◆ファシリテーター:ESD-J理事 福井 光彦、ゲスト講師は以下の2名
◆参加者:53名
まず始めに福井理事より、マスコミ報道の情報を基にしたプラスチックを巡るグローバルな問題・その規制例、そしてプラスチックを削減する企業の取り組みなど基本的な情報を紹介しました。
「我が国におけるプラスチック資源循環施策の動向」
環境省 環境再生・資源循環局総務課 リサイクル推進室長・平尾 禎秀さん
日本は2019年のG20議長国として、各国が連携して効果的に対策が促進される具体的な取組を、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」として取りまとめました。今後の我が国の方針としては、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までのライフサイクル全般に関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取り組み(3R+Renewable)を促進するための措置を講じていくこととし、循環型の経済システムへの移行を加速していきます。そのための「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が今年6月11日に公布され、施行に必要な事項については今夏にも検討されることとなっています。
「サントリーグループのプラスチック基本方針」
サントリーホールディングス株式会社コーポレートサステナビリティ推進本部・内貴研二さん
ペットボトルリサイクルの歴史・仕組み、そして日本政府の環境基本方針・プラスチック資源循環戦略を踏まえたサントリーグループ「プラスチック基本方針」について以下の4点をご説明いただきました。①化石由来原料の新規使用ゼロの実現に向けた取り組み、②ペットボトル軽量化の取り組み、③素材領域におけるイノベーションの積極投資、④意識醸成と社会啓発です。プラスチック製容器包装が有用な機能を保持しつつも、地球環境へネガティブな影響を与えないよう、行政・企業・市民団体等、多様なステークホルダーが協力し、持続可能な社会に向けて取り組むことが必要というメッセージが印象的でした。
福井理事のコメント:
プラスチックごみに関する課題は、リサイクルをめぐる課題や海洋投棄の問題、マイクロプラスチックの問題など多岐にわたっています。今回のセミナーでは環境省の方とサントリーホールディングスの方をお招きし、環境省の施策や新しい法案、またサントリーグループの取り組みなどを説明いただき、参加者と活発な議論を行いました。
参加者からも数多くの質問意見が出されましたが、こうした議論を通じ、プラスチックごみに関する問題の解決には、特に消費者、市民の意識と行動がカギを握ること、またそのためにESDが重要であることを改めて認識しました。「認識から行動へ」 正しく状況を認識し、そして「ほかの方へ情報を伝える事」や「より良き商品を購入する」なども含め、一人一人が行動に移していくことが期待されていると感じました。
参加者アンケートの結果(回答者数:39名)
参加者53名(うち事務局4名、講師2名、ファシリテーター1名)※自由記述欄への回答は非常に多く全てを掲載できないため意見のバランスを考えた上で、一部を紹介した。
- イントロとしては適切な長さだったと思います。具体的な地域活動の紹介でとても良かった。
- プラごみ問題について簡潔に説明いただきわかり易く整理できてよかった。
- 参加者からの質問を上手くまとめて各講演者に繋いでいた。
- 今までの現状からゴールへの基礎知識を学べた。
- 条約や国内の戦略など、方針に基づいたアクションが行われていることがわかった。
- もう少し時間に余裕があったら、把握しやすかったと思います。
- カタカナ英語が多く、年齢層によっては理解出来ない言葉も多い。
- ライフサイクル全体で考える対策に共感しました。この分、チャレンジングな法律で、いかに運用していくのかが重要と感じました。我々、一人ひとりがその担い手でもあることを意識したいと思います。
- 企業の取り組みについて丁寧に説明されていた。
- 事業者の取り組みの姿勢、課題、むずかしさがよくわかった。
- 企業の哲学を知り、ペットボトル軽量化・植物由来のペットボトルの開発・企業間の協力などの苦労が理解できた。
- 登壇者がそれぞれの立場から解説をいただけた。参加者の関心や意見が聞けて興味深かった。
- 立場が異なる出席者の発言は興味深い内容でした。講演者の方々に色々伝わった感じはしました。
- 建材など素材混合ゴミ実態は新しいビジネスチャンスと感じた。
- 司会者の対応はとてもよかったと思います。
- 質問の中には、廃棄物問題に対する知識が不足しているようなものも多く、自分ごととしての認識をするためにはもっと廃棄物問題について学ぶ機会が必要だなと痛感しました。
- プラスチックありきの対策で、ペットボトルに関してはリサイクル率が高い、という話がありましたが、プラスチック全般の削減を推し進めていこう、という話ではなかったので、目新しさはありませんでした。
- 可能であれば、参加者に発表資料の共有をいただけたら幸いです。
- 大変すばらしい企画で次回もよろしくお願いします。
- 便利に使っている製品を「ごみにするか」「生かすか」「天然素材を選ぶのか」等々、個々の意識の違いで持続可能な社会つくりの根本的な意識が変わる。自分ごと捉え、啓蒙活動も進めていく良い題材となりました。