活動内容

人材育成

【実施報告】2023年度 第3回オンラインセミナー(近畿)

市民調査で持続可能な社会を創る
〜スーパーマーケット環境調査の結果を活かし、広める〜

🧩開催:2023年10月9日(月)10:30-12:30
🧩司会:ESD-J理事・松田直子
🧩講師:NPO法人環境市民・堀 孝弘さん
🧩参加者:28名(司会1名、講師1名、事務局3名含む)
🧩プログラム
ご挨拶、趣旨説明
堀 孝弘さんのご講演
質疑応答・意見交換
総括コメント

司会:ESD-J理事・松田直子

司会:ESD-J理事・松田直子

京都市ごみ減量推進会議が2022年の秋に京都市内のスーパー62店(20チェーン)を対象にスーパーマーケット環境調査を行いました。この「お店のプラスチック調査」からプラ削減や省エネなど、多くの好事例が見つかりました。この調査を他の地方、地域に広め、市民が買い物を通じて、企業の売り方やモノづくりに影響を与える可能性を考えるセミナーを開催しました。
冒頭に、近畿地方担当・松田直子理事より、ESD-Jの紹介、本セミナーの開催趣旨が説明されました。

続いて、講師の堀 孝弘さんに以下のタイトルでご講演頂きました。

市民調査で持続可能な社会を創る
〜スーパーマーケット環境調査の結果を活かし、広める〜

堀 孝弘さん

講師:NPO法人環境市民・堀 孝弘さん

講師:NPO法人環境市民・堀 孝弘さん

  1. プラごみ問題
    まず、世界規模の海洋プラスチックごみ問題の現状についてお話いただきました。
  2. プラスチックとどうつきあっていくか
    次に、世界規模で増え続けているプラスチック利用に対する法規制、プラスチック資源循環促進法(2022年1月施行)についてご説明いただきました。
  3. 世界は脱使い捨てプラスチックへ
    脱プラスチックの世界的な動向、先進例としてフランスの取り組みを紹介いただきました。 フランスでは、2022年1⽉より野菜・果物販売時のプラ包装が禁⽌され、未加⼯の1.5kg未満の31種の⻘果物が対象とされています。フランスでは、はだか売りの青果物が63%、包装されている青果物が37%と推定され、同法の施行で毎年10億個以上のプラスチック包装が削減できると期待されています。フランス以外でも西欧以外のアジア、アフリカでも脱プラの動きは活発であり、日本は大幅に遅れをとっているのが実情です。
  4. 2050カーボンニュートラル社会
    カーボンニュートラル社会の実現のために、私たち市民はどのようなことができるかを考え、具体的に実践することが必要です。そのためにも、身近なスーパーマーケットの店頭におけるプラ包装の実態調査を行い、現状を把握した上でその削減を目指していく必要性を感じ、2022年にスーパーマーケット環境調査を実施しました。
  5. スーパーマーケット環境調査
    2022年11⽉、京都市ごみ減量推進会議が主体となりボランティア50名の協⼒を得て、京都市内でスーパー62店(20チェーン)を対象に 「お店のプラスチック調査」を実施しました。 ⻘果物売り場では、日常よく使い、通年入荷する10種の野菜(大根、人参、かぼちゃ、じゃがいも、トマト、玉ネギ、きゅうり、ナス、ネギ、キャベツ)の包装について野菜品種ごとに、商品点数と商品棚に占めるはだか売り商品の割合を調べました。
    その結果、商品点数でみた場合、京都のスーパー62店で確認したはだか売りされていた商品は、比率として約2割という結果が出ました。青果物売り場の約8割がプラスチック包装されているということになります。売り場の棚面積比では、はだか売りが「なし~10%まで」がほぼ半分の48%を占めました。
    集計の結果、スーパーチェーンによって、はだか売りの面積比、商品数に大きな差があることが分かりました。また、この調査からは事業規模とプラ包装の間には明確な関係性は見られませんでした。
    なお、プラ包装を減らそうと工夫しているスーパーの好事例を、他のスーパーに広めることで、規模の大小に関係なく、今よりプラ包装を減らすことができるのではないかと考え、「良いところ探し」とその共有を行っています。好事例は、青果物売り場だけではなく、他の売場でも多く見つかりました。また、プラ包装の削減だけでなく、省エネの事例も数多く見つかりました。

◆好事例の抜粋:
♻️精肉・鮮魚・惣菜売場におけるトレイ・ラップ以外の売り方
(竹皮または紙包装を用いる、切り身のラップ包装販売、「持ち込み皿への盛り付け可」等)
♻️ペットボトル緑茶売場の向かいに、日本茶の茶葉の販売コーナーを設置している例
♻️ペットボトル飲料の冷蔵棚のすぐ横に、同種の粉末飲料が売られている例
♻️サッカー台のロール状ポリ袋の適正利用の呼びかけ掲示
♻️ドライフルーツやシリアル、菓子などで、必要量購入できるはかり売り・ばら売り

