未来につなぐふるさと基金 市民参加型プログラム(3回シリーズ)
2020年12月5日(土)14:00~16:30、Zoomを活用したオンライン・ワークショップ第3回「甘いバナナの苦い現実」が開催されました。
講師に立教大学異文化コミュニケーション学部教授・石井正子さんをお招きして、日本人の食卓に頻繁にのぼる、手ごろな果物「バナナ」にまつわる「苦い現実」を紐解くワークショップを開催しました。参加者は21人(小学生1名、中学生1名、高校生3名、成人16名、うちファシリテーター4名))でした。
ワークショップは、全体でお話を聞くパートと、グループのディスカッションのパートで構成しました。参加者にはあらかじめ普段食べているバナナを買っておいていただき、まずグループに分かれて、なぜそのバナナを良く購入するかを順番に発表しました。
参加者が持参したバナナは、フィリピン、メキシコ、エクアドルなどの複数の産地で、ブランドは有名ブランドから、余り知名度の無いブランドまで多様でした。こだわって有機のバナナを購入している人、いつも行くスーパーの手ごろなバナナを何となく選んでいる人など、購入した理由も様々でした。
第1部では、フィリピンでバナナが生産されている様子、地元の人が食べているバナナの種類や葉っぱ・蕾の活用方法、輸入されているバナナの特徴や日本への輸入量の変化等の概要を説明していただきました。 第2部では、「甘いバナナの苦い現実って?」と題してバナナ産業の仕組み、産業の問題点や、ステークホルダーが抱えている問題を中心に多くの現地の写真を用いて説明いただきました。 第3部「苦い現実を変えるには?」では、ロールプレイに基づくグループディスカッションを行ないました。第2部で登場したバナナ産業の代表的なステークホルダー①多国籍企業S社のAさん、②フィリピン企業SS社のBさん、③土地所有者で農業労働者の息子C君、④梱包作業所の労働者Dさんに参加者がなりきって、以下の問いにそれぞれの立場から発言をしました。各班にはファシリテーターがつき、参加者からの発言・ディスカッションを促しました。■問2: バナナ産業全体、バナナ農園、自然環境、自分の健康・生活などの「持続可能性」、人権(尊厳)を考慮して、自分の役割から誰に何をしてほしいか伝えてみよう
■問3: 1. と2.のディスカッションで気が付いたこと、何が変わったかを話し合おう
各班から問3の答えとして、下記のような意見が出ました。
- 問2では、SDGsの作る責任、使う責任、消費者の視点が入っている
- サプライチェーン全体の見直し、自分以外の人、環境についても考えること、長い目で見た利益の方が結果的には利益につながる
- 今のバナナの産業は企業の「利益の最大化」を中心とした形態で成り立っているが、長期的な視点、地球への影響、環境も考えて、産業全体を見直していくことが必要
- 利益を最大化するとなると、他人に求めることが大事になることが多いが、持続可能性となると相手の立場、背景を考慮して話し合うことができた
- バナナだけではなく、私たちが食べている物はどのように作られているかしることも大事
- 消費者が自ら選択していくことが持続可能性につながる
また、「農薬による健康被害や、労働環境などの実態を踏まえ、私たち消費者が出来ることがないか、子ども達とも話をしてみたい」、「物事を別の側面から考える重要性に改めて気付かされ家族や友人にもシェアしたい」というように、学んだことを家族や友人に知ってもらうための行動を起こしたいと回答した参加者もおり、学びの波及効果が生まれたことを嬉しく思いました。
ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!
石井正子先生のお話(42分)