第3回ESDトーク「ESDユースとのつながりは“ゲリラワークショップ”から!」
辰野まどかさん

様々な視点・立場でESD活動を実践している方からお話を伺うインタビュー企画「ESDトーク」。第3回はESD-J2017年度のインターン生が、ESDユースの先駆者である辰野まどかさんにインタビューさせて頂いた特別企画です。

みなさんこんにちは、ESD-J2017年度インターン生の原です。今回行わせて頂いたインタビューでは、「ESDとユース(=若者)」に焦点を当ててみようと思います。

私は以前から大学院でESDについて学んでいました。そこでは主に政策という面から学んでいたので、ESDを実践している人や研究している人は経験豊富な「大人」が多いのかな、というイメージを持っていました。
しかし、ESD-Jでのインターンでは、ESD推進のために日々活動を続けているたくさんのユースに出会うことができました。情熱を持って活躍している同世代の若者がこんなにいるんだと実感したことで、ユースの力でESDをもっと盛り上げたい!という思いが強くなりました。

ESDは、持続可能な開発のための「教育」です。私たち若者世代は、これまで生徒や学生として教育を受けてきた視点と、これからの教育を客観的に考える視点の両方を持っていると思います。そんなユースたちとESDの関係を考えていく上でキーパーソンといえる方が、今回お話を伺った辰野まどかさんです。

辰野さんは、「世界をより良くする志=グローバル・シチズンシップ」育成を掲げ、多くのユースとのつながりをどんどん作りながら活動しています。私がESD-Jでのインターンを始める前から、ESDにかかわるイベントには必ずといっていいほど辰野さんのお名前がありました。
いつお会いしても、きらきらした笑顔でユースを引っ張る辰野さん。これまでにも多くのインタビューを受けていらっしゃいます。
今回はESD-Jのインターン生、そしてユースという視点で、辰野さんがどのようにしてESDと出会い深く関わるようになったのか、アクティブに活動を続けるパワーの秘密など、様々なお話を伺いました。

そんな辰野さんのストーリーには、私の想像を遥かに上回る驚きのエピソードがありました。そして、ユースとESDへの熱い思いが盛りだくさんのインタビューとなりました!
キーワードは「仲間」です。持続可能な社会、きらめく未来を創っていくには、一緒に歩む仲間の存在が欠かせません。この記事をぜひたくさんの方々に読んで頂いて、ESDに共感する仲間が少しでも増えたらいいなと思います。
また私と同じユース世代の方々が、ESDへの一歩を踏み出すきっかけのひとつになればとても嬉しいです。

 

辰野まどか(たつの まどか)
一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事
17歳の海外体験をきっかけにグローバル教育に目覚める。大学時代に世界100都市以上を訪れ、様々なプログラムを通して、自らを実験台に、グローバル・シチズンシップを育成するグローバル教育を体験する。コーチング専門会社勤務後、米国大学院留学し、異文化サービス・リーダーシップ・マネジメント修士号取得。その後、米国教育NPOにおいてグローバル教育コーディネーター、内閣府主催「世界青年の船」事業コース・ディスッカッション主任等を通して、世界各地で多国籍チームとグローバル教育を実践。 2012年末にGiFTを設立し、多様性の中から新たな価値を創りだすグローバル・シチズンシップ育成推進のための活動を開始。 現在は「トビタテ!留学JAPAN」高校生コース事前事後研修や東南アジア7カ国を舞台にした海外研修等、中学・高校・大学・企業を対象としたグローバル・シチズンシップ育成に関するプロデユース、研修、講演等を行っている。2016年より東洋大学食環境科学研究科客員教授。
2015年~2017年ESD活動支援企画運営委員。2015年~現在「持続可能な開発のための教育(ESD)円卓会議」委員。(GiFT HPより)

辰野さんとESDとの出会い


―――高校生の時に開発教育や地球市民を育てる教育に興味を持ち、大学4年間ずっと国際協力プラザ(APIC:外務省の外郭団体)でインターンをしていた辰野さん。ここが原点となり、「私はこういった教育のプロになる」と思いながら色々な活動をしてきました。さらに「やはりビジネスもできないと」と思い立ち、民間企業に入ってビジネスコーチという仕事をしたり、大学院に留学したりして学びを深めていました。
ESDとの出会いは、この学びの期間に訪れます。大学を1年休学して参加した、アメリカのUp With Peopleというプログラム。22か国120人の仲間と一緒に、1年かけて世界70~80都市を周りずっとグローバル教育に浸り続けるという、「千本ノック」を体験します。参加して10年以上経ってから、その団体の先輩に「まどかちゃん興味あるんじゃない?」とお誘いを受けたのが、2014年2月の「第1回ESD日本ユース・コンファレンス」でした。