📥堀さんの発表資料はこちら(PDF)

質疑応答・意見交換(A. 質問への堀さんのご回答)

以下は参加者からの質問・コメントとそれに対する回答の抜粋です。

Q. 調査報告会に参加されたスーパー等の反応を伺いたいです。
A. スーパーの取り組みの好事例については、取り上げる旨をスーパーにお伝えし、そのうちの数社からは取り上げた事への謝辞が伝えられました。調査は良くない点を粗探しするのではなく、今後の取り組みに繋がるように高め合う機会にしてほしいと思っています。また、調査に参加された高齢の方からは、「普段は気付けないことに気付けて、楽しかった」という感想があり、とても嬉しかったです。

Q. 堀さんから報告していただいた調査は、京都以外の都市・地域でも実施されているのでしょうか。また、全国規模での調査は行われないのでしょうか。
A. これまで同様の調査を実施している地域、自治体、団体などは把握している限りないです。環境に配慮した製品がどの程度あるかというスーパーを対象にした、もっとざっくりした調査は過去にありましたが(京都の北区)、野菜のプラ包装に関する詳しい調査はなかったです。昨年度は京都市内のみで実施したために、今年度からは全国に調査対象を広げようとしています。

Q. 調査への協力をスーパーにお願いしたときには、概ねポジティブな反応でしょうか。スーパーが本調査に協力するモチベーションは何でしょうか。また、調査結果は協力いただいたスーパーにフィードバックしているのでしょうか。
A. 調査への協力は必ずしもポジティブではありません。また昨年度の調査の際にも京都市内が対象だから協力した、全国に広げるのであれば影響が大きく協力できないというスーパーがあったり、国・官公庁の調査であれば協力するというスーパーもあったりしました。私たちの調査は、従業員へのインタビューや資料の提出を求めるなどはせず、店内をただ歩き回り、記録するというスーパー側には負担が少ない方法ですが、見られることに抵抗のあるスーパーもあります。店舗に協力して頂くのに本社・社内の決裁をとることが難しいということもありました。スーパーが協力するモチベーションとしては、自社の取り組みが他社の取り組みと比べて進んでいるのか、平均と比較してどの位置にあるのか、また消費者の声を把握したいということがあります。調査結果、好事例は協力企業にフィードバックしています。

Q. 学校、教育機関での消費者教育としての消費者の意識の変革も重要かと思います。学校等へのご講演の機会も多く持たれていると思うのですが、堀さんのお話を聞いた若い世代の反応はいかがでしょうか。また、どのような教育的なアプローチがこれから必要と思われますか。
A. 先日、京都産業大学で調査の報告をしましたが、生徒から心に響いたという反応がありました。市民団体が世の中を変えようという視点で、企業に訴えていく活動があるということを知るだけでも学生は触発されるものがあったようです。私たち消費者は、企業に対するステークホルダーでもあるので、要望を伝える機会があるということを学生達に示していきたいと思っています。大学のある授業で、この問題を扱っていただき、学生にプラ包装の問題を伝えた上で近隣のスーパーに出向いてプラ包装の実地調査を実施し、数店舗の相違を発表してもらうという授業を実施しました。このような授業がより多くの学校で実践できたら良いと思っています。

Q. スーパーのサッカー台で、ロール状のビニール袋を使用している買い物客がどの程度いるのかが気になります。こういった消費者の行動についても今後調査の対象とすることが出来たら良いのではないでしょうか。また、行政、学校、市民団体等が協力して、消費者教育が行われているのでしょうか。
A. まず前提として、京都市の取り組みをお話しする立場にはないと言うことをご理解ください。その上でかつては京都市に限らず行政、大学、NPO等がレジ袋の有料化を進めるために懇談会をつくる等の連携がありました。しかし、レジ袋の有料化が実現してから、各地で横の連携がなくなっているということが改めて分かりました。そのため、消費者団体が調査に参加してくださることになってもスーパーとのコネクションがないことがとても多いです。一方で現在でも懇談会を維持している地域もあります。そういう場所では、スーパーの協力が比較的容易に得られました。消費者教育については、手前取りの呼びかけのポスター掲示などがあります。サッカー台のビニール袋の適正利用を呼びかける掲示はごく少数のスーパーでしか行われていませんでした。

