エネルギーの活用の1つとして考えることが出来るのではないか。長く取組を続けることで、学んだ子どもたちが親になり、環境に配慮した取り組みが地域でより広がりやすくなる。

グループC:
問1:どちらの事例もパートナーシップ、集まる機会が大事。井上さんの事例で小中大が出てきたのになぜ高校がでなかったのか?高校が地域と切り離されていた。
問2;活動の主体は、市民、個人であるが活動を広げていくには政治的な中長期的な支援、施策が必要。市民をつなぐ役割が政治にはあるのではないか。

グループD:
問1&2:1.地域経済の入るものと出るもののバランス(エネルギー)、2.再生可能エネルギーの普及、3.情報のローカル化(中央発信ではなく地域発信)、4.学校教育のみならず生涯を通じての学び(オンラインツアーの活用!)、5.企業の参画、6.人材の地域での確保(そのための魅力あるまちづくり)
※地域経済循環図:https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/13/13101/1/2015

グループE:
問1:廃棄物とどのように向き合うかについて、削減する、リサイクル、再利用etc.様々な分野の人とともに課題に取り組む必要がある。そのため様々な人たちとのネットワークが重要。また、子どもたち、次世代を担う若者の教育が重要(特に現場、経験)。便利に流されて、廃棄が「当たり前」になっているが、弊害が大きいので、 「当たり前」を問い直す必要がある。課題の解決のためには、技術的なイノベーション=革新が必要。加えて、時間がかかるが社会の仕組み、安価・便利を優先する考え方からの転換が必要。
問2:教育で社会の仕組み、並びに安価・便利を優先する考え方を転換する必要がある。教育の現場で、知識だけでなく実践・体験的な活動を取り入れ、持続可能な社会づくりを学びを通じて実践できるようにする。政策・行政的な規制をもっと強くし、「ものを作り出す企業」の責任ある行動を促す。自由競争の弊害ー企業は独立採算で環境に配慮している製品で利益が出なければ、そのような製品ができない。そのため、公・政府の補助金、支援でカバーする。最後に市民は、地球人であることを意識して自分事と捉えて日々暮らすことが大切。

グループF:
問1&2:そもそもの小麦粉の使用量を減らしたらどうか?という意見については、企業は減らす努力をしている。廃棄量・削減に関しては、地域の小さいうどんやでは、お持ち帰り用に袋に入れて提供している。真空パックのうどん→福祉施設へ、子ども食堂への提供をしている。(人のご縁で提供先を見つけた)。法的な規制・障壁として、食品衛生の関係で、ロスを減らすよりも、衛生面での懸念が強く企業はやれない。また塩分があるので、豚の餌には、分量に限界がある。エネルギー利用に関しては、バイオマス・プラントを、西日本にいくつか、置いてもらっている。
<ポイント>人のご縁:地域での人の縁、世代を超えて連携すること、課題解決につながる。そして、廃棄物の処理は、地元で処理することが原則。そのように取り組んでいきたい。

グループG:
問2:1.行政、企業、地域市民の連携 (企業が行政と連携した体験型ツアー、体験参加型のイベント、行政と民間企業の連携のためのつなぎ役として、大学などの教育機関・市民団体、食品ロスを減らすためのアウトレット販売、地域で取り組める事業を行うために、皆を巻き込めるテーマを見出す必要)
2.地域活性化のための教育(消費者教育 特産物に着目 地域活性化につなげていく、地域の観光業者、商工業者と連携して特産品事業を進めていく)
3.行政域を超えた連携(都市部と農村部の連携、流域単位での循環など)

グループH:
問1:廃棄物の循環、SDGsの取り組みが実践されていることを可視化したことが非常に重要。ボランティアで運用する仕組みでは持続可能性が担保されないので、採算性の問題等の課題をクリアする必要がある。リサイクルだけでなく、リデュース、リユースが非常に重要である。
問2:北九州の企業ではコンポストを設置し、生ごみを回収していたり、仙台では農産物の直売所で乾燥生ごみを野菜と交換してくれるという取り組みもある。子供服など回転の速いものを譲る、リユースするという循環の仕組みを作ってはどうか。

四国ESDセンター近森センター長のコメント:

今回ご紹介いただいた2つの事例は、公園、食文化、どちらも地域に根差した活動、地域ベースの取り組みです。ESDは普遍的な概念ですが、具体的に活動するためには地域ベース取り組みとなります。そのため、ESDという一般的な考え方と、個別の取り組みをどのように関わらせながら実践をしていくかということが大事なポイントです。また、グループディスカッションの中で出た意見で、地域活動の中でお互いの活動を知らないことが課題で、グループ間のコミュニケーション、活性化が重要であるというものがありました。ESDまつりの大きな成果は、多様な人々が集まり、活動を通じてお互いを知り、学び合いながら緩やかな関係性を構築していったことにあります。また、持続可能な社会づくりのためには、循環する社会を作るしかないです。そのためうどんまるごとプロジェクトはその循環が可能であることを示した優れた事例です。これらの事例の将来展望、今後どのように発展させるのかが重要になってきます。

アンケート集計

1. 事例紹介1「ESDまつり~地域と共に~」は、いかがでしたか?

1-2. その理由は:

  • 写真を使って具体的な取り組みがとてもよくわかった。
  • 地元でESDの取り組みがどのような形で行われているかを知るよい機会であった。
  • 地域交流や子供教育等を含め素晴らしい活動をされている。

2. 事例紹介2「うどんまるごと循環プロジェクト」は、いかがでしたか?

2-2. その理由は:

  • 継続しているのが、まず凄い!と思います。 エネルギーの再生から最後は肥料になり、小麦の養分に!!まさにまるごと循環。 廃棄のうどんの量や、毎日何トンも使ってやっと4.50件の家庭分の電力というのもインパクトがあり、色々と考えさせらます。
  • ESDに相応しいリニューアブルなシステム創造の取り組みだと思っています。以前からリスペクトしています。ミニマムでブレイクスルーできれば、世界でソリューションモデルになり得ると思います。
  • 人件費も含めた採算性、そもそもうどん廃棄物自体そんなに発生するものかなど後から疑問が沸いてきた。

3. グループに分かれての意見交換は、いかがでしたか?

4. 自由意見、感想など

  • 自分はあまりはっきりした考えを持っていなかったが、活動家の意見を聞くことができ、学びがあった。
  • 様々な年代や地域、性別の方の意見を聞くことが出来た。 進行の方が他の地域の事例なども教えて下さって勉強になった。
  • それぞれの方の活動の視点から活発な意見交換ができました。