【実施報告】持続可能な社会のための人材育成オンラインセミナーシリーズ第3回「企業とESD/SDGs」

■開催日:1月23日(土)13:00-15:00

第3回のセミナーは、「企業とESD/SDGs」をテーマとして開催しました。

  • ESD-J理事 福井光彦さん

初めに、「企業がSDGsやESDに取り組む意義」と題して、SDGsに取り組む意義・必要性、昭和の時代の環境規制に対するホンダ技研工業の事例、SDGsは大きなマーケットで且つビジネスチャンスであるという話をしていただきました。そして、住友化学によるトップダウンとボトムアップによる職員の意識向上の取り組み、オムロンの企業理念とサスティナビリティ施策の実施、という具体的な企業の取り組み事例をご紹介頂きました。発表資料

続いて、ゲストスピーカーとしてお招きした企業2社より、それぞれ企業理念と、ESD/SDGsに向けた具体的な取り組みについてご発表いただきました。

  • 株式会社SOUGO 代表取締役社長 北條裕子さん

62年前から印刷会社として事業を展開していたが、38年前に有機ジャーマン・カモミールと出会い、カモミールを使用した医薬部外品・化粧品ブランド「華密恋」の製造・販売 の事業を併せて展開しています。長野にビオホテル認証を受けた宿泊施設「八寿恵荘」を経営しており、建築素材、エネルギー源、食事、アクティビティ、マネジメント等、あらゆる視点から環境配慮して運営しています。社員研修に、自分たちの業務がSDGsと繋がっていることを意識するような、座学セミナーや屋外でゴミを拾うなどの身体を使った実践を取り入れています。発表資料

  • 損害保険ジャパン株式会社 CSR室長 越川志穂さん

創業は明治時代、火事の多かった東京の火災保険からスタートしました。経営課題として環境に取り組むようになったのは、1992年のリオサミットが契機です。持続的経営基盤のための推進体制を構築し、グループ企業との連携を図り、グループ全体でCSRビジョンを共有して取り組んでいます。ビジョンには多様なステイクホルダーと連携して幅広い視点を取り入れています。

1993年より、地球環境室を設置し、様々なNPOと企業との協働を開始しました。そのうちの一つ、1993年に開始した市民のための環境公開講座を長年にわたり開催しており、累計26,000人以上が参加しています。(2020年時点)。

本業の保険事業においても、社員の発案で食品ロス削減に寄与する保険を考案や保険加入者に対して証券・約款のペーパーレス化や事故時自動車の修理にリサイクル部品を利用する選択肢を用意し、削減コストの一部を原資にNPO/NGOとの協働プロジェクトを展開するなど、お客様の選択にESDの要素を組み込み、行動変革を促す工夫をしています。発表資料

  • 質疑応答:

意見:損保ジャパンのCSOラーニング制度は、まさに持続可能な社会に向けた人材育成(ESD)なので、もっとそういった面を前に出せると良いと思います。

質問:ESD/SDGsの推進には、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチが重要であり、社員が自分事と捉え、主体的に行動するためにどのような工夫をされていますか?

越川様:社員ひとりずつに自分の目標を立てて、PDCAサイクルでチェックするマネジメント・システムを導入しています。それにより、定期的に自己目標の達成状況を意識するような工夫を取り入れています。

北條様:社員に、外部の人の話を聞く機会を設けたり、屋外活動に参加するなどの経験を通じて、社員の意識がSDGsに向くように工夫しています。

北條様の発表に対する意見:SDGsとの繋がりを顕在化すると、自分の仕事が地域の環境改善に役に立っていることに気づくことが出来、自分の会社の事業に対して、誇りを持つことが出来るようになることは、素晴らしいと思う。

越川様への質問:社会への影響力(インパクト)を測る指標について、もっと知りたいと思いました。SROIという費用便益指標について教えて欲しいです。

越川様:このインパクト評価は、塚本一郎さんが行っており、海外のプロジェクト投資のインパクト評価を社会的インパクトの評価に応用しています。塚本一郎さんと関正雄さんの共著で「インパクト評価と社会イノベーション―SDGs時代における社会的事業の成果をどう可視化するか」という本が出ていますので、参考になさってください。

  • アンケート結果:

(アンケート回答者:25名)

 1.冒頭のコーディネーターの講演はいかがでしたか。

 2.株式会社SOUGO様の講演のパートはいかがでしたか。

  • 企業の使命/事業そのものがESDの価値を反映していて極めて自然体。
  • 活動の背景、歴史の大切さが確認できた。
  • 仕事の意味をSDGsとつなげて社員の意識を高め、それがそのまま仕事内容に反映されている必然性が理解できた。やすえ荘、滞在してみたいです
  • 地に足がついた、現実的な事例を聴くことができた。等

 3. SOMPOホールディングス株式会社様の講演のパートはいかがでしたか。

  • 具体的な取組事例を聞けたのが大変参考になりました。
  • 損保ジャパンさんの環境活動、その他社会貢献に対する歴史が長く、益々分野が広がって行って感心しました。
  • NPO等との連携で多様なCSR活動、社会貢献活動を実施されていること、役員・社員が積極的に地域のボランティア活動などに参加されていることが分かり、興味深かった。
  • 企業としての立ち位置、複数の事例など、幅広く理解することができた。等

 4. 参加者との質疑、意見交換のパートはいかがでしたか

  5. 今回、オンラインセミナーに期待していたものは得られましたか

 6. その他、ご意見やご感想等、ご自由に記入ください。

  • 企業の取り組みをもっと紹介していただきたい。
  • やはり企業での社員の意識向上には時間がかかることを実感。もっと差し迫った問題として考えられる方法を、ESDを通じて考えたい
  • DJSI 調査などの評価手法に基づく、事業評価についてみなさまの意見が聞きたい。等