ユネスコと日本政府は、2014年11月に「ESDに関するユネスコ世界会議」を主催しました。その世界会議の一環として、「UNESCO ESDユース・コンファレンス」も行われました。ESD日本ユース・コンファレンスは世界会議に先立って、プレ会議として日本でESDを実践する若者を対象に行われたものです。
(コンファレンスについて詳しくはこちらから→ https://www.goipeace.or.jp/news/20140216/ )
第1回日本ユース・コンファレンスに参加した辰野さんは、その後日本コンファレンスの主催者である五井平和財団からのお声掛けで、世界から参加者が集まる「UNESCO ESDユース・コンファレンス」のデザインとファシリテーションを担当することになります。

2014年「UNESCO ESDユース・コンファレンス」でのお写真(辰野さん提供)

辰野さん 岡山でのUNESCO ESDユース・コンファレンスは全世界150ヵ国から5000人応募があって、そこからたった48人選ばれたピカピカのESDユースが集まりました。本当に面白い会議で、素晴らしい時間を過ごしました。
中でも一番感動したのが、ユースたちが起こした「ゲリラワークショップ」です。
ユース・コンファレンスでは、彼らがユースとしてどうESDを推進していくかをユースステイトメントという文章に一生懸命まとめ、それを持って、名古屋での「ユネスコ世界会議」本会議に参加しました。けれど、本会議でのユースの立場は「何をするわけでもないただの参加者」でした。それに対して、ユースのリーダー的存在の子が「私たちこんなユースステイトメントなんて作ったけど、これ実行に移さなかったら¬意味のないただの紙だから!ゲリラでワークショップをやる!!」と言い出し、その場でユネスコと交渉して部屋を一つ取り、自分たちの口コミでどんどん人を誘って・・・
世界のユースと日本をつなぐ立場だった私が「これちょっとまずいんじゃないの?どうしよう相談させて!」とか言っている間に、私を飛び越えてユネスコに直談判に行っていました(笑)。
結果的にものすごく盛況なワークショップを開催したんです。
彼らはユースステイトメントに何を書いたかを伝え、副大臣もいらしている中、大人たちに「私たちの声を聞きましたね、みなさんはこれから何をしますか」ってそれぞれがESDにコミットする場を作り出していました(笑)。大人たちも「私は国に帰ったらこれをやります」と約束したりして。ユースの動きがうわーっと広がって、本当にすごかったです!
彼らはその場でESDに貢献し、結果を出した。ユースステイトメントという「ただの紙」が、本当に実のあるものに変わっていきました。

「ESDにユースを巻き込む」流れができたことが、このユース・コンファレンスの大きな成果だと思います。本当にユースが熱かった!
そこから色々ESDとつながるようになって、第2回・第3回ESD日本ユース・コンファレンスのデザインやファシリテーションもさせて頂きました。本当にたくさんの出会いをここから頂いたと思います。

―――ゲリラワークショップを大成功させたユースたちには、「私たちを“育てる対象”だと思わないでほしい」「中心(担い手の一員)に入れてほしい」という熱い思いがありました。DESD(持続可能な開発のための教育の10年)の最後のまとめになるはずだった世界会議。そこから、むしろ新たな動きが生まれていきました。


GiFTの活動から感じる、ユースの成長


―――コンファレンスをきっかけにユースと積極的につながるようになった辰野さん。これまで、「トビタテ!留学JAPAN」の事前・事後研修や、東南アジア7カ国での海外研修「Diversity Voyage」などの活動を通じて、「世界をより良くする志=グローバル・シチズンシップ」の育成に精力的に取り組んできました。GiFTのプログラムに参加したユースの変化や、その後の活躍についてお聞きしました。

