
- 開催日時:2025年10月21-23日
- 場所:岡山県・岡山コンベンションセンター
- ESD-Jからの参加者:鈴木克徳理事、浅井孝司理事、池田満之理事、阿部治相談役、横田美保事務局長
31カ国から147名の参加者が現地で、119名がオンラインで参加し、総計266名が参加しました。初日には、RCEの設立初期から関わっていた、RCEペナンの創設者であり、ウブントゥ委員会のメンバーでもあったDzulkifli Abdul Razak氏の基調講演があり、続いてUNU-IASによる出版物”Learning, Collaborating and Transforming – The 20-Year Journey of the Global RCE Network”の紹介が、続く全体会では、アフリカ、南北アメリカ大陸、アジア太平洋およびヨーロッパのRCEの地域アドバイザーや代表者による事例紹介とパネルディスカッションが行われました。午後には、ESD岡山アワードの表彰式が行われ、地域からESDを推進する優れた取組が表彰されました。
2日目にはブルキナファソのアブゼ・ジグマ王女による基調講演が行われ、その後各地域のRCEユースコーディネーターによる事例紹介、パネルディスカッションが行われました。続く分科会では、5つの優先課題について議論が、午後にはESDに関する能力開発、ワークショップセッションが行われました。
3日目には岡山の公民館、学校、大学などへのフィールドビジットが行われました。
注)このメモは、横田が興味深かった点、印象に残った議論にフォーカスを充てて執筆しており、多分に主観が入っていることをご了承ください。
国連大学による公式の会議報告(英文)は、以下のURLからアクセスできます。
https://unu.edu/sites/default/files/2025-12/14th%20Global%20RCE%20Conference%20-%20Report_final.pdf
<2025年10月21日>
開会直前には、ゲストを熱烈に歓迎!小学生が花道をつくり、会場入りするゲストを各国の国旗を振ってお出迎えしました。

“共動“ をテーマとした高校生の書道パフォーマンス ひとりひとりが自身の夢を語り、SDGs達成のための連携、行動に向けた力強いメッセージとパフォーマンスを披露しました。

- UNU学長のTshilidzi Marwata氏の開会宣言。RCEのこれまでのESD推進の成果とESDの重要性が強調されました。
- 岡山市長の挨拶。挨拶から市長がESDの推進に熱心に取り組んでいることが良く分かりました。
- 環境省黒部環境教育推進室長の挨拶。20年目の節目を祝う、マイルストーンとしての今回の会議の重要性について述べました。
UNI-IASの20周年を記念して出版した本の内容紹介(下記リンクからダウンロード可能)
313のプロジェクトの傾向を分析し、何を成し遂げたかの可視化と、将来の展望を示す内容です。
◆Learning for a Sustainable Future: RCE Stories of Action-Oriented Pedagogy

https://unu.edu/publication/learning-sustainable-future-rce-stories-action-oriented-pedagogy
◆Learning, Collaborating and Transforming: The. 20-Year Journey of the Global RCE Network.

UNU小西さんから改めてRCEの説明がなされました。RCEの役割は、以下の通りです。
- グローバルな持続可能性に関する目標を地域の行動へ具体化する仕組み
- ESD(持続可能な開発のための教育)への地域全体を巻き込んだ包括的アプローチを保証するマルチステークホルダー・ネットワーク
- 変革的な学習と学際的・セクター横断的・世代間の協働を促進する革新的なプラットフォームかつ実践的な学びの場として役割を果たす
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【キーノートスピーチ】プレゼンターDr. Dzulkifli Abdul Razak
原爆投下から80年の節目であることもあり、戦争は持続可能な社会の構築を阻害するとても大きな要因ですが、そのような文脈で語られることは稀であることが強調されました。

