活動内容

国際連携

第14回グローバルRCE会議参加報告(No.3)

<2025年10月23日>フィールドビジット

最終日は、岡山大学訪問と、公民館見学の2コースに分かれてフィールドビジットを行いました。公民館コースの参加者は、4グループに分かれてそれぞれ小学校と、公民館を訪問しました。

私が参加したコースを紹介します。

【福浜公民館訪問】

まず、立花館長より挨拶があり、次に活動紹介のプレゼンテーションがありました。

説明の中で印象に残ったことは、岡山の公民館は年間100万人以上が利用していること、国際理解教育、交流の場にもなっていること、世代を超えて学び合う場であり、防災キャンプ、コミュニティキッチン(ボランティアが運営)、高齢者の運動・会話をする機会の創出、親子の支援、そして日本語教室など実に様々な活動が行われていることです。

参加者からは、①公民館間の交流があるのか、②もし予算の制約がなければどんな活動を行いたいか、③大学との連携はしているかなどの質問がありました。

公民館の関係者からは、①2年に一度37公民館が一堂に会して交流するイベントがあること、②外国の方との交流機会の創出や細やかなケアを個別に提供していくためのスタッフや先生を拡充したいとの回答がありました。また、③京山公民館など大学が近い公民館では、連携している事例もある旨も紹介されました。

また、公民館は現在、高齢者の利用は多いけれど若者の利用が少ないため、若い方々と学び合うことや若者との協働をもっと行っていきたいとの意向も示されました。

  

日本語教室の先生をしている方々からは、公民館で教える経験により、外国の方たちとの信頼関係が醸成されていること、公民館のスタッフともチームとして絆が深まっていることなど、とてもやりがいを感じているとのお話がありました。

 

【浦安小学校訪問】

体育館において生徒を対象に行われる防災教育の授業の見学・体験を行いました。

冒頭に英語や幾つかの言語でのこんにちはという挨拶が生徒からあり、和やかなムードで授業が始まりました。

下記の幾つかの活動は、地域の方の協力のもと行われました。活動の目的や注意事項の説明を受けたのち、生徒たちが実践しました。

  1. じゃがりこを使った非常食作り
  2. 布をタンカのようにして怪我人を運ぶ方法の実践
  3. 防災倉庫の備品確認、簡易トイレの組み立て、実際に座ってみる, 保存食の試食
  4. 数種類の紐の結び方講座
  5. 発泡スチロールの簡易ベッドの組み立て

活動の目的や注意事項の説明を受けたのち、生徒たちが実践しました。

 

布は周囲をくるくると丸めると強度が増して、重たいものでも運び安くなること、発泡スチロールの簡易ベッドはダンボールに比べて暖かいけれども小さく畳めず嵩張るので、多くの数を備蓄するのは難しいこと、発泡スチロールのベッドは、お年寄りや怪我人、妊婦さんなどスペシャルなケアが必要な人が使うべきことなど様々な知識を得ました。

活動を見学しつつ、見学者も実際にタンカで運んでもらってみたり、簡易トイレに座ってみたり、紐を結んでみたりと体験しました。また、生徒に質問をしたりして、交流をしました。

このような防災教育は日本特有の活動のようで、参加者は熱心に説明を聞きながら、興味深そうに見学していました。また、生徒たちが説明をおとなしく受けていることや、積極的に授業に参加しているという態度に感激して、日本の子どもたちはすごいと言っている参加者が多くいました。

第14回RCEグローバル会議に参加して(参加者の個人的所感)>

○浅井孝司理事

2025年10月21日から23日に岡山市で開催された第14回RCEグローバル会議に参加しました。私にとっては、2014年に岡山市で開催されたRCEグローバル会議以来2回目の参加となります。2014年の時、私は岡山市職員として共催者の立場での参加であり、実際に参加者としては初めての経験でした。今回も岡山市の熱の入った「おもてなし」に感動し、会議運営はすばらしいと感じました。今回のRCEグローバル会議はRCEが創設されてから20年間世界各地で活躍している方々の参加が多く、内容的にもESDの各活動や問題点などを紹介し、何か久しぶりにESDという言葉とその活動内容を堪能した気分でした。会議開催地である地元岡山の活動紹介も高校生や学生の発表もあり、岡山でのESDの発展が感じられました。また、岡山大学もESD/SDGsにしっかりと取り組んでいることも感じました。

