持続可能な社会づくりとそのための人づくり(ESD)に関する公開質問状への回答

ESD-Jは、1011日に各党政策担当者に向けて、「持続可能な社会づくりとそのための人づくり(ESD)に関する公開質問状」を送付し、来る総選挙に向け、世界が取り組むべき持続可能な開発目標(SDGs)」とそのために必要とされる「人材育成(持続可能な開発のための教育:ESD)」の推進に対する各政党の姿勢を伺う4問のアンケートを実施致しました。選挙投票の参考にしていただければ幸いです。(回答を受領した政党順に掲載しています)

質問1貴政党は、ESDへの我が国の取組をどのように評価しておられますか?

政党 回答
立憲民主党 これからも、ESDを推進すること自体がSDGsの達成に貢献することを踏まえ、持続可能な開発のためには人材育成が基盤との考え方で、取り組みを進めるべきだと考えます。
公明党 これまでユネスコ憲章に示されたユネスコの理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校の「ユネスコスクール」が推進拠点として、ESDを進めてきました。一方、2020年度から順次実施されている新しい学習指導要領の中で、学校教育等における役割として「持続可能な社会の創り手」の育成が明記されました。そうしたことを踏まえ、これからは、全国の学校においてESDを学ぶ機会のさらなる充実に向けて、取り組んでいくことが重要と考えます。
日本共産党 学習指導要領に部分的にでも「持続可能な社会」が盛り込まれるなど、学校教育でESDをすすめる条件がととのいはじめたことは、前向きな変化と評価しています。これを本格的なものにしていくためには、学習指導要領上、総則にかかげるなどの検討が教員などの参加で行われる必要があると考えます。さらに、日本の教育行政、学校教育の現実のなかには、校則、競争主義の激化、外国にルーツのある子どもへの施策の貧困など、ESDの目標である人権やジェンダー平等、文化多様性に反するものが少なくありません。それらを放置したままでは、表面的なESDにならざるをえません。また、ESDの担い手である教員が異常な長時間労働と管理統制によって授業の自由な展開が困難になっていることなど、教える側の状況の改善も課題になっていると考えます。
自由民主党 持続可能な社会の創り手を育む教育である「持続可能な開発のための教育(ESD)」について、わが国はその提唱国として、さまざまな取り組みを積極的に行っています。
ユネスコスクールをESDの推進拠点と位置付け優良事例の展開を図るとともに、2020年度から順次実施されている新学習指導要領では、一人一人の児童生徒が「持続可能な社会の創り手」となることができるようにすると明記されました。学校現場においてESDがよりいっそう実践されるよう、文部科学省は「ESD 推進の手引」を作成しています。
本年5月に改訂された「第2期ESD国内実施計画」にも基づいて、学校だけでなくESDに関わるさまざまなステークホルダーのネットワークの強化に向けて、引き続き、政府が中心となってオールジャパンで取り組むことが重要であると考えます。
社会民主党 SDGsすべてのゴールを達成していくためにESDは必要不可欠です。しかし政府の「第2期ESD国内実施計画」は関係省庁の題目を並べているに過ぎないと思います。貧困、ジェンダー平等、エネルギー・資源の有効活用、脱炭素、働き方の改善、気候変動等の諸課題を解決するために、幅広い教育活動によって子ども、ユース、大人の行動を変容を促すのであれば、人びとの心に訴える内容でなければ実現できません。それにはまず、すべての省庁が諸課題にどう取り組むのか、特に文部科学省が自らの取り組みを提示することが必要だと考えます。
国民民主党 現状、政府内(文部科学省・環境省)においては、日本ユネスコをはじめとした、関係諸団体とも連携し、取り組んでいるなど承知しております。
日本維新の会 回答待ち
質問2貴政党では、「持続可能な社会」の実現とそのための人づくり(ESD)について、どのようなビジョンを描いておられますか?また、その実現のために、どのような政策が必要と考え、マニフェストに位置付けていますか?

