【板橋】 「総合的な学習の時間」を地域でサポート 子どもと大人の学び合いが未来を創る
■区教委の委託で42小中学校の授業に協力
当会は、およそ20年の歴史をもつ福祉団体のボランティア学習部門を分離し発展させる形で、ボランティア国際年の2001年に発足しました。「総合的な学習の時間(以下、総合学習)」サポートについては、2002年の本格実施前に行った区内小中学校へのアンケートをもとに、学校と地域をつなぐサポート団体の必要性を訴えた結果、区からの委託を受け事務局を担うことになりました。昨年度1年間では、小中学校あわせて42校のコーディネートをし、のべ人数で講師として61名、サポートスタッフは216名が授業に協力しています。
依頼のあった学校には必ず事前に伺い、学習内容や授業の進め方などの打合わせをしつつ、福祉のプログラムをメインに、国際理解文化活動などの分野をつなぐサポートをしています。
■子どもの声に耳を傾け、“出会い”を学びに
ある小学校で、肢体不自由のために電動車イスを使用して生活している方へ「不便なことはありますか?」という質問がありました。「生まれつきのことだから、不便だとか思わないよ」と答えたのを聞いて「そっかぁ、僕たちと同じじゃん!」と小さく、でも興奮した声を発した子がいたことをよく覚えています。
子どもたちは本当にさまざまな疑問をもっています。たとえば「バリアフリーはなぜ進まないの? お金がかかるのか?」。こうした声に耳を傾け、サポーターとして授業にかかわる大人それぞれのネットワークを生かします。設計にかかわる建築士の方を紹介することもありました。
また、「目の不自由な方のガイド方法」といった一般論を教えるよりも、「〇〇さんに学校を案内してほしい」と具体的・直接的な働きかけのほうが子どもたちにとって切実な問題となり、主体的な学びにつながると考え実践しています。地域の大人の思いや生き方に直接触れることで、実感がわいたり共感できるような“出会い”や“出会い方”を大切にしたいです。子どもたちのいきいきとした学びに大人も励まされ、また、それがハンディのある当事者の社会参加を豊かにしていると思います。
■教員も含めて大人たちが学び合う場を
いざ学校の授業にかかわったものの、こちらの思いや答えを一方的に教え込むようなやり方では、子どもの主体的な学びを阻害しかねません。「車椅子の体験をしたが、楽しかったという感想だけでよいのか?」「子どもたちが自分のこととして考えるには?」「地域の大人がかかわる意味は?」。教育のプロではない私たちは、授業を終えるとため息がでるようなこともたびたびあります。
そこで実践をふりかえりながら大人たちが学び合う場として、区の社会教育会館との共催で「総合学習」についてのプロジェクトを行っています。学生や主婦、授業では講師役を務めるハンディのある当事者、市民活動の実践者、学校の先生や社会教育分野の研究者などが集まって互いの立場から感じることをていねいに話し、共有していくことで、課題を整理し、実践に反映させたいと考えています。
■ESDは“ともに創る未来のための学び”
当会では、ESD(持続可能な開発のための教育の10年)という言葉の難しさが、広がりの難しさにつながってしまうとを感じ、“ともに創る未来のための学びの10年”と置き換えて2005年を迎えました。2月には10年のスタートとして、活動の分野と世代を超えたフォーラムを開催しました。未来を創るために学ぶ。これは子どもの学びが大人の学びと出合っていくこと抜きには考えられません。その現場の一つが総合学習です。私たち自身が未来のために大切にしたいことを認識し合ったり、分野を超え、世代を超えたつながりをつくる"出会いの場"を大切にしていきたいと思います。
NPO法人 ボランティア・市民活動学習推進センターいたばし 平野仁美 (ひらの ひとみ)
1974年生まれ・静岡県出身。大学卒業後に、知的障害者入所更正施設に勤務。そのときに感じた障害者の生活に関する疑問や、"ボランティア"の可能性に目を向けていくために施設を退職。その後は民間の福祉団体職員を経て、現在板橋区教育委員会大原社会教育会館に非常勤職員として勤務。アフター5?を活用して、「ボランティア・市民活動学習推進センターいたばし」の総合的な学習の時間のサポートスタッフとして、子どもたちとともに学ばせてもらっています。

