第1回ESDトーク(後編) 「持続可能な社会をつくる基本は心と心の繋がり」
永井壽子さん

ESD-Jでは「ESDトーク」と題し、様々な視点・立場でESD活動を実践している方からお話を伺うインタビュー企画を始めました。
記念すべき第1回は、これまで様々な立場からESDを10年以上取り組んでこられた永井壽子さんへのインタビューです。

前編に引き続き、後編では学校でESDを取り組むときのヒントや、学校教育の課題など、さらに深い内容をお話し下さいました。

    


―――ESDを学校で取り組むとき、どのように動いていけばいいのでしょうか?

ESDを学校で取り組むときには、今のところはまず校長のリーダーシップが求められると思います。学校によっては委員会を立ち上げる、生徒会が中心となって取り組む等色々な方法がありますね。

千葉県のユネスコスクール連絡協議会では夏休みに「千葉県ユネスコスクール研究会」というものを開催していました。千葉県ユネスコスクールの特徴はなんといっても横の繋がりで、ユネスコスクールに加盟している高校の生徒が集い研修会を行っていたの。部活でもないのに自主的に生徒が60名以上来てくれたこともあった。すごいでしょう?
生徒達は何をしなければならないのかを求めているのよ、だからこんなにも多くの参加があったのだと思うの。

実はこれだけ生徒の意識が変わった理由の1つが、外部の方に学校全体の生徒の指導をしていただいていたからなの。
ユネスコスクールは千葉県に16校もあるでしょう?すると、学校の教員がその16校の生徒たちを指導するということはなかなか難しいの。
自分の学校の生徒が中心になりがちだし、各学校の学力差、特別支援学校もあったので身体的な差もあった。
この外部の人というのがメディア総研の福田さんという方でね、彼は本当に素晴らしい!
彼は若い頃、アメリカのインディアン自治区(ナバホ族のナバホ・ネイション)に住みながら、ディネ・カレッジという大学に通って卒業したのよ。
彼はね、分かっているの、何が大切なことか。生徒達も福田さんのことが大好きでしたよ。

こうした外部の方と連携しながらESDを進めることは今後ますます重要になっていくのではないかと思います

というのも、私が懸念しているのは今後ますます先生方の負担が増えていくこと。
特に小学校は大変です。英語が必修になり、今後プログラミングも取り入れられるとのこと。
先生方はプログラミングの知識なんてほとんどありません。プログラミングの勉強もしなければいけないし、指導の過程での問題解決などを考えると大変だと思いますよ。

今先生の中には心を病んでしまった鬱病の方がとても多い中、プログラムが増えることでさらに精神を患う先生が増えるのではないかと心配なのです。
プログラムを増やすことは簡単かもしれません。しかし、学校内という限られた人員、枠内でどうにかしていかなければなりません、そうなると外部からのサポートを受ける柔軟性を学校側が持たなければ、学校教育は持続不可能だと思うのです。

私はね、その時にこそESD-JやESD活動支援センターが活躍できるときだと思う。
学校へ足を運んだり、電話したり、面倒くさいと言われながらも関わりを深めることで徐々に先生方の意識が変わり広まっていくと思います。

―――永井さんの夢はなんですか?

夢は「先生方の意識、子どもたちの意識を変えること」です。

特に今の子どもたちはね、自分に自信がないの。人と比べて、評価しちゃうでしょ。
でもね、私が考える「意識」は、自分はすごいんだよ、自分はやればできるんだよ、っていう意識を見つけることなの。
そして先生の「意識」は、評価ではなく生徒のいいところ、素敵なところを伝えてそれを未来に繋げていく、そうすると夢は大きく膨らむでしょう、

社会はますます多様化し、若者たちはこれから国境のない時代を生きることになると思う。
ではその時にどうやって生きるのか、といったときに今までの教育方針ではだめだと思います。
ESDは間違いない道だと思います。

もしできるのであれば、学校とESD活動を実践する方々の間に入りコーディネートできるような、ESDコーディネーターをやってみたいですね。ESD-Jさん、是非お願いします(笑


終始笑顔でESDへの熱い想いを語って下さった永井さん。
永井さんとお話しをしていて見えてきたのは、日本の学校にESDを取り入れることの難しさや課題でした。
また、ESDという未知のワードに抵抗感を持つ先生も少なくないとのこと。
しかし、ESDについての豊富な知識や活動経験を持つ学校外の方(地域、NPO/NGO、企業など)が関わることで、先生方の負担が減り、持続可能になっていくのではないか。そしてその時に、キーマンとなるのはやはりESDコーディネーターではないか、永井さんは語ります。

今後ますます複雑化し多様化する社会の中で、子どもたちが自分に自信を持ち、幅広く世界を見渡せる力を身につけ生きていくために、ESDの価値観や学びの方法はとても大切なのだと改めて感じました。

ESD活動は、大切にしている視点は同じでも、その実現方法はとても多彩です。
ESDを広げるため、全国各地で様々な活動をしている方のお話を聞いていつも感じるのは、ESDの多様性です。
地域づくり、学校支援、国際問題へのアプローチ、動植物を取り巻く自然環境保全、食や消費に関することなどなど…

ESD-Jでは、そんなESD活動を実践する日本全国・世界の様々な方とネットワークを形成し、企業や行政、学校・大学、公民館等多様なステークホルダーと連携しながらESDの推進をしています。

また、教育機関への支援や、教材などのツール開発など様々な活動を展開予定です。
ぜひ、活動への参加・応援よろしくお願いします。

(ESD-J事務局)