【東京】学校を世界に開く 〜 学校全体で取り組むESD

東京都江東区立東雲(しののめ)小学校
ユネスコスクールに登録すると同時にESD に取り組んで1 年半。子どもも教師も親も、自分の学校や地域に自信と誇りが高まっています。それが地域、そして世界に働きかける原動力になっているのです。
<キーワード>
教科・領域の横断、自信や誇りをもつ、多文化共生、自分の成長に生かせる学び
<関係者>
東京国際交流館、日本科学未来館、パナソニックセンター、東京ビッグサイト、日本教育映像協会、NGO-APSD、水の科学館、水再生センター、地域のボランティア団体など60 以上にのぼる
ユネスコスクール(ユネスコ協同学校)とは:
ユネスコスクール( ユネスコ協同学校プロジェクトネットワーク"UNESCO Associated Schools Project Network: ASPnet")は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)がすすめる理念を学校現場で実践することを目的に1953 年に発足。現在175ヵ国7800 校あまりが参加、日本では23 校が参加しています(2007 年11月現在)。ESD を柱に「地球規模の問題に対する国際システムの理解」「人権、民主主義の理解と促進」「異文化理解」「環境教育」の4 つの視点に取り組む。
きっかけはユネスコスクール:
東京都の臨海地域に学区域をもつ江東区立東雲小学校は、2006 年度から全校をあげてESD 教育計画を実践している画期的な学校です。その契機となったのは、ユネスコスクールへの登録でした。2003 年からすでに国際理解教育を学校の特色として校内研究に位置づけ推進してきましたが、その過程で、ユネスコスクールのことを知り、「これだ!」ということで登録。多数の外国籍の子どもたちが通う東雲小学校では多文化共生は大きなテーマ。そのなかで、校長の手島利夫先生は、従来型の国際交流を中心とした国際理解教育の枠におさまらず、
より広い視野での取組みの必要性を感じていたとき、ESD に出合いました。ESD に取り組んだ結果、「東雲小学校の教育は変わりつつある」「ESD は学校のなかで取り組む価値がある」と確信を得たそうです。
ESDカレンダーとその実践
東雲のESD へのアプローチはユニークです。ESDカレンダー(東雲プラン)を軸に、まさに学校教育の要である授業を中心に、すべての教科・領域にわたりESD の指導がすすめられています。
2007 年度の4 年生の取組みを「環境の視点」からみてみましょう。(図参照)社会で「すみよいくらし 私たちのくらしとごみの始末」「すみよいくらしをささえる水 空からのおくりもの」という単元を学びます。それが国語の時間の壁新聞づくりにつながります。
発展として、総合の時間に、「私たちの水、そして地球」の単元を設けると児童の意識は世界に広がります。そして、自分たちにできる具体的な行動として家族とともにキッズISO14000 に取り組んだり、特別活動でのクリーンデーに参加したりという流れなっていきます。今年は、温暖化対策の情報提供ということで、<日本経済新聞社・環境授業>として、岩谷産業・プラスエムの協力を得て、水素エネルギー車づくりの授業を行い、温暖化対策についても学びました。
これらの学びの成果は、11 月の東雲フェスティバルで全校児童にむけて発表され、また、12 月に東京ビックサイトで開かれる「エコプロダクツ展」のステージ発表にも挑戦しました。

このような学びを「環境」だけではなく「国際システム」「人権、民主主義」「異文化理解」の視点に関しても、さまざまな教科を結んだ学習を、全学年で年間を通じて取り組もうとしているのです。指導要領の中身を教科横断的に、環境や人権などの4 つの視点でつなげること、そして、実践をもとに児童から発信し、保護者・地域まで広げていくことが大切です。
「どこの学校でも、すでにすばらしい実践を日々積み重ねているはずです。それらをESD の視点でつなぐことで、ユネスコスクールの実践に早変わりしますよ」と手島先生は言います。
学校を開く、学校から開く
手島先生は、地球温暖化の影響による20 年後の地球がいかに危機的かという鋭い問題意識をもち、今、ESD をすすめなければならない、と考えます。こうした熱意を伝えるための工夫が、廊下に貼られた200以上の活動事例の写真です。お互いの授業の関連性がみえ、部分だけでなく東雲小の教育全体もみえてきます。教師のチームワークはこうして育まれました。
そして、児童も教師も、さらには保護者も自分たちの学校に対して自信や誇りをもつようになります。児童からは、以前にも増して明るくのびのびした表情が多くみられるようになりました。児童が学んだことを、家に帰って家族に話すと、保護者も刺激されて関心を深めます。
東雲小では、地域に「学校を開く」と同時に、学校から地域へむかって、さまざまな手段で発信し続けています。ESD はどこで実践されるべきなのか? 東雲小の答えは「学校における教科・領域の学習のなか」。ここが変わらなければ教育全体も変わらない、教育全体が変わらなければ社会も変わらない、ESD はすべての学校で取り組むべきテーマだというメッセージは、ESD の10年の原点ではないでしょうか。
(取材報告:上條直美)
江東区立東雲小学校
住所: 〒135-0062 東京都江東区東雲2-4-11
電話: 03-3529-1451 FAX:03-3528-1768
http://www.koto.ed.jp/shinonome-sho/

