第34回ユネスコ総会についてのインタビュー
2007年10月16日−11月3日の日程で、第34回ユネスコ総会が、パリのユネスコ本部で開催されました。会議の議題の最大の焦点は、今後6年間の次期中期戦略および2008−09年の事業予算策定でした。中期戦略や事業予算の中で、ESDの推進および実施がどのように位置づけられており、それらをめぐりどのような議論が総会でなされたのか。―日本ユネスコ国内委員会事務総長補佐の大村浩志さんに、お話を伺いました。写真提供:日本ユネスコ国内委員会
質:今回、第34回総会には、日本政府はどのような姿勢で臨んだのでしょうか。
答:今回公開されている、ユネスコ総会資料の次期中期戦略(34C/4)<リンク>および2008-08年次期中期戦略にも見られるのですが、ESDに関しての記述は乏しいのが現状です。日本ユネスコ国内委員会は、これまでのユネスコのESDに対する取り組みは、不十分であるとし、DESDの更なる推進に向けた提言をとりまとめ、ユネスコ事務局長に提出し、ユネスコ加盟193カ国に送付しました。総会では、ESDの更なる推進に向け、アメリカおよびドイツと議論を深め、ドイツと共同で、DESDの更なる推進の決議案を提出し、45カ国の共同提案国のほか、多くの国の支持を得て、決議として採択されました。このほか、中期戦略案や事業予算案にもDESDの具体的な記述を求める修正案を提出し、採択されました。
質:中期戦略に関し、具体的にはどのような修正がなされたのでしょうか?参考ウェブサイト
答:以下の一文が盛り込まれることになりました。
“UNESCO, as the lead agency, will ensure the steady implementation of UNDESD acknowledging that UNDESD promotes quality education, which is one of the EFA goals, and supports the achievement of internationally agreed development goals.”
「UNDESDは、EFA*の達成目標の一つであり、国際的に合意された開発目標の達成を助ける、教育の質を高めるものであることを認識しながら、ユネスコは主導機関として、UNDESDを着実に確実に実施していく。」(仮訳:ESD-J事務局)
質:2008−09事業予算案に対しては、いかがでしたか?
答:ユネスコにおけるESDの重要性などに関し、日本から発言をするとともに、ESDの推進を盛り込む修正案を提出しました。各国からの支持を得て、ユネスコのESDの実施に向けたリーダーシップの推進に関する下記の文言が事業予算案に挿入され、採択されました。
“promote UNESCO’s global leadership and implementation role in education for sustainable development, and strengthen the Organization’s efforts by making available ESD tools and programmes to key partners, encouraging regional and national work, and recalling the critical role of education in achieving sustainable development;”
「ユネスコのリーダーシップと持続可能な開発のための教育における実施機関としての役割を推進するとともに、主要なパートナーがESDのツールやプログラムを利用できるようにし、地域や国家の取り組みを応援し、持続可能な開発の達成における教育の重要な役割を再確認することで、ユネスコの取り組みを強化していく。」(仮訳:ESD-J事務局)*
質:そのほか目立った議論として、どのようなものがありましたか?
答:事業予算案に関しては、ドイツが提案したESDの推進に関する修正案や、ユネスコにおけるユネスコ協同学校(ASP)の推進と体制の強化に関する決議案が提出され、各国の支持を得て採択されました。総会最後には、「国連持続可能な開発のための教育の10年の更なる推進」の決議が出され、ユネスコおよび各加盟国におけるESD推進に向けたよりいっそうの努力と、既存のリソースの活用や、外部予算の確保を促す、ASPのネットワークの拡大、10年の中間年である2009年のUNDESDのレビュー会合である、「UNDESD世界会議(仮称)」のドイツ政府による開催および開催資金負担などが明記されました。参考ウェブサイト
質:日本は、ESDに関し、ユネスコにどのような貢献をしているのでしょうか。
答:日本は、ユネスコでのESDの推進に関し、日本政府信託基金(Japanese Funds-in-Trust: JFIT)として、2005年より毎年資金を拠出しています。この信託基金として、2008-09年予算案では、日本政府は$1,724,138を出資することになっています。この資金は、ユネスコによるESDの国家指標開発などワーキンググループの活動や、ハイレベルパネル会合など、集約的な議論をする会合の費用などに使われています。
質:今回のユネスコ総会を受け、今後、日本ユネスコ国内委員会は国内で、ESDのどういった点に力を注いでいかれる予定でしょうか。
答:今後は、ESDを推進していくために、ESDの具体的な考え方を伝えるとともに、日本的なESDの形を可視化していくことに力を注ぎたいと思います。具体的には、先ほども話に出ましたが、ユネスコと連携をしながら、ESDへの理解と促進を図るユネスコ協同学校(ASP)の拡充を通して、ESDを展開していきたいと思っております。
* EFAとは…
「万人のための教育(EFA:Education for All)」とは、今なお世界中に「読み・書き・そろばん(計算)」といった基礎教育を受けられない立場にある者が多いなかで、各国が協力しながら、国連ミレニアム開発目標(MDGs)に基づき、2015年までに世界中の全ての人たちが初等教育を受けられる、字が読めるようになる(識字)環境を整備しようとする取り組みです。詳しくは、ユネスコ国内委員会ウェブサイト
* 日本ユネスコ国内委員会とは・・・
日本における、ユネスコ活動に関する助言、企画、連絡および調査、諮問に応じ、ユネスコ総会における政府代表の選考、議事に関する事項、条約等の締結に関する事項等の調査審議、日本のユネスコ活動の基本方針の策定、国内のユネスコ活動関係機関および団体との情報交換をする組織。「ユネスコ活動に関する法律」の下、文科省内に設置されています。詳しくは、日本ユネスコ国内委員会ウェブサイト
* ユネスコ協同学校(ASP)とは・・・
ユネスコと連携しながら持続可能な開発のための教育の理解と促進を図り、世界のASPのネットワークを活用し、世界中の学校と生徒間・教師間で交流、情報や体験を共有。詳しくは、ユネスコ協同学校ウェブサイト

