<2025年10月22日>
この日は、まずブルキナファソのアブゼ・ジグマ王女による基調講演が行われました。講演の中で印象に残った言葉、キーワードは、私たちは生まれたときから学び始めている、知識は大きな力、Nature based solution、若者は問題ではなく優れた資産、権利を守るために法的な整備が重要。ニーズと課題解決のミスマッチが起きていないかを確認することが重要というものでした。

次に各地域のRCEユースコーディネーターによる事例紹介、パネルディスカッションが行われました。日本、韓国、インドネシア、ケニア、アメリカの若者から発表からは、活動への熱意を強く感じました。どうしたら世代を超えたコラボレーションができるかについては、お互いの考えを尊重すること、理解しようとすること、信頼がキーワードであると感じました。信頼関係を構築するには、互いに真摯に耳を傾けること、世代を超えた広範なコラボレーションには革新的な考え方が大切なこと、情熱をもって好奇心に従って大胆に行動することも強調されました。若者は経験不足であるために間違うこと、失敗することもありますが、それを温かく見守ることが大切であると思いました。

それ以降は、様々なテーマの小グループに分かれ、事例発表や議論が行われました。
私が参加した分科会(分科会7地域から持続可能な未来を共創する:ESDによるインクルーシブな社会の構築)で印象に残ったのは、以下のような発表とグループワークです。
事例としては、岡山県の高島公民館におけるユース主催のイベント(お祭り・絶滅危惧種を保護)などユースが地域に働きかける活動、フィリピンのスラム地域における絵本を使った子どもたちへの啓発活動、ナイジェリアにおけるダイアログを通じた若者のアンガーコントロールのプログラムについて等、ユースの活動が紹介されました。グループワークでは、世代間の学びの促進には何が必要かを話し合いました。私たちのグループでは、世代間のパワーバランスに注意する必要があることや、テクノロジーの力を使って世代間の交流や連携を促進する可能性について意見が交わされました。
<ポスターセッション>
参加団体の多くがポスターセッションに出展しており、1時間ほどブースを訪れた参加者に活動を紹介したり、交流したりしました。長年ESD-Jと交流のある方も、初めてESD-Jを知ってくださる方もおられ、多様な出身国、属性の方々との交流ができました。

分科会が終了後、各分科会の代表者がセッションの要旨を発表しました。
- 分科会1:政策推進

主なポイント:全発表を通じて、持続可能性に向けた政策推進には多層的な連携、若者の実質的な参加、科学的知見と先住民の知恵体系の統合、参加型学習環境の構築が不可欠であることが強調されました。モデレーターは、グローバルRCEネットワーク全体で現場レベルの活動と革新的な学習アプローチを結びつける重要性を指摘し、セッションを締めくくりました。
- 分科会2:学習環境の変革

主なポイント:3つの事例研究から得られた主な学びは、共感、パートナーシップ、共有教育に基づく変革を実現するために必要なコミュニティ全体のアプローチです。この教育には、協働学習や教室外での問題解決など、魅力的で楽しく、個人に合わせた学習者参加型の新手法が求められます。これらの新手法には、教員の新たな知識・技能・能力開発への支援も不可欠です。最後に、大学はカリキュラムへの新資源の迅速な導入やインフォーマル教育戦略への容易な展開が可能であるため、こうした新たな教育戦略の先駆的実践において相当な柔軟性を有します。初等・中等教育の公式カリキュラム変更は3事例全てにおいて依然として困難だが、長期的には価値ある取り組みとなるでしょう。
- 分科会3:教育者の能力構築

主なポイント:本セッションでは、変革的なESDを推進する上で教育者の能力強化が基本であることが再確認されました。効果的なモデルは、体験学習、地域連携、制度的支援を融合させ、教育を伝達型アプローチから脱却させます。教師、地域社会、若者、地域組織を共同教育者としてエンパワーメントすることで、ESDは積極的な市民参加を育み、地域のレジリエンスを強化し、SDGsに向けた持続的な共同行動を促進できます。
- 分科会4:若者のエンパワーメントと動員

主なポイント:本セッションでは、若者のエンパワーメントとは単に若者が前に出るための場を提供するだけでなく、より重要なのは、彼らが自ら未来をリードできるよう準備し動機づけ、直面する課題にもかかわらず批判的思考と前向きな姿勢を育むことであると結論づけられました。
- 分科会5:新興技術によるESDの革新促進

主なポイント:1) 革新的な技術は包括的アクションの強力な推進役となり得ます。2) 拡張性と持続可能性の実現には多層的な連携と強力な制度的支援が必要です。3) 技術は人間関係や地域社会に基づく学習を補完すべきであり、代替すべきではないです。参加者はまた、能力構築のための動機付け、開放性、AIなどのデジタルツールの活用を強調しました。
- 分科会6 :2030年以降の学び:ESDを日常に織り込む

主なポイント:本ワークショップは、RCEsが2030年以降のESDについて、個別および集団として考え行動する基盤となる議論を始める貴重な機会を提供しました。フューチャーズ・シンキングの手法により、RCEsはステークホルダーと共に驚異的な未来像を描き、それを実現する革新的な戦略を構築できます。2030年に向けて進む中で、世界中のRCE間の継続的な対話と協働を育むことが、2030年以降のESDの未来を形作る上で極めて重要な役割を果たすでしょう。
- 分科会7:地域から持続可能な未来を共創する:ESDによる包摂的な社会の構築

