ESD をはじめる、すすめる──地域の期待と課題
2003 年から40箇所で「地域ミーティング」を開催してきました。そして今回各地でのその後の活動状況を把握するためのアンケートを実施しました。
そこで、ESDを地域で進めていく上で、困っている点として一番多かった回答は「資金」、そして、解決のために必要なものは「人材」という地域の課題が浮き彫りになる内容でした。
これらの結果をもとに、地域ミーティング開催の意義についてふり返り、地域の課題やニーズから、地域におけるESD 推進のあり方を考察しています。
Q1地域でESD をすすめるための各団体間でのネットワーク構築状況は?(複数回答可)

Q2 地域ミーティング開催以後、地域で開催されたESDに関する主な取組みは?
・ESD事例調査
・地域がもっと元気になるアイディアを考えるワークショップ
・「持続可能な福祉をESDで進めよう」miniシンポとワークショップ
・「人権教育のための世界プログラムとESD」
・砂漠緑化NGO「緑の応援団」への資金援助と中学生の砂漠ツアー参加
・ESD&多文化教育教材づくりセミナー
・大学の「環境教育・ESD指導者養成講座」推進体制協力
・農業振興・交流活動をしている方との見学懇談会
・国際交流と環境についてのキャンプ開催
・学校給食職員研修会での環境等への取り組み発表
・ESD指導研修会の開催
・ESDファシリテーター講座の開催
など
Q3 Q1、Q2 において地域ミーティングの開催の意義は?

Q4 その理由は?
<とても有意義だった地域の理由>
・環境と開発(国際協力)と人権をつなぐこれらのESD的課題に取り組んできた組織と人々のネットワーク化と総合化が一歩前進しました。
・かなり幅広いNPO関係者や行政関係者に声をかけていたため、その後も、拡がりが偏らず、幅広いネットワークを構築する良い機会となった。
<有意義だった地域の理由>
・活動分野を超えた団体間でのつながりができ、地域ミーティング後もそこで議論されたアイディアやイベントを実施し、その繋がりを活かした取り組みが出来た。
・ESD地域ミーティングは、ESDという概念についての周知・啓発になった。
・参加者がESD的な考え方をするきっかけづくりになり、お互いの共通言語として、流通するようになり、既存の活動そのものを見直す視点として位置づけられた。
<どちらともいえない地域の理由>
・それぞれお互いが通常の活動で忙しい。持続して活動していくのが難しい。
・参加者に偏り(環境系)があり、全体的な拡がりになりにくい。
・「国連発」にも関わらず、国は動いていない。都道府県も、市区町村はさらに計画を全くもっていない。そんななかで、あまりにも個人的な動きとして「地域ミーティング」が行なわれたのではないのか。
これらの結果から、地域ミーティングの実施により、団体間や団体の代表者間の関係性が深まり、協議会や連携企画なども実施され、地域ミーティングが少なからず地域の人や組織をつなぐ効果があったことがうかがえます。またミーティング開催後、ESD を普及・推進するセミナーやワークショップ、ESD を担う人材育成が数多く展開されていることから、地域のなかでバラバラに動いていた活動が、ESD というキーワードによって集結し、問題意識や課題解決の共通項をみいだすことが、地域のESD的な活動の原動力となっていることが確認できました。しかし一方では、地域の担い手がおかれている多忙な状況や、いかに行政を巻き込み動かすかといった課題も浮かびあがってきました。
Q5 ESD を地域ですすめていくうえで、お困りの点、改善したいと思っていることは?(複数回答可)

Q6 課題解決のために必要だと思われるものはなに?

Q7 ESD-J に期待する支援・役割は?(複数回答可)

地域でESD をすすめるために、経費、時間、負担のかたより、専従職員の必要性が多くあげられ、同時に、教育機関や行政との連携もあげられました。これらは、時間的・経済的な保障がなければ、多様なセクターと対等に学びのしくみづくりを検討・検証する専門性をもつことがむずかしい、という「地域の課題」を浮き彫りにしています。だからこそ、これらの問題解決のために多くの地域が「人材」をあげているのでしょう。そのうえで、地域からESD-J に期待される、政府や自治体への提言・しくみづくりとは、政府や自治体、企業、教育機関などへ積極的に働きかけ、地域の担い手が有償で活動を続けられる「しくみづくり」であるということが明示された思いがします。そして、今後さらに、地域の現状を把握し、地域と役割分担をしながら、ESD 推進のための戦略づくりに力を注いでいく必要性を感じました。

