与えられた課題をクリアするのではなく、自ら課題を見つけて企画できる人を育てたい
ESD-J代表理事 重 政子さんがESDを大切に考える理由とは?(前編)

ESD-J代表理事であり、ガールスカウト日本連盟教育部長でもあった重さん。「自然とキャンプが大好きよ!」と語る姿は少女のようで、おっとり上品な物腰からは想像できません。
自然体験を愛し、様々なワークショップを実施してきた重さんが、第2回ESD CAFEのゲストです。
この機会に改めて、重さんがどのようにしてESD-Jと出会い、ESDの推進活動に関わるに至ったか、お話を伺いました。

重 政子(しげ まさこ)
ESD-J代表理事、ガールスカウト日本連盟 課題検討委員会成人トレーニング部会委員。
ガールスカウトの教育、指導者養成に携わる。社会教育の立場から、多用な活動主体とのネットワーク構築を目指している。

 


戦後の教育は与える教育だった。親が望む進路に進み、親が望む行動を取る、それは本当に持続可能?

“9歳の少女の頃からガールスカウトに入っていた重さんは、活動を続けながらも結婚、出産、そして就職という社会経験を経てガールスカウト事務局で指導者養成に携わります”

1998年頃、ガールスカウトで私は指導者養成に携わっていたの。
戦後の教育は与える教育をしてきたでしょう?学校教育はもちろん社会教育でも「教えたい人」ばかり。それでは自分で考える力が育たない。出題者の意図に沿った答えを出したり、親に対しても親が望む進路に進み、親が望む行動をとったりしてしまう。それって本当に持続可能かしら?

ガールスカウトの教育ってあまり知られてないと思うけれど、当時は様々な課題があらかじめ用意されていてそれをクリアするとバッチが貰えたの。例えば国際的な交流体験、国際的な知識を得ると”国際理解のバッチ”、福祉の奉仕活動を体験したバッチ、とかね。課題に対し試行錯誤ができているグループもあったけれどほとんどはバッチを貰うためのことしかやっていなかった。

本来その課題をクリアすればその専門家になれるはずが、与えられた課題をクリアしていくだけでは応用がきかない。けれど社会はどんどん複雑になり、変化も起きる。その時に本当にガールスカウトの子たちは、人の役に立てるのかしら?「自ら考え行動できる女性を育てる」と掲げているのにこれではいけない、教育プログラムを改革しなければガールスカウトは持続可能ではない、と思った。
そして同じ想いを持った人たちとプログラムの改革を提案したの。
用意された課題をこなしていくのではなく、自らの気付きによって課題を見つけ、問いを立て企画ができる人を育てる、という内容に。とってもセンセーショナルな出来事だったと思う。

“改革はスムーズに進みましたか?”

改革には本当にみなさん抵抗があったわね。
ガールスカウトのリーダーたちからは「自分たちはボランティアで、そんな力量はない。なぜこんな大変なことをしなければいけないのですか?」と言われた。
「これやって」って言う方が楽だし、いかにも成果が上がったように見える。そして企画を立てる子供たちに付き合うことはとってもエネルギーが必要ですものね。

ガールスカウトの教育では、リーダーを育てるトレーナーという人がいるの。
そこでまずはトレーナーの人たちの意識改革を行いました。企画の立て方、自分で考えることがどんなに大切かということを学んでもらえるよう、松木正さん、中野民夫さん、川島直さんといった様々な外部講師を招いて研修を行いました。そのような研修をコーディネートしてきたことは、私のESD活動の根幹にあると思います。

現在全国でガールスカウト日本連盟が認定したトレーナーは300人ぐらいいて、その人たちがリーダーの育成を行っています。教育改革を始めた2000年から現在の2017年になってようやく「重さんがおっしゃってきたことが理解できました」と言ってもらえた。
それにはね、時代もあると思う。持続可能な社会を作っていくためのESD的思考の価値を多くの人が理解しなければと思うようになってきたのね。

次回後編では、重さんがESD-Jと関わりESDを推進するきっかけについて共有したいと思います。
お楽しみに。

重さんとESDについてお話できるチャンスです、イベントに参加しませんか?

気になるインタビュー後編は、こちらの記事をご覧下さい。