ESDユネスコ世界会議(UNESCO World Conference on Education for Sustainable Development)5月17~19日が終了しました。
閉会に際して発表されたところによると、161か国から政府関係者を含む様々なステークホルダー2,800人以上が集まり、オンライン会議への視聴者は(延べ)10,000人に達したそうです。また、大臣級ラウンドテーブルでは、70人超の大臣/副大臣がステートメントをしたそうです。
会議では、ESDに関するベルリン宣言が採択されました。ベルリン宣言は、以下のURLからアクセスできます。
esdfor2030-berlin-declaration-en.pdf (unesco.org)
前文(Preamble)、私たちのコミットメント(Our commitment)、さらなる道筋(Way forward)の3部で構成され、それぞれ5パラグラフ、1パラグラフ(16のサブパラグラフにより構成)、3パラグラフから構成されています。
「私たちのコミットメント」では、「ESDがすべてのレベルでの教育の基盤となる要素であり、環境と気候に関する行動がコアとなるカリキュラムの要素であること、持続可能な開発のすべてのディメンジョンとの関係性を認識したホリスティックなESDの展望(holistic perspective on ESD)を維持すべきであること」[サブパラa]など、基本的にはこれまで述べられてきたことの集大成のような印象です。
会議については、いくつかの特徴が浮かびあがっているように思われます。
1. 環境教育、特に気候変動問題(と生物多様性)が強調されていました。これは初日のセッションでも強調され、また、最新のUNESCOの報告「私たちの地球について学ぶ(Learn for our planet)」の出版記念式典を会議中に行ったこと、Responding to global challenge through ESDなどのセッションでも、貧困やジェンダー平等ではなく気候変動、生物多様性、循環経済、自然との共生などがテーマとして取り上げられたことからも明らかでした。世界が環境問題、特に気候変動問題を如何に深刻にとらえているか、再認識させられました。
2. 大臣級ラウンドテーブル(各国大臣/副大臣のステートメント合戦)を除き、多くの登壇者が女性でした。登壇者という形でジェンダー問題の重要さを強調していたように思われます。
3. 全体セッション(plenary sessions)を通じて、ユースの重要性は強調されていました。特に3日目には、登壇者が皆、ユースの参加の重要性を強調していたような印象を受けました。
4. 萩生田文部科学大臣が最初の(本当の)大臣クラスのラウンドテーブルに登壇し、新学習指導要領を含む日本の取組やESD国内実施計画を月内に策定する旨を発表するなど、日本のプレゼンスが示されたように思われます。
5. その他印象に残った点として、教師の役割と教師教育(teacher training)の重要性、機関包括型アプローチ(whole school approach)、技術開発とりわけDXの強調などがあったように思われます。
(報告:理事 鈴木 克徳)