辰野さん GiFTのプログラムでやっているのは、①自分を知り、②相手を知り、③仲間とともに新たな価値を見出す=co-creationして、それをもって④社会に貢献・参画する、というプロセスを徹底的に体験することです。Diversity Voyageという海外研修ではこのシンプルなステップを、タイやマレーシア、インドネシアなど色々な国に行って、現地の人たちと一緒に体験します。
プログラムの既参加者たちは、一言でいえばこのプロセスを「自分たちで回せる」ようになっています。例えばラオスコースに参加したある学生。彼は他の学生がラオスの大自然の村を見て、「すごい、自然がいっぱい」と喜んでいるのを見て、「え?これうちの実家と一緒なんだけど。何も珍しくない、同じ風景」と感じます。そこでふと思うんですね、「同じように自然がいっぱいの村だけれど、自分の地元の方が地域の活力が失われている。ラオスよりも地元の方がまずい状況だ」と。地元の危機感・地元を変えなきゃという思いを持って、Voyagers(プログラム参加者)やEx-voyagers(OB・OG)を巻き込み、地元の高校生や自治体もガンガン巻き込んで、地域活性のプログラムを実践しています。海外での経験を本当に自分の地域に落とし込んで、さらに発展させているというのが素晴らしいですね。
また、バンコクで自分たちバージョンのVoyageを作り上げて実践した子たちもいて、これもすごく嬉しかったです。GiFTでは「頭で考えて解決策を練る」というよりも、Heart to Heartの対話をしっかり持った中でco-createしていくというやり方をとっています。このやり方を彼らは自分の中で丁寧に消化して、自分の活動に存分に生かしているので、すごいなあと思いますね。本当に誇らしいです。

―――大きなプロジェクトを自分たちで動かせるようになるまでに成長する学生たち。GiFTのプログラムには、もともと意欲や能力の高い学生ばかりが集まっているからでしょうか?

辰野さん 実は、Diversity Voyageに参加する学生たちは、「最初から志が高い」というわけではないんです。
英語力が全く不問なので、「海外行ってみたいけど英語できない」「何のために大学行ってるのか全然分かんない」でも「楽しそうだし暇だし行こっかな」みたいな子も来ます。そんな軽い気持ちで参加した子たちも、プログラムを体験すると、変わる!!本当に顔つきが変わって帰ってきます。
そういう子たちから、“自分の本当の思い”みたいなものをずっと知らなかったという声を聞きます。「今まで私は先生たちから期待される答え、親から期待される答えを言い、友達とはくだらない話しかしてこなかった」と。自分の感情や思いを、良い悪い正しい正しくない関係なく、ただ出すっていうことをやったことがなかった。「自分自身を開く」という体験をしたことがなかったんです。

―――辰野さんはそうした「世界とつながる扉を開く」だけではなく「自分自身を開く」体験のできるこのプログラムを「オープンドアプログラム」と呼んでいます。今まで向き合ってこなかった自分に向き合い、新たな自分を知る体験。そのため、すでに海外経験が豊富な学生もですが、「よく分かんないけど出てみようかな」という学生も大歓迎だそうです。

辰野さん 初めての海外で大自然や独特の文化を見たり、スラムの子たちと遊んだり。そうした中で、参加者の学生たちは自分自身と向き合い、自分の感情や思いを言葉に出す体験をします。楽しかったり悔しかったりもやもやしたり、そうした自分の思いを感じることが成長のきっかけになります。プログラムではその上で、自分たちの体験の中から仲間と共に新たな価値を創り出します。他の参加者や現地の人とのコミュニケーションを通して「自分の意見が言えるって気持ちいいな」とか「みんなで作るって楽しいな」というのを体感していくんです。こうした“自分との対話”を、1回でも経験することが大切なんだと思います。とにかく最初は体験です!
このプログラムを経て自分と向き合い、成長して帰ってきた子たちは、その後も自分の視野を大きく広げています。海外にどんどん出る子も出てきますし、バックパッカーになる子もいるのでハラハラしているくらいです(笑)。

―――「海外」というと、アメリカやイギリスなどの国々が人気です。ただ、そこでは高い英語力が求められ、ネイティブスピーカーとの「言葉の壁」につまずくこともしばしばあります。
しかし、Diversity Voyageで訪れるアジアの国々では、日本語英語があるようにラオス英語がありフィリピン英語がありインドネシア英語があることがわかります。「みんなクセがあるじゃん!」「同じ人間だ!」と開き直れて、コミュニケーションをとること、片言で話すことに怖さがなくなるのだそうです。

辰野さん プログラムの感想を聞くと、現地の参加者たちも「日本人がボルネオ島に来てくれた!」「初めて私が出会った外国人があなたよ」と言葉をかけられ、お互いすごく興味を持って、ドキドキしながら一生懸命コミュニケーションをとっている様子が伝わってきます。そうしたHeart to Heartで自分のことを伝える体験が、自分を開いていくオープンドアにはすごくいいかなと思っています。今後は学生だけでなく、教員向けのプログラムの実施も考えていますよ。


辰野さんのユースへの思い



―――若者の活躍を後押ししていくときに、大切にしているポイントはどのようなところなのでしょうか。

辰野さん 私たちは「育成」しているわけではなくて、「仲間探し」をしているという気持ちで取り組んでいます。ユースの皆は誰でも、グローバル・シチズンシップ、世界をより良くする志をエネルギッシュに持っているんです。私は、彼らを「育ててあげなきゃ!」と思っているのではなく、彼ら自身が輝いて、自分たちの「より良くしたい」という思いを存分に発揮していくことが本当に世界を変えると思っています。