主なポイント:結論として、本セッションでは、持続可能なコミュニティは世代や大陸を越えた対話、信頼、共有された学びを通じて発展することが強調されました。日本、フィリピン、ナイジェリアの経験を結びつけ、参加者は包摂的教育、若者のエンパワーメント、協働が、地域のリーダーシップと生涯学習に根ざしたレジリエントな社会を共創する鍵であると強調しました。
- 分科会8:倫理的転換におけるプラネタリー・センタード大学:人間と地球の幸福のためのSDGsを超えたESDの推進


主なポイント:本セッションは、持続可能性への移行が高等教育における倫理的変革にかかっていることを再確認し、以下の3つの主要な提言を強調しました。
- プラネタリー・ソサエティ:人類を地球の生態系に不可欠な構成要素として認識し、人間と地球それぞれの健全な発展に不可欠な存在である。
- 地球市民性:地球意識、倫理的自覚、共感、異文化理解、長期的なケアを育む。この転換は「ホモ・エコノミクス(経済的人間)」より「ホモ・シンビオティクス(共生的人間)」を優先。
- 惑星中心の大学:大学を惑星の繁栄の種として再構想する。これを実現するには、ESDを組織全体に組み込み、機関のあらゆる活動において惑星市民性を実践化することで、惑星の再生を推進。
- 分科会9:グリーンで持続可能な学習 – すべての学習者に気候変動への備えをもたらす持続可能性能力と教育法

主なポイント:セッションの締めくくりとして、各グループが学校での授業計画を発表しました。セッション中、参加者はすべての能力とアプローチを統合する必要があるのか、あるいは活動にこれらを統合する最善の方法は何かを理解しようとしました。必ずしも全てを統合する必要はないと強調されました。むしろ目標は、探究と体験学習の機会を提供する、包括的で参加型かつ学際的なアプローチを採用することです。これらのアプローチを通じて様々なトピックや概念に取り組み、関連する持続可能性コンピテンシーを意味のある方法で文脈に適した形で統合することが可能です。
- 分科会10:次世代の変革者を育む:実践志向のESDに向けた教育者のツールキット

主なポイント:議論の中で、参加者は重要な洞察を提示しました。例えば、自信と自尊心は行動の前提条件であり、重要な学習成果であるという事実です。また、仲間が持続可能な行動を促し、考え方を変える上で重要な役割を果たすことも強調されました。同時に、世代を超えた協働も社会変革の重要な要素であり、それは家庭から始まります。家族は次世代の教育体験を豊かにする専門知識の源泉となり得ます。最後に、教室で革新的技術を活用する際には、そのタイミング・目的・方法に注意が必要であることが強調されました。技術が本来必要な進歩を阻害する可能性があるためです。
- 岡山宣言
会議の最後のセッションは岡山宣言のファイナライズの作業を参加者全員と行いました。事前に送付されたコメントも踏まえ、丁寧に編集作業が行われました。
最終化された岡山宣言は下記の通りです。
◆岡山宣言(和訳)
https://i.unu.edu/media/ias.unu.edu-jp/news/33135/2025-Okayama-Declaration_Japanese.pdf
◆岡山宣言(原文)
https://unu.edu/sites/default/files/2025-12/2025%20Okayama%20Declaration.pdf
◆「「第14回グローバルRCE会議」岡山宣言の 要旨と宣言の公表について」(岡山市のウェブサイトより)
https://www.city.okayama.jp/shisei/cmsfiles/contents/0000075/75962/20251023_RCE.pdf
◆宣言中のUbuntuとは何か?
| Ubuntuとは、南部アフリカのズールー語やコサ語に由来する言葉で、
“Umuntu ngumuntu ngabantu”(人は人によって人である)ということわざが象徴しています。 一言で言えば、「人間とは、他者との関係性の中でのみ、人間になれる」という思想です。 つまり、「私」は単独で完結する存在ではなく、あなたや社会、自然や先祖とのつながりの中でしか、私でありえない。そんな根源的な共生の感覚が、Ubuntuの中心にあるのです。 「競争」ではなく「共鳴」で生きる 西洋近代思想における個人とは、「自立した合理的存在」として定義されてきました。 でも、Ubuntu的な人間観では、
こそが、人間らしさの証とされるのです。 |
◆国連大学の会議報告
https://unu.edu/sites/default/files/2025-12/14th%20Global%20RCE%20Conference%20-%20Report_final.pdf
◆ビデオ(plenary sessions)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8pjq9ZrqUxxhUmaQK1–omo_7O0K2Isw
◆コンセプトノート、全体プログラムは、下記リンクからご覧いただけます。
https://14th-global-rce.com/assets/img/home/Concept_Note_and_Programme.pdf
◆ 岡山ESD推進協議会20周年記念誌
https://www.city.okayama.jp/kurashi/0000076008.html

岡山市長の閉会挨拶


