2/8(木)『国際フォーラム UNESCO MGIEPが拓くESDの新しい地平』開催報告

2018年2月8日、東京大学弥生講堂で、UNESCOマハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所(MGIEP)所長アナンタ・デュライアパ博士を迎えて国際フォーラムが開催されました。
(主催:ESD活動支援センター、UNESCO MGIEP、文部科学省、環境省、共催:共催:東京大学教育学部附属学校教育高度化・効果検証センター)

文部科学省、環境省、ESD-Jの挨拶に続いて、デュライアパ博士による基調講演とパネルディスカッション、そして質疑応答が行われました。
ESD-Jからは後藤尚味さん、インターン生Hさんが参加しました。
デュライアパ博士による基調講演の内容を後藤尚味さんがまとめて下さったので共有します。

<発表内容> ※一部抜粋

私の専門は経済学であって、脳科学ではありません。私は、過去に2回、里山里海とIPBESの会議で日本を訪れています。
まずは、私の団体の紹介から始めます。

■UNESCO MGIEPについて
UNESCO MGIEPは、UNESCOカテゴリー1の機関に該当するため、インドだけでなくUNESCO加盟の全ての国にかかわる事ができます。当然、日本にもコミット可能です。
まだ、組織が設立されてから日は浅く、2014年から活動を開始し、SDG4の中でも、とりわけSDG4.7を推進しています。

目標 4 .
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
ターゲット4.7
2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

SDGターゲット4.7を見るとほとんど全ての内容を含んでいるのではないかと思われるほど、多様で広範囲の内容で、どこをどう推進すれば良いか判らなくなってしまいます。
非常に多くの団体が、SDGに関わっていますが同じような問題を抱えている様に思います。

そこで、我々は「知識と技能の習得」に集中して行なうこととしました。
なぜなら、SDG4.7に書かれた目標の達成は、「知と技」を習得した人間が、知性と理性を持って行動した結果、自然と集約されるからです。

教育を科学する
行動を統制するのは頭です。脳が判断して人の行動を決定づけています。ここ15年間、脳科学研究が盛んに進められ、現在では脳のどの部分が何の意志決定に関わるのかまで分かるようになっています。

感情的知性
私は平和やガンジーについての本を読む能力があるから、平和やガンンジーについて理解する事ができます。このように、読書を通じて得られる「知性的な知性」は、非常に重要である一方で、例えば「非対立」について学ぶには、経験を通じて体感する「感情的知性」をもって理解をする事ができます。その為にゲームを通じた疑似体験を学習に取り組む事が進められています。
我々が開発した学習プログラムやゲームを、いくつか紹介します。

【リブレ・プログラム】
クリティカル(批判的)な問いを通じて、情け、思いやり、共感を培うプログラム。
1足す1が2と知識で理解するのではなく、「なぜ、1足す1は2になるのか?」と問いかけ、それについて考える機会を与えることで、理屈を理解する前に自らの気づきを促します。【DICE学習実験プログラム】
多文化交流の対話型のゲームで12歳〜15歳の生徒を対象に5カ国で実験した結果、ゲーム体験後に、他者への共感が増えるという結果が得られました。
読書や瞑想だけでは得ることのできない他者との共感・共鳴を育むことができます。【ガンジー思考回路追跡ゲーム】
このゲームでは、「感情的知性」と「知性的知性」の両方を使いますが、「経済理論」は使いません。
あくまでも、社会的関係性の中で解決を探るゲームとなっています。

学習ゲームの開発と規格
現代社会に生きる世界中の子供たちが電子ゲームで遊んでいます。そこで、ゲームを通じた教材開発を企業と連携して進めています。既にいくつかの教材は、アップルやグーグルのサイトからダウンロードして、教員も子供も使えるようになっています。
(例:地球レスキューゲーム、持続可能な貿易ゲーム)http://worldrescuegame.com/
世界15カ国、各国5校の学校で実験的に行われており、事前アセスメント、事後アセスメントを実施して効果測定を行なっています。今のところ、日本の学校の参加はありません。
このゲーム開発プロジェクトにマイクロソフトは既に協力者に名乗り出ています。今回の来日で話をした私立校も前向きな印象を受けたし、大手通信企業も非常に有望です。

テック 2017 国際見本市の開催
2017年12月16日〜18日に、インドのヴィシャカパトナムで、「テック2017」が開催されました。知的コンテンツ90%、展示会要素10%の大規模な教育分野とITテクノロジーとが融合したデジタル教育見本市でした。
ゲームやスマホなど、若者の日々の生活に現存するツールを活用して、学校教育・学習に取り込み、共感力・思いやりの気持ちを育むことを狙いとしました。
ゲーム業界側からは、子供のゲームの開発に際して、基準となる規格(スタンダード)が欲しいという意見も聞かれており、今後は、教育的ゲームの規格作りも検討しています。

SDGs達成に向けて
もし、人が共感する能力を持たなかったら、思いやりは生まれないでしょう。個性を尊重するように、人を育む過程では、たくさんの感情の動きが必要とされます。

現在、若者による「国連親切の10年」キャンペーンの提言活動が進められており、100万人の署名を集めています。
どうしたら、お互いに親切にできるのかについて若者が考える機会に繋がれば良いと期待しています。

フォーラム後の交流会の様子