政党 回答
立憲民主党 立憲民主党は、人材育成の重要さに鑑み、教育の格差を解消し、人への投資、未来への 投資によってわが国の将来を切り拓き、全ての子どもと若者に寄り添う、チルドレン・ ファーストの政策を推進してまいります。 国際社会全体の目標として国連サミットで合意された持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえつつ、主導的な役割を果たしていきます。
公明党 ESDは、地球規模の課題を自分事として捉え、その解決に向けて自ら行動を起こす力を身に付けるための教育です。そのため、新型コロナウイルス感染症拡大や自然災害等未曽有の事態に直面する現代において、ESDに取り組むことは、自分たちが直面する課題を主体的に捉え、その課題解決に向けて自分で考える力を育む機会につながり、重要であると考えます。
また、今回の衆院選公約には、ESDについて、以下のように掲げております。
<衆院選公約の政策集より>
「ESD(持続可能な開発のための教育)」はSDGs の全てのゴールの実現に寄与します。また、新学習指導要領にも「持続可能な社会の創り手」の育成が明記されており、この考え方に沿って、環境保護や防災など地球規模の課題解決に向けて学習する機会を充実させます。
日本共産党 マニフェストでは、新自由主義のチェンジ、気候危機を打開するチェンジ、ジェンダー平等へのチェンジ、憲法9条に基づく平和外交へのチェンジという、「四つのチェンジ」を掲げました。それらはいずれも、「持続可能な社会」の諸目標に合致したものです。さらに、「分野別政策」で「SDGs 市民社会がめざす未来を日本に反映させる」を独自にかかげ、「持続可能な社会」を積極的にすすめる諸施策をかかげました。ご覧ください。ESDは、教育行政と教員の間で、人権や環境の教育をかかげる子どもの権利条約もふまえ、「持続可能な社会」の担い手を育てることの重要性の認識を共有することが大切で、そのためには現実の学校で人権が尊重されていることが欠かせません。私たちはマニフェストで「子どもの尊厳を大切に支える教育」をかかげ、校則の抜本的な見直しなどを提案しています
自由民主党 ESDは気候変動問題を含む地球規模の諸課題の解決に向けて自ら行動を起こす力を身に付け、SDGsの達成に寄与する資質・能力を育むことを目的としています。昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、学びの在り方を含めた社会の在り方が大きく変わる中で、未知に対応する能力を身に付けた社会変革の推進力となる人材の育成が重要となっています。
自民党は課題解決能力を伸ばす教育やリカレント教育の充実を図るとともに、環境教育や防災教育をはじめとする教育分野においてもSDGs達成に向けた取り組みを加速していきます。
社会民主党 ESDは、幼児教育、学校教育、成人教育、すべての人の学び・教育を保障し、それが個々人をエンパワーメントし、平和・平等・人権を尊重し、環境を守る内容となることを展望します。選挙公約には、教育の格差是正の観点から、すべての高校の授業料の無償化、奨学金を原則給付型に変換すること等をあげています。
国民民主党 持続可能な世界を残すために、国際社会が 2030 年を目標として取り組む国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進します。「人間の安全保障」の理念に基づき、気候変動対策、クリーンエネルギーの推進、人権の保護、ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント、包摂的で公正な社会の構築などに取り組みます。
また、「人づくり」を国の最重要政策として進め、すべての子どもが人生の平等なスタートラインに立つための施策を実施します。
日本維新の会 回答待ち

質問3わが国でSDGs・ESDを定着させるためには、学校教員、大学生、自治体、企業、社会教育施設向けの研修の著しい充実・強化が必要と考えられています。貴政党では、そのような研修の充実・強化に向けてどの様な政策を考えていますか?

政党 回答
立憲民主党 SDGs の国内外での達成に向けて、政策立案や政策評価に当たってはSDGs の17の目標と169 のターゲットを活用し、あらゆる政策にSDGs の視点を反映させます。その一環と して、研修の充実・強化を検討してまいります。
公明党 本年5月に政府が改訂した「持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手引」などを活用し、全国の学校等においてESDが実践されるよう促すとともに、同じく本年5月に改訂された「第2期ESD国内実施計画」にも基づきながら、自治体や企業、公民館などの社会教育施設等との連携によるESDの実践も重要であると考えます。
日本共産党 「持続可能な社会」についての認識を高める魅力的な学びの機会が、身近な場にあることが重要です。そのために、そうした学習内容を関係団体・市民が共同で開発していくための公的な支援と、ご指摘の学校、企業、自治体等での学びの場の設定を公的に要請していくことが必要と考えます。なお、教員の研修は、他の一般職の研修とことなり、自主的自発的な「研究と修養」(教育基本法)と位置付けられていることに留意する必要があります。
自由民主党 第2期ESD国内実施計画にも基づき、教職員に向けた教員研修において、「ESD推進の手引き」も活用しながらSDGsやESDの考え方を推進するとともに、地方公共団体や教育委員会、社会教育施設、大学、民間企業など、各機関に対しても、ESD実践のための研修プログラムを設計する人材育成の支援をすることが重要であると考えています。
社会民主党 日本の教育予算はOECD加盟国34か国中で最下位です(2018年対GDP比2.9%)。これを世界標準といえるGDP5%水準(同年OECD平均は4.2%)に引き上げます。30人以下学級の早期完全達成をめざします。養護教諭、学校司書、栄養教職員、スクールカウンセラー、部活動指導員、特別支援教育支援員などの配置を拡充します。
国民民主党 国民民主党は、「人を基軸にした経済循環」を目指しています。人が技術を生み、サービスを生み、企業や産業を生み、経済を支え、暮らしを創るとの考えから、その全ては「α世代など次世代への投資」にかかっていると考えます。そこで、教育に係る予算の確保・充実を図り、著しく低い日本の教育への公的負担を大幅に引き上げます。
その上で教育や体験格差の解消、幼児教育(3歳からの義務教育)、インクルーシブ教育、学びの多様性の確保に取り組み、また教員の働き方改革にも取り組みます。教育、社会保障にとどまらず、技術革新や産業政策においても、SDGsとESG投資を踏まえた政策を目指します。
日本維新の会 回答待ち

質問4世界的に喫緊の課題である気候変動問題の解決に向けては、技術的イノベーションや社会構造の変革が不可決であり、そのためには教育が果たす役割が極めて重要です。貴政党では、気候変動教育の推進についてどのような政策を考えていますか?