次にDevelopmentの7ステップが提唱されました。
- ステップ1.サイロ化させず、システム全体へのアプローチ/ No silo, whole system approach
- ステップ2.共通プラットフォームの構築/ Creating common platform
- ステップ3.コミュニティとの連携/ Community engagement
- ステップ4.体験学習(価値観の獲得)実践を通じた学び/ Experiential learning (values caught) Learning in action
- ステップ5.地域に根ざした教育実践プログラム/ Indigeous Edu-Action programmes
- ステップ6.共生/ Coexistence
- ステップ7.新たな(マイクロ)人間関係に基づくガバナンス/ New (micro) human governance
特にステップ5のIndigeous Edu-Action programmesでは、教育に関して重要な要素は、20世紀に重視されていた①3M(Manpower, Mindset, Machine)は、21世紀には②3H(Humanity Heartset, High touch)へと重要な要素が変化してきましたが、更に③に変化しているということが印象的で、人間性を重視した教育/Humanizing educationが重要となってきています。
- 人的資源/Manpower→② 人間性/Humanity→③ 共感/ Sympathy
- 考え方/Mindset→②心/Heart→③ 共感力/Empathy
- 機械(ハイテク)/Machine(Hi tech)→② 1対1で直接対面し、手厚く個別に対応する/Hi-Touch→③ 相手の苦しみを理解し、助けたいと思う(行動を伴う)/Compassion
そして、Community + Universityを組み合わせたCommuniversityという取組みについても紹介されました。この構想は、彼が学長を務めていたマレーシア国際イスラム大学で地域レベルで展開されつつあり、ここから世界的に広がる可能性を秘めています。コミュニバーシティ構想とは、大学と周辺コミュニティの間で知識が共存し共創されることを指します。学生は地域活動を通じて持続可能性を学び発展させると同時に、地域社会に大きな利益をもたらすことができます。
※Dr. Dzulkifliの発表資料は下記リンクでご覧になれます。
https://drive.google.com/drive/folders/1jGdgdVPeVK4B_IqY56qJq5mjzTWsM2-C
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【プレナリーセッション1】各国のRCEの事情、課題と成果が共有されました。

- アフリカ:アフリカには30のRCEがあります。私が関心を持っているモザンビークには存在していないですが、来年の立ち上げに向けて準備中。RCEへの申請書が不十分・不備があることが主な課題です。
- 南北アメリカ大陸:先住民の知識を尊重、生物多様性・保全活動、公教育の変革にとり組んでいます。大量生産と大量消費を見直すような活動を実施しています。課題としては、アメリカ合衆国がユネスコを脱退しており、国家レベルのESD(環境持続可能性)指針が欠如し、SDGs・ESDに逆行していることです。
- アジア太平洋地域:20年間で5から82までRCEが増えています。主な課題は、個人プレーヤーへ依存、資金不足、脆弱な制度化です。
- ヨーロッパ:48のRCEが存在しています。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」の3つのゴールに関する取組みを行っているRCEが多いことが特徴です。ユースコーディネーターが活発に活動していることも特徴です。
どの地域にも共通して実施していること:
- 地域のハブとして機能、機会や情報の提供をしている
- 教員のキャパビル
- 定期的な会議の開催
- 学び合いの仕組みの構築と、密なコミュニケーションを実施
- 協働するプロジェクトの実施、パートナーシップを重視している
世界に383のRCEプロジェクトがあります。RCEプロジェクトを主導している主体の属性
の分析が示されましたが、2015-2019年と、2020-2024年を比較したところ、NGOが主導する事業数は2倍以上になっているのに対し、高等教育機関が主導するものは1/4程に減少し、地方自治体やその他も減少したという結果が示されました。
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【プレナリーセッション2】

地域から学ぶ広範な変革:マルチステークホルダー協働による持続可能な社会の構築と題し、RCE岡山、RCE Minna(ナイジェリア)(https://rcenetwork.org/rce-minna-2022)、RCE British Columbia(カナダ)(https://rceamericas.org/members/rce-british-columbia/)、RCE Fryslân(オランダ)(https://sparkthemovement.nl/en/rce-fryslan/)、RCE Hangzhou(中国)(https://www.zisu.edu.cn/info/1082/12344.htm)からの事例報告が行われ、パネルディスカッションでは、マルチステークホルダー協働をどのように進めていけば良いか、成功の秘訣などが議論されました。
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この日はESD岡山アワードの表彰式、並びにRCEアワードの表彰式も行われました。
岡山のアワードを受賞したのは、以下の2プロジェクトでした。
- ナミビアにおけるEduMobileという移動式の教育資機材を積んだクラスルーム(車両)で、僻地にある学校に直接出向いて環境教育を提供する事を可能にし、教育の機会をより多くの人に提供することを可能にしています。(https://www.eduventures-africa.org/projects/edumobile)
- CUNbreというコロンビアの若者を対象にPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)を実施し、地域の課題解決をビジネスの視点で目指すプロジェクト等を提供しています。(https://cun.edu.co/cunbre/)
⇒(第14回グローバルRCE会議参加報告(No.2)に続きます)