堀さんのコメント
🎭 野菜は収穫後も呼吸しています。水分が抜けると、劣化になるのでやむをえ無くプラ包装しているものもあります。劣化すると売れなくなって、食品ロスにつながるということも理解が必要ではないでしょうか。虫がいたら買わない消費者が多いことが現実です。農産品を工場製品と同じように考えている消費者の考え方を変える必要もあるのではないのでしょうか。
A. プラ包装を全て無くすべきと行っているわけではなく、丸のままの大根、キャベツ一玉、土付きの野菜のように衛生面でも、はだか売りをして問題の無い野菜のプラ包装をできるだけ減らす、様々な知恵を出してプラスチックの利用量を減らすことが大切ということを訴えています。そのためにも調査により、現状を把握すると言うことが必要だと思っています。こうした調査は、消費者に対する環境教育の機会でもあります。未来の売り方については、現在の売り方に縛られるのでなく、プラ削減、食品ロス、省エネに繋がるようなもっと革新的な新たな売り方が出てきたら良いと思っています。
🎭 調査や好事例の紹介によって、こんな良い結果が生まれたというような発信、実績に結びつけることが出来たら、一層、良い事例が普及していくのではないでしょうか。
A. そのために研究レベルの協力も必要であると同時に、取り組みの結果売り上げが下がったということになったらどうするのかといった問題もあるので、実施できたら良いが方策を考えていきたいです。
🎭 今回の調査は、官公庁など上からのアプローチではなく、市民団体が主体となってスーパーを変えていけるのではないかという視点で、実施している点が面白いと思いました。

最後に、堀さんより、今年度の調査結果については、集計したらフィードバックしていきたいこと、また今年度の調査は、地域的な偏りがあるために、次年度はより多くの地方で実施できればと思っている事が参加者に伝えられました。是非、今後の取り組みや調査結果に注目していただきたいと締めくくられました。

松田さんのコメント
少し前に、ニューヨークの小学生が海洋廃棄プラ問題について活動するドキュメンタリー映画「マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年」で子どもたちが課題解決に向けて自分たちで考え、行動していく姿に感銘を受けました。日本でもプラ問題は深刻ですが、多くの人や団体を巻き込みながら市民が自ら調査を行い、現状を認識し、良い企業の取り組みを発信、各地域へ広げていく、堀さんの問題意識や行動力に共感しました。調査に参加した学生や市民ひとりひとりが気づき、その人づくり・仲間づくりがまさにESDだと思います。

参加者のアンケート回答結果は以下の通りです。

📈アンケート回答者:20名
  1. 活動地域
    千葉県 2名、埼玉県 1名、関東地方 2名、北陸 1名、京都府 4名、大阪府 1名、兵庫県 1名
    中国地方 1名、関西地方 1名、鹿児島県 1名、北九州、福岡県4名、全国 2名
  2. セミナーの内容はいかがでしたか
    📌こういった市民調査は大変かもしれませんが、具体的な学びが多く結果もわかりやすく、何より楽しそうだと思いました。九州からやってみたいという団体が現れていないようですが、知らないだけだと思います。実際、私もやってみたいなと思いました。
    📌 プラスチックを減らすための行動として、自分自身の暮らし方の見直しは考えていたが、今回のスーパーの調査は、スーパー(企業)への働きかけ(要請という一方的な圧力ではなくて、企業側に考えてもらうような働きかけになる)とともに、調査員の気づき・目覚めにも大きな効果があり、着眼点が素晴らしいと思った。本日の資料を広く拡散して、このような視点を多くの人に持ってもらおうと考えています。
    📌百貨店関係もこの調査に参加してはと思います。
    📌消費者がステークホルダーの一員であるという言葉はとても印象的で、今後使わせていただこうと思いました。本当に素晴らしいお話をありがとうございました。
    📌市民調査というアイデアは、他にも転用できると思いました。
    📌市民目線で行う調査の意義がきちんと理解できました。同時に、それを全国に広げようとしている姿勢に感銘を受けました。特に、プラスチックチック廃棄物や食の問題は、すべての人々にかかわってくるので、結果を教育にも使うことができます。
    📌 消費者運動、市民運動が以前よりも下火になっているというお話でしたが、市民調査の実施を契機に、市民が企業に声を届けることや影響力について知ることができたら良いと思います。住んでいる地域で市民調査が実施される際には、是非参加してみたいです。
    📌 食べるために毎日通っているスーパーの環境問題に対しての取り組みを知ることで、スーパーから学べる世の中になれば住民の意識が変わるような気がします。また、スーパー全国調査結果は、大変貴重なデータになると思います。
    📌席上、質問しました様に、今後更に実態把握、好事例収集を全国ベースに広げるとの説明がありました。素晴らしいことだと思います。ただ私なら今までの調査結果をスーパーの買う側および売る側に更に周知する方を優先したいです。そして”はだか売り”の割合を増やす成果を実績として出したいです。コロナ禍で過剰包装が増えていることが懸念されますので絶好のタイミングと考えた次第です。

📉お店のプラスチック調査2022報告(京都市ごみ減量推進会議)
<以下、堀さんのブログより>
🗑わかりやすい海ごみの話 その1 海ごみの実態
🗑わかりやすい海ごみの話 その2 海ごみの影響
🗑わかりやすい海ごみの話 その3 海ごみと私たちの暮らし
🗑わかりやすい海ごみの話 その4 海ごみの発生源対策

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