政党 回答
立憲民主党 環境問題の解決のため、自分たちの生活と自然環境との関係について学ぶ機会が重要で あるという観点から、地域やNGOと協力し、環境教育プログラムの開発や学校などでの 環境教育を充実させ、環境と経済が両立する持続可能な社会を構築します。
公明党 2020年度から順次実施されている新学習指導要領において、一人一人の児童生徒が「持続可能な社会の創り手」となることが期待される旨が明記されるなど、気候変動問題をはじめとした地球環境問題の解決に向けて、環境教育に関する内容の充実が図られていると認識しています。また、地域等における環境教育の充実については、教育委員会、環境部局、地域の団体や社会教育施設等の多様な主体が連携し、様々な活動を通して、子どもたちはもとより幅広い年齢層に対して普及・啓発活動を行うことが重要です。公明党も気候変動等について、学ぶ機会の確保を促進していくことが重要と考えます。
日本共産党 気候変動問題は、待ったなしの課題です。すべての段階の学校で、子どもの発達段階に即して、気候変動問題についての基本的な知識を得られるようにすることが切実だと考えます。そのためには、学習指導要領の押しつけをやめ、学校現場の工夫によって、他の教育内容を精選し、気候変動問題について学習する時間を捻出できるようにすること、前問で指摘されている教員がESDについての認識を高めることが大切でと考えます。
自由民主党 2020年度から順次実施されている新学習指導要領において、一人一人の児童生徒が「持続可能な社会の創り手」となることができるようにすると明記されるなど、気候変動問題をはじめとした地球環境問題の解決に向けて、環境教育の充実が図られています。また、教育委員会や地域の団体などのさまざまな主体が連携し、さまざまな活動を通して、地域における環境教育も充実し、子供たちをはじめとした幅広い年齢層に対して普及・啓発活動を行うことが重要です。気候変動問題をはじめとした地球環境問題の解決に向けて、ユネスコエコパークや世界遺産、地域資源の保全・活用も行いながら、環境教育を推進していきます。
社会民主党 コロナ危機で明らかになったことは、化石燃料と原子力発電に依存した大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とする異常な産業社会・新自由主義経済の誤りです。これらの政策を「持続可能な社会」を実現する方向へ転換し、気候変動教育を推進していきたいと考えます。
国民民主党 「生活の質」や「人間の幸福」の意味を「環境」との関係において明らかにし、人と自然と社会との関わりと共存の意義を理解し、適応することを学ぶ機会を保障する観点から、地域やNGOと協力し、環境教育プログラムの開発や環境保全を推進するための社会的制度的基盤を整備すること等により、学校などでの環境教育を充実させ、環境と経済が両立する持続可能な社会を構築します。
日本維新の会 回答待ち
【参考】その他の政党アンケートサイト:

◆移住連
「移民政策に関する政党アンケート2021」
https://migrants.jp/news/voice/20211017.html

◆教育協力NGOネットワーク(JNNE)
SDG4(教育目標)に関する政党アンケート
https://www.jnne.org/sdg2021/report2021.html

◆国際婦人年連絡会「政党アンケート集計結果と考察」
https://iwylg-jp.com/2021/08/16/5768

◆認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ
「人権政策に関する政党アンケート2021」(各政党の回答原文も掲載)
https://hrn.or.jp/news/20727/

◆認定NPO法人難民支援協会
「衆院選2021:難民保護や外国人との共生政策に関する各政党マニフェストまとめ」
https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2021/10/election21_1/

◆BOND~外国人労働者・難民とともに歩む会
「ウィシュマさん事件に関する政党アンケート調査の結果」
https://nanmim-bond.amebaownd.com/posts/21801778?categoryIds=112901

◆LGBT法連合会
「衆議院選挙2021・政党」LGBT(SOGI)をめぐる課題に関する各党の政策と考え方についての調査結果報告
https://lgbtetc.jp/news/2107/

◆NPO法人メコン・ウォッチ
ミャンマー国軍の資金源を断て「2021年衆議院議員選挙に向けたアンケート結果」
http://www.mekongwatch.org/report/burma/mbusiness/survey2021October_2.html