最近国内ではESDという言葉がだんだんと聞かれなくなってきたと感じていますが、この会議に参加して、世界では引き続き熱心な活動が続いていることを確認できました。

持続可能な社会の構築のため、ESDが一時のブームで終わることなく、ずっと続いていってほしいと強く思いました。

○池田満之理事

今回は2014年についで岡山での2回目の開催であったことから、私を含めて1日目の時から関わっている関係者も多かったので、岡山らしい会議が出来たと思います。特に岡山がこの10年間継続している「ESD岡山アワード」の表彰式をこの会議の一部に組み込み、同時通訳システムを入れて広く一般参加もできるプログラムにしたことで、世界からこの会議に来られた参加者とそれ以外の一般の人が交流できる場、プログラムを共有出来る場が持てたことは、とても良かったと思います。「ESD岡山アワード」は年々申込数が増えていて、2025年度は世界81か国から346件にのぼる応募があるESD関係では世界レベルのアワードが継続発展していて、ESDに関する岡山イニシアチブを代表する取り組みだけに、その表彰式(受賞団体のプレゼン等を含む)をこの会議の参加者も参加出来たことは、おおいに刺激にもなったと思いますし、参考になった点も多々あったように思います。

岡山は、公民館を核に社会教育面からのESDが特に盛んであることから、今回の会議でも社会教育面も学校教育と並んで重視されていたように思います。会議の最後に採択された「岡山宣言(2025)」も、学校の枠に偏重することなく、社会全体で捉えて、ESDを社会変革の推進力と位置付け、地域に根差した協働と学びを通じて、持続可能な未来を築く方向性が明確に示されて採択されたことは大きな成果だと思います。ただ、現場での実践と政策レベルでの連携や、若者の参画促進、地域間や国際間の連携などに、まだまだ課題があることもわかりました。

今回の会議では、2日目にだれでも見に来ることができるオープン会場で、英語ではありましたがポスタープレゼンテーションが行われ、数多くのプースでパネル展示とプレゼン、交流が行われたのもとても良かったです。ポスタープレゼンテーションでは、高校生や大学生や公民館職員なども発表していましたが、特に高校生などにはとても良い経験になったように思います。今回の本会議は2日間でしたが、会議後の3日目にオプションで、学校や公民館の現場、岡山の伝統文化に触れる場、岡山の文化施設の中で飲食を共にしながら交流と親睦を深める場が用意されていて、岡山のESDを多面的に体験・体感・共有出来た点も良かったと思います。

ESDを世界的にも先駆的に取り組んできた日本であり、岡山であるので、これからもESDによる社会変革の先駆者として頑張ってもらいたい、頑張りたいと思いました。

○鈴木克徳理事

本年10月21日~23日にかけて開催された第14回RCE世界会議に、ESD-Jから浅井理事、池田理事、横田事務局長とともに参加しました。

本年は、グローバルRCEネットワーク20周年と国連大学50周年という2つの大きな節目にあたるため、「20年のイノベーションと歩みを振り返り、持続可能な未来に向けた学びを再考する」をテーマとして、RCEによる20年の歩みの中で得られた成果を振り返り、世界中でESDを推進するにあたっての革新的なアプローチについて検討されました。

岡山でのグローバルRCE会議は2014年に続き2回目になります。前回に比べて規模的には小さくなりましたが、ICTの進展により、SNSの活用等を通じて、より洗練された会議になったように思います。例えば、ペーパーレス化が進み、紙の使用量が大きく減りました。私にとって印象的だったのは、岡山宣言の策定プロセスです。10年前の会議では、宣言の採択に向けての意見聴取は限定的であり、一部の専門家により作成された宣言が公表され、そのまま議論されずに採択されました。今回はSNSを活用して広く意見を聴取したうえで、最終化・採択プロセスにおいてもスクリーンに投影し、最後までフロアからの意見を踏まえた修正が行われたことは、参加者の意見をよりよく反映する、とても良いプロセスになったと思いました。

