【報告】第9回ESDカフェTokyo「絶滅危惧種シリーズ」ヘラシギの旅
~長旅の休憩所日本のおもてなしは、いかに?~

2021年3月21日に第9回ESDカフェTokyoを開催し、一般20名、親と一緒に参加した子ども(未就学児2名、小学生5名)の合計27名が参加しました。これまでにも、スナドリネコ、ニホンヤマネといった絶滅危惧種等の動物をテーマにESDカフェを開催してきましたが、今回はIUCNレッドリストのCR(近絶滅種)に指定されている危機的な状況にある『ヘラシギ』をテーマにしました。

今回講師にお招きした柏木実さんは長い間ヘラシギの保全に関わり、渡り鳥の国際組織(EAAFPヘラシギタスクフォース)の日本代表を務めています。世界中で残り100つがいのヘラシギを守るために、ヘラシギの生態や課題のお話を聞き、日本に住む私たちが出来る事は何かを意見交換しました。

ヘラシギとは、どんな生きものなのか (講師:柏木実)

鳩のように同じ場所で一生を過ごす鳥と異なり、ヘラシギは食べ物の豊かな場所を求めて季節ごとに南北に10,000~15,000kmを移動する「わたり鳥」です。スズメほどの大きさで、なんと言ってもその特徴はスプーンのような形のクチバシにあります。

ロシアのチュコトだけに巣を作り、1つがいで平均4個の卵を産みます。卵も雛も保護色で地面の草に紛れるとすぐ近くに居ても見分けがつかないほどです。それでもキツネ、トウゾクカモメ、ジリス、カラスなどの天敵に襲われてしまいます。1975年には2500つがいだった個体数は減少し続け、2013年には98つがいになってしまいました。

紙芝居その①「ヘラシギくんの旅」(後藤奈穂美作)

ヘラシギの雛が誕生してから越冬地のバングラデシュへ辿り着くまでの旅を描いています。小さい鳥なので、途中で休憩をしないと体力が持ちません。中継地―日本、韓国、中国の干潟に立ち寄りながら越冬地へ向かいます。旅の途中、様々な危険と遭遇する様子をリアルに描写しました。

グループワーク

どうしたらヘラシギを私たちが守れるのかを「A中継地の確保、B干潟を開発から守る、C汚染物質から守る」の3つの視点で班に分かれて話し合い、結果を発表しました。

それを受けて、講師の柏木さんより、実際に取り組まれている保全活動を紹介していただきました。中でも孵卵器を使って雛をある程度の大きさまで育ててから放鳥するスタートアップ・プログラムは、個体数の底上げに貢献しているとのことでした。

紙芝居その②「2羽のヘラシギ物語」(中村さやか作)

最後に、越冬地からロシアに戻る旅を描いた紙芝居を上映しました。個体数が少ないために同じ種の仲間となかなか出会えず、心細いヘラシギが、有明海の東与賀の干潟でパートナーと出会い仲良く営巣地へ戻っていく様子が描かれています。

感想と反響

23名の参加者からアンケートの回答をいただきました。

参加者の半数はヘラシギをこれまで知らなかったため講師のお話を新鮮な気持ちで楽しく聞けたことが伺えました。また、オンラインでの紙芝居は、初めての試みでしたが、子どもにも分りやすかった、もっと長く見ていたかったと言う感想をいただきました。
また、このワークショップを通じて今後自分ができることとして、省エネ・温暖化防止を心がけたい(14名)、海岸や湿地を気にしてみることから始めたい(13名)、ゴミ拾いから始めたい(11名)、バードウォッチングから始めたい(6名)といった次のステップに繋がる回答が参加者から得られました。