ある大学で、毎週異なるゲストが講演するという授業があり、その中の1回に呼んで頂いたことがあります。その時に、学生からこんな感想文を頂きました。
「毎回ゲストの方は『君たちに期待している』とか『頑張ってください』と言います。でも、そうした言葉はプレッシャーに感じますし、突き放されたようで戸惑いました。
そんな中で、初めて辰野さんが『一緒に頑張りましょう』と言ってくれました。ただ『頑張れ』ではなく、一緒に頑張ろうと言ってくれたことに、とても勇気づけられました。」
これを読んで、確かに「一緒に創っていく」ことがグローバル・シチズンシップ育成なんだなと改めて気付いたんです。自分ではそれが本当に当たり前だと思っていたけれど、感想文を目にしてハッとしました。私にとってもすごく大きいギフトでしたね。

仲間として同志として、そして私も彼らから学ぶ学び手として、何よりCo-Creator、一緒に創り出す人としてユースを見ているというのは、もしかしたら当たり前のことではないのかもしれませんね。教育者も教育団体も、若者を「育ててあげたい」とか「こうなってほしい」、「このレベルまで持っていきたい」と考えているところが多少あるなと思います。でもGiFTが一貫して常に伝え続けているのは、ユースはもちろん、ベテランの方々も、すべての人がこの世界を一緒に創っている仲間(Co-Creator)なんだということ。そうしたご縁にいつも感謝しています。

2017年「バンコク会議」でのお写真(辰野さん提供)


アクティブに活動を続ける原動力


―――ユースを含めすべての人々を「この世界を一緒に創っている仲間」と捉え、アクティブに動き続けている辰野さん。彼女の様々な活動には、2つの原動力があるそうです。一つは、大切な仲間の存在。もう一つは、「この時代に生まれてきたからには面白いことをしたい!」という思いです。

辰野さん 私にとって、仲間の存在はとても大きいです。GiFTの大切な仲間、ESDユースの仲間、ESD円卓会議で向き合う委員の方々、ESD-Jや活動支援センターの方々、大学時代から夢を語り合っている仲間。皆さん、世界をより良くしようと思っている、言ってみればグローバル・シチズンシップを持っている、そういう方々とご一緒でき、進むことができています。
これがグローバル・シチズンシップを全然理解していない人、理解してもらえない人たちに囲まれていたら心が折れていたかもしれない。けれど、今は本当に毎日毎日グローバル・シチズンシップを持つ人たちに出会いながら活動を深めていくことができていますね。仲間がいるということが、心折れずに進むことにつながっているかなと思います。

そして皆と一緒に今この瞬間、一番貢献できることってなんだろう、見たい世界ってなんだろう。私は、やっぱりグローバル・シチズンシップという言葉を世界で「当たり前化」したいんです。いい会社に入るための勉強でもなく、ただ親に言われるからという学びでもなく、本当に世界をより良くするために皆で力を合わせてそれぞれの強みをもって生きていく社会。これを自分が生きている間に見たいですね。いま「分断」って盛んに言われていますが、良心のある人たちのつながりというのは絶対にできると思っています。
教育においてもグローバル・シチズンシップが当たり前になって、先生たちが「自分は世界をより良くする志を育むために教師として存在しているんだ」と思える社会にしていきたいです。


これからの夢や目標、未来に向かってどう歩いていきたいか


―――グローバル・シチズンシップを当たり前にしたい。この思いを大前提として、辰野さんの近々の目標は「SDGs4.7」というフィールドを作ることだそうです。2017年10月には、「Educators’ Summit for SDGs 4.7」を開催。教育改革が避けられない未来としてやってくる中で、ワクワクしながら活動しています。

