【報告】第3回「NPOと公益法人の会計報告と税務問題」

オンラインセミナーシリーズ 「税とサステナビリティ」

~お金と持続可能な社会の関係を考える~

第3回 「NPOと公益法人の会計報告と税務問題」~目の前の実務から理想を夢見て現実を理解し、理想の社会を語ろう~が11月18日(金)18:00~19:30に開催され、18名が参加者しました。講師として、浅見哲税理士、江副裕美税理士、神田博則税理士にご参加いただきました。

このセミナーシリーズでは、社会でのお金の流れや税の仕組みが、我々の目標とする持続可能な社会づくりとどう関わっているのか、会計報告と税をどう活用できる可能性があるのかを基本から学びます。

冒頭に司会の浅見哲税理士(ESD-J監事)から、今回のセミナーシリーズの狙いについて、そして第3回の目的が紹介されました。

次に第1回、第2回の参加者から出た質問に対して、神田博則税理士にご回答いただきました。

Q1. 一般社団法人(非営利型)における売上収益の区別と消費税の扱い(受託金含め1000万円を超える場合など)を学びたい。

A1. 売上収益の区別と消費税の扱いについては、一般的な法人と同じ扱いとなる。課税、非課税、対象外に分かれており、課税売上が1000万円を超える場合には、課税事業者になる。例えば、社会福祉法人の場合、施設の運営、デイサービスの経営については、売り上げは非課税となるなど事業の内容により異なる。

Q2. NPO法人ですが、行政機関や一般企業から委託を受けて講師を派遣した場合は、請負業で収益事業になり、法人税の申告が必要になるか。

A2. 上記のケースの場合は、請負業で収益事業になり、法人税の申告が必要である。

Q3. P60の交通費当の実費を報酬と合わせて支払う場合は、実費の金額も源泉徴収の対象となる。とは所得税基本通達のどの部分に記載あるのかを知りたい。

A3. 所得税基本通達 204-4 報酬又は料金の支払者が負担する旅費に記載がある。

Q4. 申請するかどうかを迷っているため、NPOがインボイス制度に登録することの必要性、意義についてもう少し伺いたかった。

A4. インボイス制度については、これから始まる制度でまだ適用に際しての詳細が定まっていないので、引き続き税制改正(12月)と併せて、情報収集してほしいとのコメントがあった。

次に浅見税理士より、NPOが納税する意義、納税者の権利等について説明していただきました。発言のポイントは以下の通りです。

  • 「アカウンタビリティ(accountability)」とは、アカウント(account:会計)とレスポンシビリティ(responsibility:責任)を組み合わせた言葉で、会計報告をすることにより責任を明確にすることともとれる。
  • 公益法人は、利益をあげることを活動の目的としていない。しかし、公益法人が社会貢献の活動をする=税金を払わなくて良いということではない。
  • 税金というものは、社会の一員としてコミュニティを維持するための会費と考えることができる。
  • 税金を払うことは、仲間と飲みに行って割り勘することと似ている。全ての人が負担すべきなのに、財布を忘れていつも払わない人がいるとする。いつも負担しない人がいるのは不公平であり、そういう人は、飲み会に呼ばれなくなる。割り勘を逃げる人=納税しない人が社会的に評価されることはおかしい。
  • 日本は納税意識が低いと言われている。国家権力ができてから納税制度ができた歴史的な背景のためである。国民VS国家権力という対立構造で多くの人が捉えているために、いかに税金をのがれられるかというマインドになってしまうのではないか。
  • 日本では、申告納税方式をとっている。払うべき人が自ら気がついて支払う制度であり、民主主義の基本である。そのため、政府の税金の使い道が不適切だから納めないということではなく、使い方がおかしいと思うなら、きちんと納税した上でそれを正すアクションを起こす必要がある。悪いルールでも規則である以上は守り、その上で変える必要がある。義務を果たして、権利を行使する。
  • 学生の頃から租税教育を受け、お金の流れを考える事の重要性について学ぶことが重要である。

セミナー中、参加者からは下記の質問やコメントがありました。(抜粋)(→講師のコメント)

  • NPO法人だが、税金の支払いが自団体に該当するとは思っていなかった

→日本では、申告納税方式をとっているために、支払う必要があるかを自ら調べる必要がある。NPO法人であっても、支払わなければならない税金はあるので、知らないで罰金が来ることを避けるためにも、きちんと税制について知ることが重要である。

  • 今回、”税金の範疇を知ったこと、義務を果たして権利を得る”ことができたこと。関わってくださっている税理士の方々がNPOに対して皆様の意識が変わる兆しのお話を伺えたのは良かったです。
  • 持続可能な運営のために、とても大切な内容だと感じました。

事後のアンケートでは、以下のような意見や感想がありました。(抜粋)

