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ESD-J 代表理事 重 政子

ESDコ―ディネーターの輪を広げましょう

shige-san日本国から提案された“国連ESDの10年”の最終年会合は2014年、日本で開催されようとしています。提案作成当初からESD推進の一翼を担ってきたESD-Jは、2014年の先を見越した方策の一環にESDコ―ディネーターの充実を図るプロジェクトを立ち上げました。
“地球上のあらゆることが公平で平和に持続していくためには、人が知識を得、意識を変える「教育」が必要である”とするESDは、リオ+20の合意文書でも、“ESDの10年終了年を超えてなお、ESDを推進することが必要”と確認されました。
また、“自然資本を国家勘定・企業会計に組み込む”世界銀行提案のプロジェクトや、国連環境計画発表の「自然資本宣言」の報告からは、市場原理が行き過ぎた結果とも言える地域破壊の現実的な課題を克服し、地域の人と自然を尊重し活性化していく道を開いていく地域づくりの大事な観点が浮き彫りになっています。
地域には、市民活動・学校支援・行政施策・企業のCSR等、さまざまな立場で地域の課題を見つけ、その問題解決に骨身を惜しまない活動をする人々がたくさんおられます。
その人々の努力によって活動成果は形になって効果をあげて来ています。この活動をよりESD的につなぎ、付加価値をつけるのがコーディネーターの皆さまの役割です。市民が自分の寄って立つ地域に対して観点をひろげ、観点を転換し、地域づくりに参画できるようにすることでエンパワーメントする、そこに関わること自体がコーディネーターにとっての学びであり、課題の解決であり、スキルアップにつながることと考えます。本プロジェクトをきっかけに地域でESD の推進力になって下さる志高いコーディネーターが増えることを期待いたします。

カテゴリー: プロジェクトに寄せて

ESD-J 事務局長 村上千里

「未来をつくる人づくり」を生み出すコーディネーターがもっと活躍できる社会の仕組みをつくりたい

murakami-san環境破壊、貧困・格差の拡大などの問題を抱える今の社会は“ 持続不可能な社会” です。これを“持続可能な社会”に変えていくためには、問題解決を政治家や専門家に任せてしまうのではなく、市民一人ひとりが未来をつくる一員として、学び、考え、行動する力を身につけて、社会に参画していくことが大切です。
ESDはそのための力や価値観を育む「学び」や「活動」の総称、平たく言えば「未来をつくる人づくり」です。
目指しているのは「市民力」を高め、「誰もが安心して安全に、そして公正に暮らしていけるような社会」を、民主主義を通して実現していくこと。そのために、大人も子どもも、知識獲得のみにとどまらず、参加や体験を通して自ら感じ考えることを重視し、現実社会の問題解決や地域づくりに一歩踏み出す経験を積み重ねることが重要です。
そのような学びの場は、多様な主体の協力によって生み出されます。ESD的な活動が、全国いたるところで行われるようになるためには、それを進める施策が不可欠であり、その要となるのが「コーディネーターを支える仕組み」であると私たちは考えています。
学校と地域のさまざまな主体をつなぎ、教員のESDカリキュラムづくりを支援する。地域において、さまざまな課題解決の場に市民の参画を促していく場をつくる。社会の課題解決に向けた多様な主体の協働を促す。そのようなコーディネーターが全国各地で活躍している状況を生み出す仕組みづくりに、私たちは2014年までの残り期間、全力を挙げて取り組んでいきます。
地域には、市民参加のコーディネーター、ボランティアコーディネーター、社会教育主事、教育支援コーディネーター、まちづくりコーディネーターなど、さまざまなコーディネーターが活躍しています。本プロジェクトは、これらのコーディネーターの皆さんにESD という考え方や手法を共有してもらうこと、そしてコーディネーターという職にはついていなくとも、社会の課題に取り組んでいる方々が多様な主体と連携していくための力(仮に、ESDコーディネーション力と呼びましょう)を強化することを目指し、研修カリキュラムの開発やテキストブックの制作に取り組みます。そしてそのような方々のネットワークを各地に、そして全国レベルで生み出すことを目指します。 ESD-Jは、ESD推進機関やコーディネーター養成機関などと協力し、このプロジェクトを通して、ESDコーディネーターネットワークのコアを作っていきたいと考えています。どうぞご協力・ご参加ください。

カテゴリー: プロジェクトに寄せて

社会福祉法人大阪ボランティア協会 常務理事 早瀬 昇

今の時代だから求められるコーディネーター

hayase-sanさまざまな「コーディネーター(coordinator)」が、各方面で活躍しだしています。インテリアコーディネーター、ファッションコーディネーターなどは古くから知られていましたし、実はボランティアコーディネーターも大阪ボランティア協会が養成講座を始めたのは1976年。かなり歴史があります。
このコーディネーターが担うcoordinate の原義は、本誌の冒頭にあるように「対等に結びつける」こと。近年、この役割が各方面で重視されるようになってきたのは、さまざまな人や組織、要素などを把握し、それぞれの立場や状況を調整しながら結び付けていく必要が高まっているからです。
なぜか? 良く言えば「専門分化」、悪く言えば「タコ壺化」や「対立」ないしは「孤立」が広がる中、「つながらない」状況が深刻化しているからです。だからこそ、「つなぐ」存在が大きな意味をもつようになってきました。
また、ESDコーディネーターは人々の「学び」を通して「持続可能な社会づくり」を進めますが、そのキモは「学びを通して」という点でしょう。「学び」を重視することは人々が変わり得るのだと信じることですし、学んだ人々が主体となって状況を改善する未来を目指すものでもあります。つまり、あらゆる人々の主体的な参画によって事態を改善していこうということ。
この姿勢は、社会問題を解決していく上で、広く共有されるべきものだと思います。
こんなESDコーディネーターの各方面での活躍を期待しています。

早瀬 昇(ESD-J 基盤強化プロジェクトアドバイザー)
1955年、大阪生まれ。
日本NPOセンター代表理事、日本ファンドレイジング協会副代表理事、環境市民理事、「新しい公共」推進会議構成員、関西大学客員教授なども務める。
『寝ても覚めても市民活動論~ミーティングや講座の帰り道に読む35の視点』(大阪ボランティア協会)など著書多数。

カテゴリー: プロジェクトに寄せて

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