もう一つ良かったと思った点は、国連大学サステナビリティ高等研究所(UNU-IAS)がRCEの20年を振り返る出版物(”Learning, Collaborating and Transforming – The 20-Year Journey of the Global RCE Network”)を作成したことです。RCEについては、これまでに「RCE5年間の経験」、「RCE10年間の経験」という2つのレポートが作成されています。20年間を総括するようなレポートが欲しいと考えていたところ、上述のようなレポートが作成され、お披露目されたことは大変良かったと思います。内容的には、近年のRCEの活動により重きが置かれており、アンケートを通じて近年のRCEの活動を分析する等、大変興味深い分析が行われていました。UNU-IASのイニシアチブに深く感謝したいと思います。

このレポートを読んで、UNU-IASのRCEに関する認識が時代と共に少し変化しつつあるように思いました。RCEは、ESDの推進において中核的な役割を担ってきました。ESDの10年最終年会議においても、また、私が参加した世界環境教育会議などにおいても、各地のRCEメンバーが大きな役割を果たしていました。RCEは、ESDの10年を推進するための強力な手段としてデザインされ、地域に根差した独自性を活かしたイノベーションの創出を担ってきました。2005年に策定されたユネスコによるESD国際実施計画に、RCEの基盤をなすグローバル・ラーニング・スペース(世界のどこででも、質の高い(ESD)教育を受けられるようにする)という概念が取り込まれたように、RCEは、地域に根差した活動を工夫することにより、ESD推進のための新たな取組を創出してきました。近年、UNU-IASは、RCEの活動をESDグローバル・アクション・プログラム(GAP)やESD for 2030に示される5つの枠のどれかに当てはめようとしているように思えますが、そのような枠にはめるよりは、自由な発想でそれぞれの地域に適した新たな取組にチャレンジすることにより、ESDの推進に向けたイノベーション創出に一層貢献できるのではないかと思います。

RCEを提唱した故ハンス・ファン・ヒンケル(Hans van Ginkel)国連大学元学長によると、RCEは、地球サミット以降の10年間のESDに関する経験(反省)から生まれたそうです。1992年の地球サミットから10年間ESDを推進したものの、はかばかしい成果が得られなかったので、2002年のヨハネスブルグサミットに際して、世界の科学者、教育者が南アフリカのウブントゥ村で会議を開き、①ESD推進には、国連や各国政府の呼びかけだけではなく、地域に根差した活動を中心にすることが必要、②ESD推進に向けて教育と科学との緊密な連携が不可欠との総括を行った結果生まれたのがRCEの概念でした。そのため、RCEは、地域のマルチステークホルダーによる情報共有・対話のためのプラットフォームづくりを重視するとともに、教育と科学との連携を確保するために、高等教育機関のような知的専門機関の存在を必須としました。また、フォーマル、ノンフォーマル、インフォーマル教育すべてがかかわれるように、学校教育の存在も必須としました。そのような経緯から、高等教育機関のネットワークである国際大学協会(IAU)は、RCEの創設時から継続的にRCEへの支援を続けています。今回の会議に際して、長くRCEに関わってきたMario T. Tabucanon氏、Dzulkifli Abdul Razak氏、Zainal A. Sanusi氏やRCEリージョナル・コーディネーターであるRoger A. Perry氏、Betsy King氏等と意見交換をしましたが、全員が等しく高等教育機関等が果たす役割の重要性を強調していました。UNU-IASのアンケートによれば、近年のRCE活動はNGOや市民社会組織によるものが多いようです。高等教育機関は、実施主体というよりは運営委員会のメンバーのような形で貢献するケースが増えていると推測されます。決して高等教育機関のような知的専門機関の役割が小さくなっているわけではないことを改めて強調したいと思います。

RCEの規模(地域範囲)概念にも変化が見られます。当初は、顔の見える、日常的な対話が可能な地域範囲との考えでした。具体的には、地域の実情に合わせて比較的狭い都市レベルの規模から、国の中の一つの地域まで、規模については柔軟な対応をとってきました。RCEの数が200ほどになると、様々なケースが生じたようです。国全体を対象とするケースや、流域単位のような、広範囲にわたるものも現れるようになりました。近年のICTの進展をも踏まえ、「日常的な対話が可能」と認められるのであれば、規模についてより柔軟に解釈することには合理性があるように思います。