  • 税金の使い方について、我々は、どのように指摘したらよいのか?国葬なるものに税金を使うことは全く賛同もしないし、国会でも議論されていない。このような、政府の勝手な税金の使い方はもっと厳しく問われるべきものだと思う。
  • 参加者の問いに親身になって回答いただいた。また、一般的な答えとケースバイケースの対応があると都度、説明があったため、安心ができた。
  • お話はよかったのですが、議論は深まらなかった。参加者は日常業務についての質問をしたかったのに対して先生は税のあり方について意見を求めておられたので先生の希望した議論はできていなかったと感じた。
  • NPO法人に入っていないものが聞いても全く参考にならなかった。

また、「インボイス制度による税負担増に備えて特定費用準備金を考えてます。特定費用準備金の手続きなど(初めて行うので)を知りたいです。」「借入をしないでも安定的に運営していける団体にする方法を知りたい」といった要望も寄せられました。

会計&税以外にオンラインセミナー で扱ってほしいテーマ・聞きたい内容については、「行政機関の縦割りをいかに破るかを含んだ市民活動や連携の在り方」というご意見がありました。

講師からは、以下のコメントがありました。

  • NPO法人はお金がないために社会貢献活動の持続可能性を担保するのが難しい団体が多い現状がある。本セミナーシリーズの準備をする中でNPO法人であってもきちんと利益を上げ、税金を納めるくらいの予算規模、資金的な余裕をもつことで活動が継続することが重要であると思うようになった。
  • 一般的に税金というと、「税金を払いたくないから、いかに減らすか」という思いの人が多い。しかし、浅見先生がお話しされたように、そもそも「税金とは何のために払うのか」という土台について、知り、考えることができると、自分たちが負担すべき適正な税金とは何かという点についてより建設的な考え方ができるようになる。

ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
今後の会計&税の開催に関しましては、ご意見を踏まえ検討して参ります。

講師の発表資料、別添資料、並びに当日の動画は、著作権の関係で公開しておりませんが、希望者にはお送りしています。ご希望の方は事務局までメールでご連絡ください。

  • 事務局メールアドレス:jimukyoku★esd-j.org(★を@に代えて)

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第3回 「公益法人の税務の基本と課題」アンケート集計結果

(アンケート回答者:6名)

1.活動地域

  • 石川県 1名
  • 佐賀市中山間地域 1名
  • 東京都 1名
  • 北九州 1名
  • 全国 2名

2.ゲストスピーカーのお話はいかがでしたか。

大変良かった 1名、良かった 2名、普通 2名、大変不満 1名

2-2 理由:

  • 税金の使い方について、我々は、どのように指摘したらよいのか?国葬儀なるものに税金を使うことは全く賛同もしないし、国会でも議論されていない。このような、政府の勝手な税金の使い方はもっと厳しく問われるべきものだと思う。
  • NPO法人に入っていないものが聞いても全く参考にならなかった
  • 参加者の問いに親身になって回答いただいた。また、一般的な答えとケースバイケースの対応があると都度、説明があったため、安心ができた。
  • お話はよかったのですが、議論は深まらなかったと思います。私もそうですが参加者は日常業務についての質問をしたかったのに対して先生は税のあり方について意見を求めておられたので先生の希望した議論はできていなかったと感じました。
  • 第1回、第2回の内容と、第3回の内容の狙いが大きく異なっており、第3回の目的や議論の要点がわかりづらかった。事前に落とし所をもう少し詰めておいたほうが良かったのではないか。コメントや質問を求められても、何を発言して良いか分からなかったという声もあった。
  • 1,2回すべてを復習できなかったので、3回目の話についていくにあたって、自らの知識不足があった。

3.会計&税関連のより詳細なセミナー を 企画しています。その場合、会計&税 セミナー の参加を希望しますか。
希望します2名、希望しません4名

4.「希望します」を選択した方、会計&税について、聞きたいテーマ、内容を具体的に記載ください。

  • 第1回、第2回について、未受講なのでそちらを確認いたします。
  • インボイス制度による税負担増に備えて特定費用準備金を考えてます。特定費用準備金の手続きなど(初めて行うので)を知りたいです。また借入をしないでも安定的に運営していける団体にする方法がありましたらご教示頂けましたら幸いです。

5.ESD-Jは、オンラインセミナーの有料化を検討しています。金額は幾らが適切だと思いますか。

  • 100-500円/回 2名
  • 600-1000円/回 3名
  • 500円ぐらいにして、内容によっては、1000円でもよい 1名

6.会計&税以外にオンラインセミナー で扱ってほしいテーマ・聞きたい内容は何ですか

行政機関の縦割りをいかに破るかを含んだ市民活動や連携の在り方