2030アジェンダの履行に関する自発的国家レビュー2021~ポスト・コロナ時代のSDGs達成へ向けて~

6月22日に第10回SDGs推進本部会合が開催され、「ポスト・コロナ時代のSDGs達成へ向けて」
と題する日本政府の自発的国家レビュー2021報告書が決定されました。

報告書リンク:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/vnr/

要約:
「行動の10年」の宣言を踏まえ、国際社会がSDGs達成に向けた取組を加速することを
再認識した矢先、新型コロナウイルス感染症の拡大が起き、世界中で人々の命・生活・尊
厳が脅かされ、特に脆弱な状況にある人々が大きな打撃を受けた。SDGs達成に向けた取
組も大きな影響を受けており、まさに人間の安全保障に対する危機が生じている。このよ
うな中、新たな時代を見据え、未来を先取りする社会変革に取り組む上で、SDGsは重要
な羅針盤となる。そのため、今回の自発的国家レビュー(VNR)では、新型コロナウイル
ス感染症の拡大を越えて、「よりよい回復」に向けて取り組むため、日本がどのように
SDGs推進に取り組んできたかを振り返り、SDGs達成に向けた進捗を確認した。

SDGs達成には、あらゆるステークホルダーが連携して取組を進めることが不可欠であ
る。本VNRでは、SDGs推進に向けた国内の体制を振り返る中で、内閣総理大臣を本部長
とするSDGs推進本部の下、SDGsに取り組む先進企業や団体等を表彰する「ジャパン
SDGsアワード」のような枠組みを通じて、様々なステークホルダー間の連携が広がり、
国内におけるSDGsの認知度向上や取組の進展につながっていったことを確認した。

特に、地方自治体においては、2018年から、SDGs達成に向けて優れた取組を提案する
自治体を「SDGs未来都市」に選定し、先導的なモデル事例を国内に普及展開してきたほ
か、「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」や「地方創生SDGs金融」等によって
SDGs推進に向けた機運を高め、一人ひとりがSDGsを自分事として取り組むように促した
結果、少子高齢化や人口減少等、地域課題解決をSDGsの理念を通じて推進する動きが浸
透してきている。前回VNRを提出した2017年にはSDGsに取り組む地方公共団体の割合が
1%だったが、2020年には39.7%となっており、政府としては、2024年度末までにこの割
合を60%にすべく取組を進めている。そのため、本VNRでは、自発的ローカルレビュー
(VLR)を行った4つの都市を始め、国内のモデル都市として先導的な事業に取り組んだ
地方自治体の取組例を記載した。

政府はSDGs実施指針において、日本として特に注力すべきものを8つの優先課題として
定めており、本VNRでは、各優先課題について国内実施と国際協力の両面で進めた主な取
組を記載するとともに、そのような取組を通じて17の目標においてどのような進捗が得ら
れたのかを、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響も踏まえつつ記載した。

SDGs達成には幅広い関係者の取組が必要なところ、本VNRの作成に当たっては、政府
内で議論を行うだけではなく、様々な分野の代表者から構成される円卓会議や市民社会、
これからの社会をリードするユース世代等との意見交換等を行い、パブリックコメントを
行うことで、幅広い市民の声を取り入れるよう努めた。また、取組の評価に当たっては、
政府以外の関係者から見た進捗評価も掲載することが望ましいと考え、円卓会議の民間構
成員からの評価も得た。

本VNRの作成を通じて、これまでのSDGs推進体制や主な取組を振り返り、今後SDGs推
進に向けてどのように取り組むかを考える機会となったところ、有識者や市民の声を踏ま
えて、本VNRの最後に、今後日本がSDGs達成に向けてどのように取組を進めていくかを
記載した。

日本は、引き続き国際社会と連携し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達
成を含めたグローバル・ヘルスへの対応に取り組むとともに、SDGsが達成された「誰一
人取り残さない」社会の実現に向けた取組を進めていく。