【実施報告】オンラインセミナーシリーズ 第5回 教育現場におけるESD/SDGs

第5回オンラインセミナー「教育現場におけるESD/SDGs」報告

~ESDの現場、最前線の取り組み~

■実施日:3月27日(土) 13:00~15:00

子どもからの学びを地域づくりの力へ~北海道浦幌町の「うらほろスタイル」~

中田和彦ESD-J理事より、子どもを主役に据え、子どもたちが将来も住み続けたいと思える町づくりを目指す「うらほろスタイル」を紹介していただきました。高校が閉校になったことをきっかけに、少子高齢化問題に向き合うためにこの取り組みが開始しました。特徴としては、小中学校の9年間で徹底して地域を学び、地域への誇りと愛着を育み、課題に向き合い、子ども達が町の活性化案を自ら考えます。子ども達の町を良くしたいという想い・アイデアは、町の職員や賛同した大人たちが協力して実現させます。取り組み開始から10年間で17件の提案が実現しました。その一つ、町の花・ハマナスを使った化粧品開発では雇用につながる新しい産業を興すことで子ども達が将来、町に住み続けられる環境の整備を目指しています。

講師発表資料

地域の持続可能性に向き合う学校ESD~長野県飯田市遠山郷の事例~

小玉 敏也ESD-J理事より、遠山郷の「廃校」問題と付随する地域の課題に取り組む実践についてお話いただきました。2018年から立教大学ESD研究所がアドバイザーとなり、学校、地域、公民館が一体となって地域を持続可能にするための様々な活動を行っています。例えば、外部インプットとしては教員・保育士の研修、講演会の実施、更に首都圏・長野県の大学生による小中高校生対象の学習塾、川遊び、地元の食文化体験を開催しました。また、小規模特認校の先進的な教育活動、ICTの活用、ユニークなカリキュラム、伝統的なお祭りの実施等を外部へ発信し、教育移住を促進しました。「にぎやかし隊」を発足し、地域の魅力の発見・発信と交流人口を増やすための様々な事業の取り組みが始まっています。東山郷フォーラムでは、Iターンした20代の若者が地域の魅力を語り、中学生がそれに感化されて「中学生と地域住民が未来を語り合う会」を開催するなど、地域の将来を担う若者が積極的に動き出しています。

講師発表資料

全体を振り返って

2つの事例報告には、共通点があります。1つは、「子どもへの教育」が中心となり、子どもと「対等」に大人が子どもの提案・発案を受け止め、地域全体の動きにつながっていること。もう1つは、少子高齢化という地域課題が深刻で町の存続のための、地域住民の「本気度」が行政・地域住民共に強く感じられることです。

子どもは言ってみれば「地域の未来」そのものです。そしてその子どもが地域の未来について、地域との関わりの中で学び、感じ考えたことを、大人も「対等」に受け止めている、フラットな関係性がそこにあります。「現場にこそ答えがある」と言われますが、地域の現場にこそESDの本質を体現する動きがあり、光があることを感じさせてくれる事例で、その刺激をセミナー参加者それぞれが自分の中で消化していくそんな機会となりました。                                                                (ファシリテーター:鳥屋尾 健

アンケート結果

講師2名による事例紹介については、半数以上の方が大変良かったと回答し、非常に有意義なインプットが出来たと思います。休憩の後、少人数グループに分かれて話し合いをするワークショップは、良かった9件、普通9件でした。セミナーに期待していたものが得られたか?については、期待以上だった3件、十分得られた18件で、概ね満足いただけた結果となりました。

<参加者の皆様からの感想、ご提案など>

● 教育現場というと、よく学校の話に偏ることが多いが、学校も含めて地域の変化に焦点があたり、参考になることが多かった。
● 地方での取り組みをご紹介いただき、モデルケースの見える化がされ始めていることが感じられました。ここから都市部での取り組みに発展すると業界として盛り上がるように感じられました。
● 実例が豊富で事業の立ち上げに参考になった。
● 教育による移住促進の可能性を感じました。
● 都市部(所謂人口の多い市町)と地方の人口減少が進む小さな市町でのESDとは同じように捉えてよいのだろうか?という疑問が湧いた。
● 今回のみの参加で、これまでの内容を知らずに参加させていただいたが、住む村や町の存続自体を”持続可能な”の対象、というところが、私にとって新しい発見だった。
● 地域の特色がしっかり伝わったと感じました。基盤となる特色をどのように関係づけるか。
● 今回で印象に残ったことは学校の統廃合がいろいろな面で影響していることです。
● ブレイクアウトルームでの話し合いの中で、事例紹介について、その事例はどうして生まれたのか、どうしてこうなったのか、そのバックストーリーをもっと深掘りして聞きたかったという意見がありました。そういう点では、1回あたりの研修で取り上げる事例を一つに絞って、より深掘りしていけるようにするのも良いのではないかと思いました。