◆日時:8月28日(土)13:00~15:00(ZOOMに
◆参加者47名(事務局4名含む)、講師ESD-J理事・下村委津子
今回のセミナーレポートは、NPO法人ドットジェイピーの紹介で夏休み期間ESD-Jにインターンしている高橋この葉さんに書いて頂きました。
第5回のセミナーは、「ESD×持続可能な消費と生産」をテーマに実施しました。
1.下村理事の発表要旨
はじめに食品ロス、貧困問題、プラスチックごみやパーム油の問題など様々な面から社会の持続可能性が危機的状況にあるという説明ののち、それらの問題に大きく関わっているSDGゴール12「つくる責任、つかう責任」で求められている「持続可能な消費と生産」を目指すために、私たち消費者がすべきことについてお話しいただきました。
私たち消費者は商品を選ぶ際に、社会を選択しているという自覚を持たなくてはならないというお話がありました。「買い物は毎日の投票」という言葉にもある通り、私たちは消費者として買うものを選ぶ度に、社会を変える一票を投じており、誰でも日常的に行うことのできる買い物の中で、社会の主体者になることが出来ると強調されていました。
また、グリーンコンシューマーの考え方を広めるための一例として、グリーンコンシューマー買い物ゲームといった、商品に付けられたラベルの見方を体験しながら学ぶことの出来る取り組みが紹介されました。また、消費者としてエシカルな商品を選択するために、商品を作る企業を評価するアプリの紹介もされました。
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2.グループワークの結果
7つのグループに分かれて、講演を聞いた感想とグリーン&エシカル消費、サステナブル消費をどうやって実践していけばよいのかについて意見共有を行いました。各グループで出された意見は以下の通りです。
グループA
- 消費者としてさらに考え、選択するための情報が提供されるべきである。
- 私たちにできる最も身近なエシカル消費の方法は、地産地消なのではないか。
グループB
- 教育業界では既にサステナブル消費についての教育がなされている。教育者の意識向上が課題ではないか。
- どのようにエシカル消費の考え方を広げていくかが課題。身近なところから広めていくべき。
グループC
- 商品を選ぶ際、安全性や作られた環境を考え、理解することの難しさ、知識の必要性を実感した。
- 情報発信の重要性。様々な場面でエシカル消費を普及させるために、教育現場でも知らせる必要性。大学生がもっと深く理解をすべき。
グループD
- 買ったものをどのように使うのか考えるのが重要ではないか。知識がないと商品を選択することが出来ない。
- 企業の情報開示を求めたい。エシカルな生活を目指すための情報提供がされるべき。
- 身近に出来ることとしては、過剰包装の商品を選ばないことや、持ち物を大切にすることが挙げられる。
グループE
- 商品を選ぶ時点で、その商品が作られる背景が見えるといいと感じた。生産者の顔を見られるようにする等の工夫によって、値段以外の価値を見つけられるようになっていけば良い。
- お金に余裕のある人、知識があり、プロセスとして理解できる人でないと、エシカルな消費はできないのではないか。
グループF
- 「もったいない」という概念から理解するような活動を行えば、エシカル消費の考え方を広めることが出来るのではないか。
- 関心のない人にどのように関心を持ってもらうかについては、分かりやすく危機感を持てるような教材を使用することが大切。
グループG
- サステナブルラベルの認証は、小企業や個人の有機農家では難しいため、消費者側から判断できるような企業を評価するアプリの使用が重要である。
- エシカル消費に関して、学生より大人世代の教育が足りてないのではないか。消費者としての意識向上に向けた活動が重要である。
3.所感(インターン・髙橋)
「買い物は、毎日の投票」という言葉は特に印象的でした。安いからという理由で、環境に大きな負荷のかかる方法で製造された商品を選んでしまっては、そのようなことが許される社会を肯定してしまうことになります。持続可能な社会を目指すために、毎日の買い物での選択が私たちにできる一つの行動であると考えます。
また、グループでの意見共有の中では、エシカル消費やサステナブル消費というような賢い消費行動のためには、どのような基準をもって選べばいいのかという問題で、作り手側に情報提供を求める必要があると感じました。消費者側がどれだけアンテナを張ろうとも、企業など作り手側が情報を発信していなければ選ぶのは困難です。また、消費者が商品を選ぶ際にラベルを気にするにしても、その認証にはどのような基準があるのかについては知識がないと理解することが出来ません。エシカルな商品をどれだけ社会に浸透させていくか、様々な年齢層への教育的アプローチにおいてESDの活動として積極的に関わり支援していく必要を感じました。
大量生産、大量消費、大量廃棄の時代は終わったと言われながらも、膨大な資源やエネルギーが使われ続け、生き物や自然への大きな負担は止まりません。
国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)」が、毎年発表している「アース・オーバーシュート・デー(地球が1年間に生産できる自然資源を人間が使い果たした日)」というレポートから、私たちが未来世代の自然資源を使い込みながら<持続「不」可能な社会>を続けていることを学んだ後、日常の買い物をするとき、何を選べば、今と未来の負担を減らし、誰もが安心して暮らせる社会にしていけるのかについてみんなで話し合いました。
参加者アンケート結果(N=33)
その理由は:
- グリーンコンシューマーからエシカルコンシューマーに向けてのわかりやすいお話を聞けたから。
- ものが作られている裏側を想像する教育はとても大切だと感じた。
- 買い物は、毎日が投票(社会を選択)が印象的だった。 など、他多数。
その理由は:
- 意見交換は良かったが時間が足りなかった。
- 参加者それぞれの視点が異なるので、参考になりました。
- 少しずつ自分の出来るところで、仲間と話していくと何か行動に起こせるかもしれないと感じました。など、他多数。
その他 今回のテーマに関するご意見、ご感想など:
- 買い物ゲームは、ぜひ子どもたちに体験させてみたいと思いました。
- 消費の選択には情報の不足が課題と思っていましたが、消費者から情報開示を求める行動の大切さをあらためて感じました。
- 参加者がクリエイティブにできる参加型ワークショップを取り入れると良いのではないかと思います。前のバナナのワークショップでは、バナナを買って参加したのが、リアルで良かったので。 など、他多数。