辰野さん 教育改革の中で、「持続可能な社会づくりの担い手を作る」ことが大きなテーマにはなりました。でも、「ゆとり教育」の時のように、「いいことを言っているけれど結局現場にその理念が正しく浸透せず、『ゆとり』だけがフォーカスされてしまった」といったことになってほしくないという思いがありますね。
ESDや¬開発教育や国際理解教育や環境教育といった分野は、すでに何十年という長い歴史があり、現場にどう生かすかという実践の蓄積やノウハウが充分にあるんです。ただ教育改革で動き出している部分とまだ十分に連携が取れていないように感じています。その結果、「持続可能な社会の担い手づくり」にこれまでの知見をメインストリームとして入れるという部分が弱くなっていると感じています。
SDGs4.7は、賛否両論あるかもしれないですけれど、ESDも開発教育も国際理解教育も環境教育も全部入っているんです。たったターゲットの1個にすぎないアジェンダにもかかわらず、多様で広範囲な内容を含んでいます。新しい団体であるGiFTはニュートラルに、それらの教育をより多くの方々に繋げられるようになれたらいいなと思っています。そのためには、SDGs自体は有名な言葉になりつつあるので、SDGs4.7というものをひとつブランド化したいです。SDGsにかかわってきた教育者の人たちが、SDGs4.7に包含される色々な活動にちゃんと出会えるように、おつなぎすることが、近々ですごくやりたいなと思っていることです。

―――さらに、現場で教育に携わる先生たちともつながっています。ここでもやはり大切にしているのは、「すべての人がこの世界を一緒に創っている仲間」だということ。

辰野さん GiFTでは先生向けのプログラムも開催していて、先生方も自分の「もやもや」を言っていい、という研修をしています。そうすると意見が出ます出ます!先生方もやっぱり悩んでいらっしゃいますね。
こういったプログラムでは、「先生が自分を“先生”として接していたら、生徒は“生徒”にしかならない」ということを伝えています。「一緒に作っていく仲間」として同じ目線で形成しあう、自分に責任を持つ一人の人間としてお互いをリスペクトする。先生が心を開き、自己開示すると、生徒だって自己開示してくれます。ファシリテーターであっても、もやもやしたり泣いたりすることもあり、それは同じ人間同士だからなんです。自己開示が十分にできるようになって初めて、生徒たちは自分自身の声を聴けるようになり、自分が感じていることを怖がらず言えるようになります。SDGs4.7のフィールドがもっと広がるよう、そのような教育の場を作る先生が増えていってほしいなと思います。

「私たちの活動をしていると、未来に希望しか感じない!ユースと一緒に、持続可能な未来に向かって、世界を繋ぐ存在でありたいです。」と、力強くこれからの希望を話してくださいました。


インタビューから特に感じたのは、辰野さんは常に教育の世界に身を置きながらも決してユースや子どもたちを「教育しよう」とは思っていないということ、だからこそいつも「次は何を一緒にやってみようか?」と心から楽しめるということでした。
そして衝撃的だったのが「ゲリラワークショップ」。枠にとらわれない自由な発想と行動力で、「やってみよう」と思ったことはその場で実行するユースたち!これこそが本当の「学び合い」なのではないでしょうか。

今回のインタビューでじっくりお話を伺うことができて、今まで私が「教育」について考えていた時は「生徒はどんな反応をするだろうか」「先生はどうやって授業を運営するのか」といった「他人ごと」にいつの間にかなりがちで、深く「自分ごと」にできていなかったことに改めて気づきました。
ESDは、生徒も先生も、地域の人も企業も省庁も関係なく、全ての人が持続可能な未来に向かって自分らしい一歩を踏み出せるようになることを目指しています。「みんなで一緒に持続可能な社会を創っていく」という原点をもう一度見つめ直して、ゲリラワークショップでユースたちが「自分たちも中心(担い手の一員)に入れてほしい」と訴えたように、私も自分からたくさんの人を巻き込むエネルギーを溜めていきたいと思いました。

私にとって辰野さんは、ESDの世界に飛び込むきっかけを作ってくださった憧れの方です。「原ちゃんも同志だよ、一緒に頑張ろう!」という嬉しい言葉と素敵な表情からは、本当にすべての人がこの世界を創る仲間なんだ、未来は自分たちの力でより良くしていけるんだという信念が改めて感じられました。

ユースの力でESDを盛り上げていくためには、辰野さんの「仲間探し」の視点がぴったりだと思います。インタビューという限られた時間だけでも、「同じ志を持つ仲間」の思いに触れたことで「未来が今この場から広がっていくんだ!」というわくわくした気持ちでいっぱいになりました。これからの社会を彩っていくのは、こうした純粋な楽しさや希望に後押しされた一歩であり、その一歩を踏み出す力をユースはたくさん持っているのだという勇気をもらいました。
最高の未来に向けた「ESD仲間」の豊かなネットワークを、大切に広げていけたらいいなと思います。

自分の心の声をよく聴いて、仲間と一緒に何でも挑戦してみる!これを日々楽しんでいくことが、ユースに限らずすべての人が笑顔で過ごせる素敵な明日につながっていくはずです。

(文責:ESD-J 2017年度インターン生 原)

一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)について詳しくはこちらから→ http://j-gift.org/