今回の会議には、RCEの創成期に関わった人たちの参加は限定的でした。長くアジア太平洋地域のコーディネーターを務めたMario T. Tabucanon氏、最初のRCEの一つであるRCEペナンを創設した、当初のウブントゥ会議メンバーであるDzulkifli Abdul Razak氏、その下で活動をしていたZainal A. Sanusi氏などが参加してくれたのは、20年を振り返るうえで、大変喜ばしいことでした。わが国のRCEでも、RCE仙台広域圏、RCE中部、RCE岡山などからは昔からのメンバーが参加してくれましたが、RCE北九州などはメンバーが一新しており、時代の変化を感じました。せっかくの20周年記念なので、個人的には、もう少し同窓会的な雰囲気があると良かったのにと少し残念でした。

時代の変遷とともにRCEも変容していくことは当然と思います。しかし、RCEの根幹をなす地域に根差した取組や、教育と科学との強い連携を確保するための大学等高等教育機関や知的専門機関が果たすべき役割については、引き続き重視されることを期待したいと思います。

その他、今回の会議は、RCE関係者だけでなく、一部のセッションが一般にも公開されました。また、RCE活動やその他のESD活動に関するパネル展示も行われました。ESD-Jや日本ESD学会等からも展示が行われました。残念ながら、RCEは、一部のESD関係者以外にはあまり知られていないので、このような機会をとらえてぜひ積極的に、広く国民にアピールしてもらうと良いと思います。

○横田美保事務局長

今回、初めてRCEのグローバル会議に参加しましたが、ベテランの方の示唆に富んだ発表、若い世代のエネルギッシュなESD関連活動の事例発表から多くの刺激を受けました。国連ESDの10年の開始時から長きにわたりRCEの推進、ESD普及・拡大に熱心に取り組んできた方、前回の岡山会議の際に携わった方も多く運営に携わっており、RCEの20周年を祝うと共に、多くの方にとって再会の機会となりました。残念ながらRCEの設立から尽力されてきた世代は徐々にリタイヤしてきており、若い世代への理念や活動の継承が必要となっています。

2030年のSDGsの目標年以降、SDGsの後継の指針についてはまだ発表されていないので、どんなものになるのかは分かりませんが、2030年以降もESDを継続していかなければならないという使命感は皆様が共通にもっているように思われました。では具体的にはどのようにESDを継続させていくのかという戦略については、今回の会議ではあまり議論されなかった印象をもちました。

10年前に開催されたグローバルRCE会議の規模と比較すると、今回の会議は数分の1になっているということをお聞きし、日本の国内でもESDは推進されつつも低調になってきているように感じています。グローバルなレベルでも地道に継続され、根付いている地域、教育機関等はあるものの国連ESDの10年以降は、勢いは衰えてきているように思います。そのためこのままの低空飛行ではESD推進の活動は風前の灯火ではないかとの懸念をもっています。

今回の会議のようにESD関係者が一堂に介し、議論、交流することで、学びあい、頑張っている仲間の姿から刺激を受けてモチベーションを高めることができ、また新しいネットワークの構築、コラボレーションが生まれるチャンスともなると感じました。今回できたご縁を大切に、今後もESDの推進に少しでも寄与できたらと思いました。

  • 国連大学の会議報告

https://unu.edu/sites/default/files/2025-12/14th%20Global%20RCE%20Conference%20-%20Report_final.pdf

  •  ビデオ(plenary sessions)

https://www.youtube.com/playlist?list=PL8pjq9ZrqUxxhUmaQK1–omo_7O0K2Isw

  •  コンセプトノート、全体プログラムは、下記リンクからご覧いただけます。

https://14th-global-rce.com/assets/img/home/Concept_Note_and_Programme.pdf

  •  岡山ESD推進協議会20周年記念誌

https://www.city.okayama.jp/kurashi/0000076008.html

以上

第14回グローバルRCE会議参加報告(No.1)

第14回グローバルRCE会議参加報告(No.2)

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