【報告】2021年度ESD-J主催オンラインセミナーシリーズ 「SDGs を見据えた人づくり~ESD for 2030~」
 第4回オンラインセミナー 「ESD世界会議の結果を踏まえて」

 

5月のESD世界会議の結果について、会議への参加者からの率直な感想と意見をいただいたのち、本オンラインセミナーの参加者により、今後10年間のESDの展開に関するスモールグループでの意見交換を行いました。

  • 開催日時:2021年7月24日(土)13:00~15:00
  • ファシリテーター:ESD-J理事 鈴木克徳
  • 参加者:41名(講師を除く)

「ESDベルリン世界会議と国内ESD/ローカルSDGs」

環境省大臣官房総合政策課環境教育推進室 室長補佐 田代久美さん

まず国内におけるESD/ローカルSDGsの推進について、その歴史的背景、第2期ESD国内実施計画、ESD推進ネットワーク、地域循環共生圏などの説明をしたのち、脱炭素社会、循環経済、分散型社会への3つの移行の重要性を強調しました。その後世界会議で参加した循環経済(circular economy)のセッションに触れ、世界的にも同様な地域循環が強調されていること、特に欧州では職業訓練が重視され地域の将来に貢献できるような能力育成の教育が行われていることを紹介し、知識、経験を活かした次の行動に進むとの重要性が強調されました。

「ESD世界会議の報告」

国連大学サステイナビリティ高等研究所 野口扶美子さん

国連大学のESD世界会議への関わり方と野口さんのセッションについての報告と印象とについて話をされました。国連大学からは3名参加し、気候変動教育に関するバーチャルブース展示、高等教育機関の果たす役割、地域でのESDの推進のセッションに貢献しました。野口さんは地域でのESDの推進のセッションのモデレーターを務めました。主な感想として、①脱公教育=地域重視の兆しが見られたこと、②地域の視点から教育を再構築する動き(意図しない学び、偶発的な学びの認知)、③地域での実践の理論化、体系化と政策への貢献の必要性を感じたそうです。なお、セッションの途中で音声が全く聞こえなくなるというアクシデントがあり、オンライン会議のリスクについて痛感したことも紹介されました。

ESDに関するユネスコ世界会議報告」

東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター主幹研究員 及川幸彦さん

まずESD世界会議で萩生田文部科学大臣が発表した日本のESDの強み-学校教育における組織的取組、マルチステークホルダーによるアプローチ、地域に根差した活動-と日本の主要政策について解説されました。及川さんのセッションは機関包括型アプローチをテーマとしていましたが、文科省からの依頼により、東日本大震災の経験を踏まえた防災・減災教育をどうホールスクール・アプローチとして行うかについて、気仙沼市の階上(はしかみ)中学校等の具体的な例を示して発表されました。セッションでは、他に倫理観の問題、地域社会との連携、モチベーションの増進策などが議論されました。日本からの優良事例の発信の重要さを改めて感じたそうです。

これらの発表に対し、「持続可能な社会の担い手」と「創り手」とはどうちがうのかという質問、OECDとの協力はどのようになされるのかとの質問がなされ、回答が行われました。

その後、6つのグループに分かれて、講演等を踏まえつつ、今後の10年のESD推進に当たって重要と考えられることについてブレークアウトセッションで議論が行われました。共有された意見には以下のようなものがありました。

  • 地域のネットワークがいろいろあるが十分に共有されていない。高等教育機関等がつなぎ役になると良い。
  • 地域のノウハウをもっと生かせるような仕組みづくりが期待される。
  • 学校と地域の連携をもっと強化することを模索する必要がある。
  • 人が重要。リーダーシップをとる人、キーパーソンが育つことが大切。
  • 何をやりたいかを子どもたちがまず自覚することが重要。
  • 学校が受動的なだけでなく、地域に積極的に働きかけることが重要。協力から協働、協創へ。
  • 消費者教育を進めるためには地域との連携が重要。
  • 途上国の学校との交流により、例えば防災教育などで、子ども主体の教育を進めると良い。
  • 気候変動教育が今後ますます重要になるが、教員を支えるためのシステムづくりが必要。
  • 社会教育におけるESDの価値、特に倫理観の育成、企業家の育成等について議論。社会全体に広げる際に必要な倫理観とその課題の共有が必要。
  • 国際的な情報の収集と発信が重要。
  • 世代のギャップがあるので、埋めるための努力が必要。
  • ボトムアップが重要。また、以前から行われてきたことをESDという視点から見直すことが大切。

最後に、本日の議論は今後の10年のESDを議論するための出発点であり、引き続き様々な機会を作り、マルチステークホルダーにより議論を深めていくことが重要と総括して会議が終了しました。

 

アンケート結果(28名回答)

理由:
●今後ESDが進むべき道筋を示してくださった
●国際会議の話し合いの内容や雰囲気が良く分かった。
●大変分かりやすく,学校現場にも生かしていきたいと感じた。他多数意見あり

 

理由:
●企業、高等教育、社会教育、義務教育等、多様な立場で同じ課題について話し合うことで、学校と地域、社会の横のつながりや学校段階の縦のつながりを考えることができました。
●異なる立場のかたと、各々の現場での課題など生の意見交換ができた。他多数意見あり

4.今回のテーマに関するご意見、ご感想、オンラインセミナーの運営を改善するためのご提案など

●「今後10年間でESD推進にあたり重要なこと」でもう一度開催していただいてもよいと考えます。
●仕組みづくりが大切だということ、何ができるか学校教育の現場で取り組みたいと思います。
●もう少しフリーに議論できる時間が欲しいと思いました。ブレイクアウトルームだけではなく、全体での議論の実施についてもご検討ください。
●事前予習のための配布資料などあるとありがたい。他多数意見あり